中堅・中小企業に役立つ2つの機能
SmartScreenとInPrivate――IE 8のセキュリティ機能を再検証する
IE 8には、IT専門要員がいない中堅・中小企業にとって役に立つセキュリティ機能が多数組み込まれている。
ここ数年、MicrosoftのWebブラウザ市場における独占的地位は幾分後退している。主にセキュリティ不安に押される形でMozilla FirefoxやGoogle Chromeなどのブラウザが、Internet Explorer(IE)の牙城に食い込んでいる。
しかし、IEが今も首位を独走している状況は変わらず、失った市場シェアもIE 8の登場により、ある程度取り戻せるかもしれない。IE 8にはWebブラウザの水準を高め、Web閲覧の生産性と効率性向上につながる機能強化や革新が多数盛り込まれている。
鳴り物入りの付加機能もある。「アクセラレータ」では、Webページ内部から地図や検索といった一般的な機能にワンクリックでアクセスできる。「おすすめサイト」機能では、自分のWeb閲覧履歴と習慣に基づいてサイトを推薦してくれる。「Webスライス」は、頻繁にアクセスしたり更新されたりする情報、例えば天気予報やeBayの入札状況といった情報を、サイトを何度も見に行ったりブラウザを頻繁に更新し続けることなく参照できる。ユーザーがIEから代替ブラウザに乗り換えるのはセキュリティが主な理由になっていることから、IE 8ではWeb閲覧中にユーザーとユーザーの情報を守る機能も強化した。
悪質サイトをフィルタリングするSmartScreen
フィッシング詐欺はセキュリティ上大きな脅威であり、リスクは増大している。中国絡みの最近の事件により、特定の個人を標的とした綿密なフィッシング攻撃(「スピアフィッシング」ともいわれる」)がいかにユーザーをだまして安心させ、悪質なWebサイトを閲覧させてコンピュータを制御してしまうかが浮き彫りになった。
中堅・中小企業(SMB)にも社外秘の情報があり、その情報を守るためのコンプライアンス規定があるが、ネットワークセキュリティとデータ保護策はコンシューマーとあまり変わらないことも多い。SMBにはITや情報セキュリティの専門要員が不在で、エンタープライズネットワークのような何層ものセキュリティも存在しない。
IE 8のセキュリティ機能には、SMBの助けになるフィッシング対策が組み込まれている。まず、IE 8ではアドレスバーに表示されるURLの実際のドメインが強調表示され、ユーザーが悪質サイトやフィッシング関連サイトを閲覧している場合に視覚的に注意を促す手掛かりとなる。
さらにIE 8では、ネット閲覧中のセキュリティを強化するため「SmartScreen」が加わった。SmartScreenフィルタには、Webベース攻撃やソーシャルエンジニアリング、フィッシング詐欺などの手口からユーザーを守るための各種ツールが盛り込まれている。SmartScreenでは、IE 8のヒューリスティック検知経由で、または既知の悪質サイトに関するデータベースの蓄積情報と照合して、悪質と認識したサイトを遮断する。悪質と見なしたコンテンツのみを遮断しながら、そのサイトにアクセスすることもできる。誰かが不審サイトや悪質サイトからファイルをダウンロードしようとした場合も警告を表示してくれる。
秘密情報流出を防ぐInPrivateブラウジング
WebブラウザにはWebの使い勝手を強化しスピードアップしてくれる機能が多数あるが、ブラウザセッション終了後はコンピュータに大切なデータを残したくないこともある。特に、インターネットカフェや図書館などで共用のPCを使っている場合などだ。
InPrivateブラウジングでは、閲覧履歴、インターネットの一時ファイル、フォームのデータ、cookie、ユーザーネーム、パスワードを一切保存することなくWebサイトを閲覧できる。要は、コンピュータにはInPrivateブラウジングセッションの痕跡や証拠が一切残らない。
SMBのオフィスでは、InPrivateブラウジングの価値はほとんどないかもしれない。しかし、従業員が自宅のコンピュータから会社のリソースにアクセスする場合や外出先でホテルのコンピュータなど共用の端末を利用する場合、InPrivatebブラウジングを使えば大切な会社の情報を守る一助となる。
InPrivateブラウジングのセッションを開始するには、IE 8で新しいタブを開き、「InPrivate ブラウズ」をクリックする。これは、IE 8のウィンドウの右上にあるコマンドバーの「セーフティ」ドロップダウンメニューでも見つけられる。
IE 8にアップグレードすべき時
もしもいまだにIE 6を使っているのなら、できるだけ早くアップグレードすべきなのは間違いない。IE 6には欠陥や互換問題が多く、IE 7やIE 8に比べると攻撃に対してはるかに脆弱だ。
それに比べると、IE 7を導入済みの場合は考慮すべきことが多く、アップグレードが必要だと思わせる要因は少ない。IE 8では各種のセキュリティ機能が強化されたが、いずれもIE 7で既に提供されているものに比べて飛躍的に進歩しているわけではない。決定を左右するのは会社の規模、翻って移行作業の程度によるところが大きいだろう。
10人、20人あるいは50人程度なら、単純にWindows Updateを使って自動的にIEの最新バージョンをダウンロードするのは簡単だ。それよりも規模が大きい組織の場合、新しいブラウザを導入するのに最善の方法を検討すると同時に、新しいブラウザにユーザーが慣れるまで、必然的に増えるサポート電話への対応にも備える必要がある。
本稿筆者のトニー・ブラッドリー氏はZecurionの最高技術エバンジェリスト。CISSPの資格を持ち、4度にわたりMicrosoft MVP(Most Valuable Professional)を受賞した。Twitterのアカウントは@PCSecurityNews。自身のサイトtonybradley.comでは情報セキュリティと統合コミュニケーション技術についてのノウハウや助言、論評を提供している。
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