App Storeのエンタープライズ版
アプリケーション仮想化の将来──VDIアプリストアのコンセプト
エンタープライズアプリケーションでも、AppleのiPhone向けアプリケーションストアのような方式が普及するかもしれない。
エンタープライズアプリストアのコンセプト
iPhoneの成功の一因としてApp Storeの存在がある。このアプリケーションストア(以下、アプリストア)のおかげで、エンドユーザーは自分の携帯端末に必要なアプリケーションを選ぶことができるのだ。
将来は、エンタープライズアプリケーションでもこのような方式が普及する可能性がある。カギを握るのはアプリケーションの仮想化技術だ。現在、アプリケーション仮想化には2つの方式が存在する。ストリーミングモードとローカルモードだ。ベンダー各社は、エンドユーザーへの影響を最小限に抑えながら、すべてのアプリケーションを仮想化技術でサポートすることを目指している。今のところ、この目標を達成したベンダーはVMwareだけだ。
「VMware ThinApp」はアプリケーションをデスクトップから切り離し、しかもバックエンドのインフラには依存しない。この技術は、エンタープライズアプリストアというコンセプトを現実のものにする可能性がある。
仮想デスクトップインフラ(以下、VDI)のアプリストアに入るには、Webページに接続してログインする。アプリストアに入れば、利用可能なすべてのアプリケーションを見ることができる。iPhoneのApp Storeと同様に、アプリケーションをローカルマシンにダウンロードすることも、それをWebページから実行することもできる。
しかしiPhoneのApp Storeでは、すべてのアプリケーションがiPhone専用だ。VDIアプリストアの場合、アプリケーションは“ThinApp化”され、Microsoft Windowsのすべての現行版で動作する。将来、これらのアプリケーションがLinuxやMacシステム上でも動作するようになるかもしれない。
VDIアプリストアは、ソフトウェアを配布する企業のバックエンド上で管理されるが、アプリケーションそのものは、ローカルのデスクトップやノートPC上で動作する。そのため、アプリストアを提供する企業とエンドユーザーの社内ネットワークの間で特別な接続が確立されている必要はない。デスクトップ、ノートPC、仮想デスクトップは社内ネットワークにつながっているため、ThinAppアプリケーションはそのセキュアなネットワークに完全に接続された形になる。ユーザーがローカルにダウンロードしたアプリケーションを必要としなくなれば、そのアプリケーションパッケージを削除するだけでよく、正式にアンインストールする必要はない。
もう1つの利点は、管理者がアプリケーションそのものではなくWebサイトを通じてエンドユーザーのパーミッションを管理できることだ。このような環境では、Microsoft SharePoint ServerなどのWeb管理製品が最適だろう。
Citrix Systemsは何年も前から、Webページを通じてエンドユーザーにアプリケーションを提供するというコンセプトを採用しているが、VDIベースのアプリストアの最大の差別化要素は、サーバインフラもデスクトップ用コンポーネントも必要としないという点だ。キャッシュに保存するものもなければ、インストールするものもないので、互換性問題を心配しなくて済む。
このため、VMware ThinAppを利用すれば(そして優秀なWebサイト開発者がいれば)、VDIアプリストアを迅速に配備し、アプリケーションを容易に管理できるようになるだろう。
本稿筆者のブラッド・マルツ氏は、仮想化やストレージ技術を専門とするコンサルティング会社International ComputerwareのCTO(最高技術責任者)。VMwareやEMCのさまざまな技術の認定資格を持つ。
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