生体認証や仮想暗号化HDDなど機能が多彩
【徹底比較】HDD暗号化製品の運用支援機能とセキュリティ機能
HDDを丸ごと暗号化する「HDD暗号化製品」。本稿はHDD暗号化製品の運用支援機能とセキュリティ機能に焦点を当て、各製品の機能を比較する。
HDD全体を暗号化することで、持ち出しノートPCからの情報漏えい防止に役立つのが「HDD暗号化製品」である。シマンテックやマカフィーといった総合セキュリティベンダーだけでなく、専業ベンダーの製品までラインアップは幅広い。
本稿は、市販されている企業向けのHDD暗号化製品の機能を比較する。HDD暗号化製品の導入効果や選び方については、以下に紹介する関連記事を参照いただきたい。
HDD暗号化製品の比較表
主要な企業向けHDD暗号化製品の比較表を以下に示す。HDD暗号化製品の機能を見ると、導入や運用の支援機能、安全性の強化機能に製品間の差異が現れる。以下、それぞれの機能について比較していこう。
HDD暗号化製品の機能比較表のダウンロード
- 今回紹介したHDD暗号化製品の機能を見やすくまとめた比較表をPDFで提供しています。「HDD暗号化製品の機能比較表」からダウンロードしてください。
導入や運用の支援機能
導入方法:専任管理者不在ならスタンドアロンが最適
HDD暗号化製品を導入方法で分類すると、管理サーバの設置が必須なタイプと、クライアントソフトウェアだけで運用可能なスタンドアロンタイプに大別できる(表2)。中堅・中小企業などで専任の管理者が設けられなかったり、導入の容易性を重視したい企業は、スタンドアロンで利用可能なタイプが有力な選択肢となる。一方、管理対象のマシンが多いなどの理由で管理性を重視する場合は、管理サーバを設置するタイプが適するだろう。
表で取り上げたHDD暗号化製品のうち、管理サーバの設置が必須なのは、ソフォスの「SafeGuard Enterprise Device Encryption」、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの「Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption」、ネルフ・エンタープライズの「Safend Encryptor」、マカフィーの「McAfee Endpoint Encryption for PCs」の4製品である。
| 製品名 | 製品の導入、管理方法 |
|---|---|
| SecureDoc Disk Encryption | スタンドアロンまたは管理サーバ設置 |
| CompuSec Basic Edition/SW/Pro | Basic Edition:スタンドアロン SW/Pro:スタンドアロンまたは管理サーバ設置 |
| Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited |
スタンドアロンまたは管理サーバ設置 |
| SafeGuard Enterprise Device Encryption/ Easy/Disk Encryption for Mac |
Enterprise Device Encryption:管理サーバ設置 Easy/Disk Encryption for Mac:スタンドアロン |
| Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption | 管理サーバ設置 |
| Smart Data Encryption | スタンドアロンまたは管理サーバ設置 |
| SafeNet ProtectDrive/ ProtectDrive for Servers |
スタンドアロンまたは管理サーバ設置 |
| Safend Encryptor | 管理サーバ設置 |
| McAfee Endpoint Encryption for PCs | 管理サーバ設置 |
パスワードリセット方法:海外出張が多いならセルフリセットを重視
主要なHDD暗号化製品は全て、パスワードを再設定する「パスワードリセット機能」を備えている(表3)。海外出張など、管理者との連絡手段を確保することが難しい場所にノートPCを持ち出す機会が多く発生する企業の場合、エンドユーザー自らパスワードをリセットできるセルフパスワードリセットが可能なHDD暗号化製品が適するだろう。
セルフパスワードリセットが可能なのは、個人だけが分かる秘密の質問とその答えの組み合わせを幾つか登録しておく「秘密の質問方式」を採用するHDD暗号化製品である。主要なHDD暗号化製品の大半は、秘密の質問によるパスワードリセット機能を設ける。ただし、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズのCheck Point Endpoint Security Full Disk Encryptionとネルフ・エンタープライズのSafend Encryptorは同機能を備えない。
一方、セキュリティ強化のためにパスワードリセットのプロセスまで完全に管理したいのであれば、セルフパスワードリセットの利用は控えるべきだ。エンドユーザーと管理者との間で特定の情報をやりとりして正規のエンドユーザーであることを認証する「チャレンジ&レスポンス」などの手段を利用すべきだろう。
| 製品名 | パスワードリセット方法 |
|---|---|
| SecureDoc Disk Encryption | チャレンジ&レスポンス、秘密の質問 |
| CompuSec Basic Edition/SW/Pro | Basic Edition:秘密の質問 SW/Pro:チャレンジ&レスポンス(管理サーバ利用の場合)、 秘密の質問 |
| Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited |
秘密の質問、リカバリトークンの電話連絡、管理者パスフレーズ |
| SafeGuard Enterprise Device Encryption/ Easy/Disk Encryption for Mac |
チャレンジ&レスポンス、秘密の質問 |
| Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption | チャレンジ&レスポンス |
| Smart Data Encryption | チャレンジ&レスポンス、秘密の質問 |
| SafeNet ProtectDrive/ ProtectDrive for Servers |
チャレンジ&レスポンス、秘密の質問 |
| Safend Encryptor | Windows機能を利用 |
| McAfee Endpoint Encryption for PCs | チャレンジ&レスポンス、秘密の質問 |
管理対象の豊富さ:Mac OSやLinuxの管理は選択肢が限定
主要なHDD暗号化製品は全て、Windows搭載のクライアントPCで利用可能だ。ただし、Mac OSやLinuxなど幅広い種類のOSを抱える企業にとっては、対応OSの幅広さを重視したい(表4)。
主要なHDD暗号化製品のうち、唯一Linuxで利用可能なのが、シマンテックの「Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited」である。同製品はLinuxに加え、Mac OSやWindows Server 2008/2008 R2まで幅広いOSに対応する。Mac OSに対応するHDD暗号化製品は、他にもウインマジック・ジャパンの「SecureDoc Disk Encryption」やソフォスの「SafeGuard Disk Encryption for Mac」がある。
OSに加え、ハードウェアの対応状況も確認しておく必要がある。物理セクタを従来の512バイトから4Kバイトへ拡張したHDD規格「Advanced Format」を採用したHDDで利用できるのは、ウインマジック・ジャパンのSecureDoc Disk Encryption、ソフォスのSafeGuardシリーズ、ネルフ・エンタープライズのSafend Encryptor、マカフィーのMcAfee Endpoint Encryption for PCsである。
| 製品名 | 対応OS | Advanced Format採用HDDでの利用 |
|---|---|---|
| SecureDoc Disk Encryption | Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2003以降、 Mac OS X |
○ (Windows Vista/7) |
| CompuSec Basic Edition/ SW/Pro |
Basic Edition:Windows 7 SW:Windows XP/Vista/7 Pro:Windows XP/Vista/7 |
― |
| Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited |
Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2008/2008 R2、 Mac OS X(Intelベースのみ)、 Ubuntu、CentOS、 Red Hat Enterprise Linux |
― |
| SafeGuard Enterprise Device Encryption/ Easy/Disk Encryption for Mac |
Windows XP/Vista/7、 Mac OS X |
○ |
| Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption |
Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2008/2008 R2 |
― (互換モードで動作) |
| Smart Data Encryption | Windows XP/Vista/7 | ― |
| SafeNet ProtectDrive/ ProtectDrive for Servers |
Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2003/2003 R2/ 2008/2008 R2 |
― |
| Safend Encryptor | Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2003/ 2008/2008 R2 |
○ |
| McAfee Endpoint Encryption for PCs |
Windows 2000/XP/Vista/7、 Windows Server 2003/2003 R2/ 2008/2008 R2 |
○ (Windows XP/Vista/7、 Windows Server 2008/ 2008 R2) |
安全性の強化機能
暗号化対象の豊富さ:ファイル暗号化や仮想暗号化HDDなどで安全性強化
HDD暗号化製品の弱点の1つが、マシン起動時の認証が通ってしまうと、OSやファイルを自由に利用できてしまう点だ。こうした弱点を補う有効な手段がファイル暗号化機能である(表5)。メールやUSBメモリなどを介してファイルを外部に持ち出す際の情報漏えいを防ぐ効果もある。
ファイル暗号化機能を標準搭載するHDD暗号化製品は、ウインマジック・ジャパンのSecureDoc Disk Encryption、キヤノンITソリューションズの「CompuSec SW/Pro」、シマンテックのSymantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited、東芝の「Smart Data Encryption」などである。ソフォスのSafeGuardシリーズやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズのCheck Point Endpoint Security Full Disk Encryptionは、有償オプションとしてファイル暗号化機能を提供する。
シマンテックのSymantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limitedはファイル暗号化機能に加え、仮想的な暗号化HDDを作成する「暗号化仮想領域作成機能」を搭載。さらに、有償オプションとして共有フォルダの暗号化やメール暗号化機能も用意する。
| 製品名 | ファイル暗号化機能 |
|---|---|
| SecureDoc Disk Encryption | ○ |
| CompuSec Basic Edition/SW/Pro | ○ (SW/Pro) |
| Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited |
○ |
| SafeGuard Enterprise Device Encryption/ Easy/Disk Encryption for Mac |
有償オプション |
| Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption | 有償オプション |
| Smart Data Encryption | ○ |
| SafeNet ProtectDrive/ ProtectDrive for Servers |
― |
| Safend Encryptor | ― |
| McAfee Endpoint Encryption for PCs | ― (関連製品を用意) |
認証手段の多様さ:生体認証が可能な製品も
安全性強化の観点では、利用可能な認証方法の多さにも注目したい(表6)。IDとパスワードだけでなく、ICカードやUSBトークンといった別の認証手段を利用した多要素認証が実現できるからだ。
主要な認証方法は、ID/パスワードやICカード、USBトークンの他、指紋認証などの生体認証がある。これら4つの認証方法を全て標準で利用可能なのは、ウインマジック・ジャパンのSecureDoc Disk Encryptionと日本セーフネットの「SafeNet ProtectDrive/ProtectDrive for Servers」、ネルフ・エンタープライズのSafend Encryptorである。ICカードやUSBトークン、生体認証装置などは別途購入が必要になる。
| 製品名 | 認証方法 |
|---|---|
| SecureDoc Disk Encryption | ID/パスワード、USBトークン、ICカード、指紋認証 |
| CompuSec Basic Edition/SW/Pro | Basic Edition/SW:ID/パスワード Pro:USBトークンまたはICカード |
| Symantec PGP Whole Disk Encryption with Universal Server Limited |
ID/パスワード、USBトークン(Windowsのみ)、 ICカード(同)、TPM(同) |
| SafeGuard Enterprise Device Encryption/ Easy/Disk Encryption for Mac |
ID/パスワード (有償オプションでUSBトークンやICカード認証が可能) |
| Check Point Endpoint Security Full Disk Encryption |
ID/パスワード、USBトークン、ICカード |
| Smart Data Encryption | ID/パスワード (有償オプションでUSBトークン認証が可能) |
| SafeNet ProtectDrive/ ProtectDrive for Servers |
ID/パスワード、USBトークン、ICカード、生体認証 |
| Safend Encryptor | ID/パスワード、USBトークン、ICカード、指紋認証 |
| McAfee Endpoint Encryption for PCs | ID/パスワード、USBトークン、ICカード |
HDD暗号化製品の機能比較表のダウンロード
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