App-VとMED-Vの違い
2011年、Microsoftは仮想デスクトップに本腰を入れるか(後編)
Microsoftは2010年、仮想デスクトップ技術を改良して攻勢に出た。2011年には、App-VやMED-VといったVDI技術をWindowsにより深く統合する計画だ。
Microsoft VDIとWindows 7
米Microsoftは顧客に、ユーザーデータやアプリケーションの仮想化仮想化から取り組み始めることを勧めている。これらの仮想化は、完全な仮想デスクトップインフラ(VDI)VDI環境を導入するよりもコストが掛からない。どちらのレイヤーも、必要に応じてローカルデスクトップ、リモートデスクトップサービス、VDIに適用できると、Microsoftのデスクトップ仮想化プロダクトディレクター、カリ・アレクションティアナン氏は説明した。
ユーザーデータの仮想化やPersonalization Softwareにより、ユーザーデータはデバイスから切り離され、中央から複製される。このようにユーザーデータを扱う製品は現在、米AppSense、米Liquidware Labs、米UniDeskなど、多くの企業から提供されている。またIT担当者は、Windows 7 Professional、Enterprise、Ultimateの各エディションで、ローミングユーザープロファイル、フォルダリダイレクト、オフラインファイルという3つの機能を使って、ユーザーデータの仮想化を実現することもできる。
これらの機能はWindows XPでも提供されていたが、Windows 7でデスクトップ仮想化のために強化された。例えば、Windows 7では、13のフォルダをリダイレクトできるが、Windows XPでは5つだった。また、Windows 7のオフラインファイルは、オンラインモードからオフラインモードへの移行やファイル同期の処理が優れている。
App-VとMED-V
Microsoftの最も強力なVDIツールはApp-V(Microsoft Application Virtualization)だという人もいるだろう。App-Vは、アプリケーションをOSから分離し、WindowsレジストリやインストールされているOSを変更することなく、アプリケーション間の競合を防止するアプリケーション仮想化ソフトウェアだ。App-Vは大きな支持を得ており、多くの専門家が、このソフトウェアはVMware ThinAppなど、市場で提供されている他のアプリケーション仮想化ツールよりも優れていると考えている。
実際、Microsoftは2007年以来のMicrosoft Desktop Optimization Pack(MDOP)の販売ライセンス数は2400万以上に達していると報告している。App-Vは、ソフトウェアアシュアランス(SA)契約者向けにMDOPの一部として提供されている。現在、米Expedia、米General Mills、独BMWなど、多くの大企業がApp-Vを使っていると、アレクションティアナン氏は述べた。
App-Vの普及が順調に進んでいる一因は、MicrosoftがApp-VをOffice 2010とWindows 7に統合し、Windowsを利用する企業にとって明確な選択肢として提供していることだ。例えば、App-VはWindows 7の全てのユーザーインタフェース機能と統合されており、ユーザーはアプリケーションが仮想化されていても分からない。
OSが物理ハードウェアから抽象化されるOSの仮想化に関しては、Microsoftのサポートは消極的だ。OSの仮想化は顧客にとって、旧バージョンのWindowsを使い続ける方法になるからだ。
その一方でMicrosoftは、一部の企業はレガシーアプリケーションをサポートするために、旧バージョンのWindowsを実行する必要があることを認めている。「彼らはこうしたアプリケーションを長期にわたって使っていかなければならない。かといって、全ユーザーをWindows 7に移行させないのは避けたいと考えている」とアレクションティアナン氏は語った。「われわれとしては、顧客に最新技術に移行してもらいたい。そこで、移行の橋渡しをする技術としてMED-V(Microsoft Enterprise Desktop Virtualization)を提供している」
MED-Vは、旧バージョンのWindowsに対応するアプリケーションを、Windows 7搭載PC上の仮想環境で実行する方法を提供する。これらのアプリケーションはユーザーのデスクトップで、ローカルにインストールされているかのように表示される。「Windows 7搭載PCでMED-Vを利用すると、旧バージョンのWindowsに対応するアプリケーションはWindows XPなどが動作する仮想PC上で実行されるが、それらのアプリケーションは全て、Windows 7上でネイティブに動作するかのようにスタートメニューに表示される」(アレクションティアナン氏)
しかし、MED-Vは、顧客が暫定的に利用するソリューションと位置付けられている。MED-Vの1つの難点は、管理者が旧バージョンのWindowsのOSイメージを別個に管理、保守しなければならないことだ。
IT担当者は、Internet Explorer(IE) 6ベースのアプリケーションをWindows 7上で実行する方法として、App-Vを使ってIE 6を仮想化したいと考えている。しかし、MicrosoftはIEの仮想化をサポートしない(参考:「アプリケーション仮想化によるIEの実行は不可──方針を堅持するMicrosoft」。このアプローチでは、あるOS(Windows XP)の一部を切り離し、別のOS上で実行する必要があるからだ。それはMicrosoftのライセンシングルールに抵触する使い方だ。
次の展開は?
Microsoftは2011年、App-V、MED-V、その他のVDI技術をWindowsにより深く統合する計画だと、アレクションティアナン氏は語った。だが同氏は、この計画の具体的な内容は明らかにしなかった。
これまでに分かっているのは、現在RC(リリース候補版)が配布されているWindows Server 2008 R2 SP1における大きな改良が、仮想デスクトップに関連するということだ。RemoteFXの強化により、ネイティブに近い性能が提供されるほか、新しいDynamic Memory機能により、IT部門はHyper-Vのメモリリソースをより効率的に管理できるようになり、このことは仮想デスクトップ管理にもプラスになる。同SP1の正式リリースは2011年初めに予定されている。
また、2011年第1四半期にリリース予定のApp-V 4.6 SP1における大きな改良として、Package Acceleratorsがある。Package Acceleratorsは一連の命令であり、管理者はこれらを使って命令をインポートし、バイナリを指定し、物理アプリケーションを仮想アプリケーションに変換できる。これにより、アプリケーション仮想化プロセスがはるかにスピードアップし、変換するアプリケーションが多い企業が特にその恩恵を受けるとアレクションティアナン氏は述べた。
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