まずはコストモデルを分析
デスクトップ仮想化の投資対効果を高める5つの考え方
初期投資が掛かるといわれている仮想デスクトップインフラだが、導入規模や管理方式など、工夫次第で投資対効果を高めることができる。本稿では5つの手法を紹介する。
デスクトップ仮想化でハードウェアやサポート、管理面のコストを削減できるが、実はVDIには他にも幾つか隠れたコストを削減する方法がある。
ITプロジェクトでは誰もが確実なROI(投資対効果)を求める。しかし、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)は必ずしも先行的なコスト削減を実現するものではない。それでも、VDIには導入規模や管理方式によって、ROIを高めるさまざまなメリットがある。
物理デスクトップの台数削減(最も一般的なVDIのメリット)以外に、VDIのコスト削減を実現する方法とはどのようなものか。以下、リモートアクセス、サーバディスカウント、ストレージ統合など、コスト削減を推し進める幾つかの方法について紹介する。
1.VDIコストモデルを分析する
VDIのコスト削減はどのようにすれば達成できるか。仮想と物理システムを比較してコストモデルを検討してみよう。
| シンクライアント | ワークステーション | ラップトップ | |
|---|---|---|---|
| 平均購入価格 | 400ドル | 800ドル | 1300ドル |
| 平均利用年数 | 6.5年 | 3年 | 1.75年 |
| 年間コスト | 61.54ドル | 266.67ドル | 742.86ドル |
| サポートコスト加重 | 1x | 4x | 10x |
| 年間サポートコスト | 40ドル | 320ドル | 1300ドル |
| 年間総コスト | 101.54ドル | 586.67ドル | 2042.86ドル |
| 5年間の総所有コスト(TCO) | 507.69ドル | 2933.33ドル | 1万214.29ドル |
実際のコストと最終的なVDIのDaaS(Desktop as a Service)ソリューションを判断するためには、データセンターシステムやソフトウェア、実装に掛かるコストも計算しなければならない。この顧客のケースでは、バックエンドシステムとVDIソフトウェアで、5年間の追加的なコストを2200ドルと見積もった。
上記の数字は環境の違いによって変動するが、一般的な原理は変わらない。シンクライアントのサポートコストはワークステーションや、もちろんノートPCよりずっと少ない。その上、エンドポイントハードウェアの故障やアプリケーションの欠陥、非一貫性などが少なくなるため、サポート関連でさらなるコスト削減が見込める。
驚くことに、顧客の一部にはリモートロケーションへのVDI導入を避ける傾向がある。その背景には、サポートの困難さやWANの品質に対する不安などがあるようだ。それでも、リモートユーザーのサポート負担の軽減は、直ちにITの効率化を推進する。そうした効率化はサポートスタッフの削減、ユーザーの全体的な生産性の向上により、特に本社外のコスト削減に直結する。ほとんどの課題がリモートサーバによって生じるアプリケーションパフォーマンスにある場合、リモートアクセスのセットアップを急ぐべきだろう。
2.WAN帯域幅のアップグレードを延ばす
ITの世界には、死と税金以外に第3の確実性が存在する。それは、アプリケーションの新バージョンは必ず旧バージョンより多くのリソースを消費するということだ。この事実はネットワーク帯域幅でも同様だ。既に一定品質のプライベートWANを利用しているが、アプリケーション要求により帯域幅をアップグレードする必要に迫られているなら、ユーザーをVDIへ移行し、リソースをデータセンターに一元化した方がよい。そうすれば帯域幅の消費が低減するとともに、一層のコスト削減が実現する。
3.データセキュリティにVDIを利用する
セキュリティの面では、考えるべき2つの領域がある。動かない情報と動き回る情報だ。モバイルや分散された情報が増えれば増えるほど、安全性の確保が難しくなる。あるセキュリティ担当者は、こんなアナロジーで説明する。「それは子どもたちを守るようなものだ。彼らが家にいて自宅の電話やコンピュータを使っているうちは安心だが、外に出て携帯電話やノートPCを使うようになると心配の種は増える」
だが、VDI環境では情報の安全性を確保するためのコストが劇的に削減される。コンピューティングパワーと情報を統合化するからだ。
以下は、セキュリティ面でコスト削減が可能な理由だ。
- 全ての仮想デスクトップがリモートPCではなく、データセンター内に置かれていれば、ウイルスのアウトブレークを比較的容易に阻止、予防、回避できる。そのため、管理、保守、サポートコストが下がり、VDIのコスト削減につながる
- 比較的少数のゲートウェイでインターネットセキュリティを制御でき、システムおよびサポートコストを削減できる
- データ漏えい防止機能は検出、隔離を容易にする
基本的に、データの安全性が高まり、情報漏えいの危険性が少なくなれば、VDIの長期的なROIは大きく向上する。
4.サーバの大量購入ディスカウントを活用する
VDIのメリットであまり耳にすることがないことの1つは、サーバコストを下げることができるというものだ。そのための方法の1つが、ボリュームディスカウントだ。一般的に、メーカー側にとってサーバの利幅はエンドポイント(ノートPCやデスクトップPC)よりも大きい。従って、大量購入すれば大きな割引を受けられる可能性が高い。VDIでは購買資金がエンドポイントからサーバへシフトするため、サーバのコストを引き下げることが可能になる。
5.VDIストレージの統合
フルサイズのワークステーションと比較して仮想デスクトップではストレージのフットプリントも削減されるが、同時にネットワークストレージのコストも削減される。VDIではファイルサーバを統合するため、複数のサーバ間にデータが重複して存在する可能性を排除できるからだ。
VDIの第1のメリットはデスクトップの管理およびサポートの負荷軽減から生じるが、同時にネットワークストレージやサーバなどの合理化によりコスト削減が可能になる。それぞれの事業分野において、VDIのメリットを最大限に引き出せる戦略を目指せば、直ちに初期投資費用の回収を開始し、VDI ROIの改善に取り組めるだろう。
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