既に被害も
暗号名はKVM? サイバー銀行強盗の驚くべき手口
銀行のコンピュータにKVMスイッチを仕掛けて遠隔操作する手口で、口座から多額の現金が盗まれる事件が起きた。防止策はあるのか?
安価な装置を使って英銀行Barclays Bankのコンピュータを乗っ取った犯罪集団が、次の標的にしたのはスペインの銀行Banko Santanderの英現地法人であるSantander UKだった。
Santander UKに対する攻撃は未然に阻止されたが、Barclays BankではKVM(キーボード、ビデオ、マウス)スイッチを使って同銀行のコンピュータを遠隔操作し、口座から現金を送金する手口で130万ポンドが盗まれた。
KVMは市販されており、ユーザーが1台のキーボードとビデオモニターおよびマウスで複数のコンピュータを操れる設計になっている。
いずれのケースとも、ITメンテナンス担当エンジニアを装った人物によって、銀行のコンピュータにこの装置が取り付けられていた。
広がるKVMの悪用
ロンドン警視庁はこの事件で男8人を逮捕したと発表した。2013年4月にロンドン北部スイスコテージ地区の支店から不正に送金されていた現金は、ほとんどを回収したとしている。
英BBCのニュースによれば、最近になって同じKVMを使った手口でSantander UKから現金を盗もうとした未遂事件があり、警察は両事件の間に関係があるとみて、同じ捜査班が調べを進めている。
ロンドン南東部サリーキーズにあるSantander UKの支店で起きたコンピュータ乗っ取り未遂事件では、男4人が逮捕・訴追された。しかし警察は、Barclays Bankの事件に関連した逮捕者の方が、犯罪集団の上層部に近い存在だったとみている。
マルチレイヤーのセキュリティ対策が必要
いずれのケースでも、組織が常に技術的ITコントロールと同時に適切な物理的セキュリティ対策を講じておく必要があることが浮き彫りになった。
「オンラインで銀行を攻撃したり、ソーシャルでだましたりする手口の手軽な代替としてKVMが仕掛けられているのであれば、KVMの使用は犯罪集団にとって極めて魅力的だ」。通信ネットワークシステム企業、英ViaSatのクリス・マッキントッシュ最高経営責任者(CEO)はそう指摘する。
「組織はある程度運命論的アプローチを取り、何らかの形で侵入されるのは避けられないと受け止める必要がある」(同氏)
その上でITセキュリティ戦略にこれを反映し、例えばネットワーク可視化や監視のツールを使って予想外の動きやデータ転送の検知を目指す必要があるという。
「スーパーバグ(超細菌)と同様に、サイバー攻撃は全く新しい経路を見つけたり、古くなった手口の新しい使い方を見いだしたりして常に進化し続けている。そうした攻撃は予防よりも、治療に重点を置くことが必要だ」とマッキントッシュ氏は言う。
新手のサイバー攻撃技術が投げ掛けるリスクは銀行にとどまらないと話すのは、コンサルティングファーム、KPMGの情報セキュリティ担当ディレクター、マーティン・ジョーダン氏。「事務管理や取引、財務などの部門で多額の取引に携わる誰もが警鐘と受け止めなければならない。リテール銀行攻撃に使われた機器はオンラインで簡単に手に入り、値段は数百ポンド足らずだ。企業は警戒を強める必要がある。初動対応として、窓口とバックオフィスの両方で物理的、電子的および無線周波数レベルのセキュリティ対策を講じなければならない」と話している。
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