Windowsサーバ上の共有ファイルを守るには?
Windowsサーバはこうしてハッキングされる
今この瞬間にも、不正な目的を持った人間が多数のネットワークの中にいて、利用できる脆弱性を探している。
「ハッキング」と聞くと、何か複雑で謎に包まれ、世界の中でごくわずかな選ばれた人間にしかできない技のようなものを思い浮かべがちだ。だがそれは誤りであり、現在のようなハッキングがはびこる大きな一因となっている。
サーバのハッキングはそれほど複雑なものとは限らず、実際、複雑でないことも多い。確かに、人並み外れたハッカーたちは自分の「超一流のスキル」を見せびらかしたりするが、憂慮すべきはそのような相手ではない。それよりも、スキルは低くても辛抱強くしつこい人間が、最大の問題を引き起こす。実際、今この瞬間にも、そうした人間が多数のネットワークの中にいて、不正な目的達成のために利用できる脆弱性を探しているのだ。
Windowsサーバを侵入から守り続けるという点で、わたしはまず手近な部分に重点を置くべきだという信念を持っている。常に足を取られるのはセキュリティ上の基本的な弱点なのだ。前回の記事「Windowsサーバの脆弱性 その根本原因は?」はWindowsサーバの脆弱性の原因となる一般的な要因を挙げた。今回は、Windowsサーバでよくある2種類の悪用方法を取り上げ、攻撃がどのように仕掛けられているかの実態を見ていく。
パッチの不備がリモートコマンドプロンプトにつながるケース
パッチを当てる作業が簡単に(そして退屈に)なるほど、ほとんどのWindowsサーバはある程度最新のパッチが当てられていると考えがちだ。ところが、そうとは限らないことも多い。一貫性のないパッチ管理は、Windowsサーバが脆弱になる最大の原因の1つだ。
犯罪者はパッチを当てていないWindowsサーバに、以下のような手順で攻撃を仕掛ける。
- ネットワークの外側、あるいは内側から(こちらの方がより一般的だ)無料の脆弱性スキャナを走らせ、忘れられたパッチを見つける
- 無料ツールのMetasploitを使ってその脆弱性が悪用できることを確認する
- Metasploitを立ち上げ、リモートコマンドプロンプトを取得する
- バックドアのユーザーアカウントを設定し、ローカルの管理者グループに自分を追加する
- 攻撃者はシステム(ローカルログイン、リモートデスクトップ、VPNなど)にフルアクセスし、誰にも見つからない確率が高い
ネットワーク共有がファイルへの不正アクセスに結び付くケース
ネットワークのファイル共有はWindowsサーバのごく基本的な機能だが、残念ながら、ほかの面では「信頼できる」ユーザーによる不正アクセスを招くアキレスけんでもある。退屈、好奇心、そして時には復讐(ふくしゅう)のため、従業員がWindowsエクスプローラーをつつき回し、本来ならアクセスできてはいけない重要情報に出くわすといった事態が起こる。
セキュリティがかけられていないWindowsのファイル共有に攻撃を仕掛ける手順は、以下の通りである。
- ネットワーク内部でGFI LANguardなど無料の共有スキャナを実行し、Windowsサーバ上で膨大な数の共有を見つける。その多くは、誰にでもフルにコントロールできる状態になっている
- 共有をクリックしていき、中身をチェックする
- 重要な情報に出くわすか、FileLocator Proなどの無料テキスト検索ツールをダウンロードしてインストールする
- このテキスト検索ツールに、「パスワード」「SSN」「社外秘」といった重要情報に結び付きそうなキーワードを設定して実行する
- 従業員や顧客の重要情報が詰まったMicrosoft Office ExcelやMicrosoft Office Wordの文書ファイル、PDF、データベースなど、不正な目的で利用できるファイルを見つけ出す。これも誰にも気付かれない可能性が大きい
それなりの執念深さがあれば、攻撃者は忘れられたパスワードや単純なパスワード、SQL Serverの設定の弱点、匿名FTP経由で全ドライブを共有する設定になったIIS(Internet Information Services)サーバなど、多くのものを見つけることができる。もし物理的アクセスが可能であれば(規模の小さい事業所ではありがちである)、攻撃者がWindowsサーバをリブートし、OphcrackやElcomsoft System Recoveryを収録したCDを使って起動させられる。そして、Active Directoryファイルのntds.ditを含む全ユーザーアカウントとパスワードにフルアクセスできるようになる。こうしてWindows環境すべてが乗っ取られ、しかも、またしても攻撃者に有利なことに、誰もそのことに気付かない公算が大きい。
外部のハッカーであれ悪意を持った内部の人間であれ、Windowsサーバには悪用を許してしまう弱点が高い確率で存在する。時間さえかければ悪用は十分可能だ。管理者がするべきことは、脆弱な個所を探し出し、攻撃者に打ちのめされる前にその穴をふさぐことだ。
本稿筆者のケビン・ビーバー氏は、米Principle Logicで情報セキュリティコンサルタントを営み、執筆、講演も手掛ける。専門は独立した立場からの情報セキュリティ評価。『Hacking For Dummies』『Hacking Wireless Networks For Dummies』(Wiley)など情報セキュリティに関する7冊の著書・共著書がある。情報セキュリティのオーディオブック「Security on Wheels」の制作も手掛け、ブログではIT専門家向けにセキュリティのノウハウを紹介している。
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