Standardエディションは負担増?
Windows Server 2012の新ライセンス体系から見えるMicrosoftの真意
Windows Server 2012のエディションは4種類に再編され、幾つかのエディションが廃止された。これはユーザーにとって得なのか? 損なのか?
既に多くのメディアで報道されている通り、米Microsoftは2012年7月5日(現地時間)、「Windows Server 2012」(コード名:Windows Server 8)を4種類のエディションで発売することを明らかにした。一部の販売代理店では負担増になる可能性もある。
米調査会社IDCのシステムソフトウェア担当プログラム副社長アル・ギレン氏によると、新しい価格体系は、大企業などで仮想化がデフォルトの導入シナリオとなりつつある現実に対応したものだという。しかし、必ずしも旧バージョンからのアップグレードを促すものでも、あるいは押しとどめるものでもない、と同氏はみる。
「顧客が仮想インフラに移行する中、Microsoftは製品ラインの整理、簡素化が求められた」とギレン氏。
最上位版の「Datacenter」エディションと「Standard」エディションは同等の機能を提供し、いずれもプロセッサ単位およびクライアントアクセスライセンス(CAL)ベースとなる。ただし、Datacenterエディションは2プロセッサ上で無制限に仮想マシンを実行できるが、StandardエディションはWindows Server 2012の全機能をカバーするものの、仮想化については1ライセンスで物理サーバ1基当たり2つの仮想マシンに制限される。
ボリュームライセンスのOpen NL価格体系では、Datacenterエディションの価格は4809ドル、仮想化に制限のあるStandardエディションは882ドルとなる。
Microsoftの資料によると、新しいDatacenterエディションの価格は、現行のWindows Server 2008 R2 Datacenterと同等に据え置かれる。Standardエディションは現行の726ドルからわずかに値上げされる。そしてMicrosoftが提供するエディション数は、従来の7種類から4種類に減る。
「Essentials」バージョンは25ユーザー、「Foundation」は15ユーザーの制限があり、機能も基本的なものに限られる。Server CoreおよびActive Directoryフェデレーションサービス(ADFS)は含まれず、仮想化にも対応していない。Essentialsは425ドル、FoundationはOEM向けのみの提供となる。
「各エディションの機能と価格の差は、ユーザー側でどう仮想化するかによる」と語るのは、Windows関連書籍の著者で、米IT情報サイトSearchWindowsServerの寄稿者でもあるジョナサン・ハッセル氏だ。「顧客は常にシンプルなライセンス体系を求めるものだが、今回はまさにそうした要望に応えるものといえる」
ただ、多数の物理プロセッサでStandardエディションを実行する顧客は、今回のアップグレードにより多くのコストを支払わなければならない。例えば、物理サーバ4基であれば、2ライセンスが必要となる。
「そうした顧客は多少負担が重くなる。対象とされていないユーザーは、今回の変更を否定的にみるだろう」(ギレン氏)
もっとも、ギレン氏によると、市場の90%は1Wayと2Wayサーバで占められているので、そうしたケースはまれだという。「4Wayサーバを実行する顧客はそれほど多くない」と同氏。「Standardエディションの顧客の90%は1Wayか2Wayサーバを実行している。Microsoftは恐らく不要になったものを整理するだけだ」
もし顧客が高度な仮想環境を求めるなら、MicrosoftはDatacenterエディションを推奨する。
購入、あるいはアップグレードを決断するとき「VMをどれだけ多く実行したいか? それだけが問題だ」とハッセル氏は言う。
Microsoftが配布したライセンス体系に関するFAQで、プロセッサベースモデルへの移行について、「Microsoftプライベートクラウドのライセンスモデルとの整合性を図るため」と、同社は説明している。これにより、Windows Server 2012とMicrosoft System Center 2012の間で一貫性が保たれる(関連記事:ライセンスが簡素化された「System Center 2012」、VMwareに対する優位性は?)。
どちらの製品もStandardとDatacenterエディションという価格設定戦略を採用している。このことはまた、現行のWindows Server 2008 R2の「Enterprise」エディションがなくなることも意味する。Standardエディションが同等の機能を提供し、Software Assurance(SA)契約の顧客はStandardエディションを2ライセンス受け取ることになる。
なお、「Small Business Server 2012」は提供されない。Microsoftは、「スモールビジネスコンピューティングは、電子メール、オンラインバックアップ、各種ビジネスツールなどのアプリケーション、サービスを提供するクラウドコンピューティングへ移行しつつある」と説明。それらの機能はクラウド製品の「Office 365」で提供する。また、「Web Server」と「High Performance Computing」の各エディションも廃止される。
今回、価格体系は明らかにされたが、Windows Server 2012の発売日は未定のままだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは? -
製品資料
[株式会社みらい翻訳] 音声翻訳活用の課題を解決、“本当に使える”ツールの特徴とは? -
製品レビュー
[Wrike Japan 株式会社] 400店舗を支えるWalmart Canada、散在する情報やアナログな管理をどう変えた? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 年間100件超のDXプロジェクトを統合管理、JERAはどのように実現した? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] グローバルなクリエイティブ業務を合理化、エスティーローダーに学ぶ実践のコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
「制御用組み込みPC」に関するアンケート
-
5
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
6
APIキー奪取から3時間でクラウド掌握 Anthropicが暴いた「バイブハッキング」の現実的な防御策
-
7
「複数AIの野放し」に歯止め Salesforceが6製品統合で挑むAI統制の覇権
-
8
“AIコーディング”でどのツールを選ぶ? 「ChatGPT」「Claude」の真価
-
9
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
10
「定期診断」発想は要注意? いまセキュリティに求められる持続的な対策とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー