協定違反となる可能性も
個人の金融情報も監視? スノーデン暴露で物議を醸す金融市場
内部告発者のスノーデン氏がリークした文書によると、NSAが国際銀行間金融通信協会のデータにアクセスしていたという。個人の財務データも監視していたとする報道もあり、大きな物議を醸している。
米政府当局による国際銀行間金融通信協会(SWIFT:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の金融取引の監視を認めた欧州連合(EU)・米国間の協定に関し、欧州議会は中断を求める決議を採択した。
欧州議会議員(MEP)らは、米国家安全保障局(NSA)がSWIFTネットワークに侵入したとするエドワード・スノーデン氏の指摘をめぐる調査が終わるまで、「テロリスト資金源追跡プログラム(TFTP:Terrorist Finance Tracking Program)」を中止するよう求めている。
スノーデン氏のリークが発端で高まるセキュリティへの懸念
さらにこの決議では、米当局がSWIFTのサーバにアクセスしたという指摘に関する技術的調査も求めている。今回の動きは、内部告発者のスノーデン氏がリークした文書でNSAによる通信傍受が明るみに出たことを受けたもの。
この非拘束決議は賛成280票、反対254票、棄権30票で可決された。
SWIFTは、1973年に設立された非営利の協同組合で、当初の加盟銀行数は239行。SWIFTのネットワーク「SWIFT FIN」は、209カ国の銀行の間で毎日平均1700万件の金融取引メッセージを送信しており、約8000社の金融サービス企業が利用している。2010年には、同ネットワークで40億件以上の金融取引が処理された。
米当局はSWIFTのデータセンターのデータにアクセスしたとされており、これはTFTP協定違反となる可能性がある。
TFTPでは、テロリストの資金源を調べるために米政府がSWIFTからデータを要求することが認められている。米国がそのデータを利用する際の制限も同協定に規定されている。欧州議会の市民権委員会が開催した審理でMEPらは、スノーデン氏の主張をめぐるEUの懸念に対して米国が「満足のいく回答」をしたと聞かされた。
欧州議会の声明は次のように述べている。「MEPは、これらの指摘について調査したEU加盟国が1カ国もないのを残念に思っており、加盟各国が欧州警察機構のサイバー犯罪センターによる調査を承認するよう要請する。この決議は、米当局が許可なくSWIFTのサーバにアクセスしたり、バックドアを作成したりしたという指摘に関して現場で本格的な技術的調査を実施することも求める」
NSAによる個人財務情報の監視
「報道によると、NSAはSWIFTで扱われるEU市民の個人財務データも監視していたとされている。TFTP協定では、米当局がこれらの財務データにアクセスすることは厳しく制限されている。もしそういった行為が事実と判明すれば、これは明らかにEUと米国間の協定違反だ」(同声明)
欧州議会は同協定を中断あるいは終了する正式な権限を持たないが、欧州議会が協定の支持を撤回すれば、欧州委員会は対応を迫られることになるだろう。
「欧州議会は、今後の国際協定を承認するかどうかの判断に際して、この要求に対する欧州委員会の反応を考慮に入れることになるだろう」(同声明)
SWIFTでは、金融取引が米国を経由しなくて済むようにするために巨額の投資を行ってきた。同協会はこの5年間にわたり、欧州諸国がヨーロッパで行う取引を全て処理できるようにすることを目的とした1億7500万ユーロのプロジェクトの一環として、地下に欧州データセンターの建設を進めてきた。
この「Distributed Architecture(DA)」プロジェクトの狙いは、ヨーロッパの企業間の取引をヨーロッパ内で完結させることにある。従来、こうした取引は米国のデータセンターを経由して処理する必要があった。
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