使わないリザーブドインスタンスは売却が可能
AWSのコストを下げる「リザーブドインスタンス」の効果的な使い方
いったんクラウドを利用し始めると、キャパシティーを常に監視できなくなる場合がある。予約制のリザーブドインスタンスを使って供給を需要に合わせれば、請求書の額を減らすことが可能だ。
企業がクラウドの導入を検討するのは、クラウドは迅速に展開でき、スケーラビリティを提供するからだ。そして多くの企業が米Amazon Web Services(以下、Amazon)のクラウド「Amazon Web Services」(以下、AWS)を検討するのは、AWSは各種サービスも充実しているからだ。だが、AWSインフラを構築する際にキャパシティープランニングを怠った結果、過度な料金を支払う羽目になっている企業は少なくない。
クラウドを採用したばかりの多くの企業が最初に犯す過ちは、「ニーズを見越してサービスを余分に準備すること」だ。これでは、「オンデマンドでスケールアップやスケールダウンができるプラットフォームを使用する」という目的にそぐわない。AWSのインフラをレンタルすれば、供給を需要に合わせて調整できる。
さらに企業は、時間の経過とともに次第にサービスの利用にばかり目を向け、コストに無頓着になるという誤りも犯す。その結果、十分に活用されていないサービスに対して料金を支払うことになる。AWSで初めてインスタンスを作成するとき、多くのクラウドアーキテクトは慎重にコストを検討する。だが、いったんインストールが済み、サービスが軌道に乗り始めると、他のことが優先され、コストの監視はなおざりにされがちだ。
企業がコスト増の理由に疑問を抱き始めるとともに、こうした問題への対処を目的とした小さな業界が発達してきた。米Cloudability、米Cloud Cruiser、米6fusionなどのサードパーティーが、コスト削減分野の特定を支援するサービスを提供している。Amazonも、利用料金の概算を試算する簡易見積ツール「AWS Simple Monthly Calculator」の他、利用中の全サービスのコスト履歴を確認できるリポートツール「AWS Cost Explorer」を提供している。これらのツールはともにキャッシュアウトフロー(資金流出)の把握に役立つ。また、AWSの「ビジネス」レベルの有料サポートを契約している企業は「AWS Trusted Advisor」を利用でき、請求額とアカウント使用状況の比較に基づくコスト削減策を推奨してもらえる。
リザーブドインスタンスでコストを削減
サードパーティーに有料で助けてもらわなくても、AWS内でコストを削減できる方法がある。AWSの「リザーブドインスタンス」を使う方法だ。リザーブドインスタンスは、料金体系以外の点では、通常の「オンデマンドインスタンス」と変わらない。契約期間(1年か3年)にもよるが、予約金を支払うことによって、パブリッククラウドの利用料金をオンデマンドインスタンスよりも9~69%低く抑えられる。
リザーブドインスタンスには、「軽度使用」「中度使用」「重度使用」の3種類が用意されている。いずれのタイプも事前に支払う予約金の他に1時間当たりの利用料が掛かるが、オンデマンドインスタンスよりは安い。3タイプのうちどれを選ぶかは、予想される利用頻度に応じて判断する。
重度使用のリザーブドインスタンスは他の提供タイプよりも予約金が高いが、時間単価は低い。一方、軽度使用のリザーブドインスタンスは予約金が少ないが、時間単価は高い。軽度使用と中度使用のリザーブドインスタンスは通常のオンデマンドインスタンスと同様、常に使っている必要はないので、使わないときはインスタンスをオフにするといい。重度使用のリザーブドインスタンスは契約期間中の毎時間に対して使用料が請求される。Amazonのモニタリングサービス「Amazon CloudWatch」を使えば、インスタンスの実行を継続する必要がなくなった時点でインスタンスを停止できる。
どのタイプを選択するかの大体の目安は以下の通りだ。利用率(インスタンスを稼働する時間)が80%以上であれば重度、20~80%であれば中度、20%以下であれば軽度使用を選べば、コストを最大限に節約できる。
使わないリザーブドインスタンスは売却が可能
AWSのオンデマンドインスタンスはコスト節約のためにいつでも停止できる。予約金を支払った後のリザーブドインスタンスについても、不要になった場合の救済策がある。使わないリザーブドインスタンスは、「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」のリザーブドインスタンスマーケットプレイスで価格を設定し、売却できる。
未使用のリザーブドインスタンスを販売するには、まず販売者として登録する必要がある。AWSマネジメントコンソールの「Amazon EC2」タブの「Reserved Instances」ページで「Sell Reserved Instances」をクリックすると、初めてのユーザーには、社名と口座情報の入力が求められる。登録が完了したら、販売したいインスタンスを選択し、価格を設定して(リザーブドインスタンスの残りの有効期間に基づき推奨価格が表示される)、「List Reserved Instances」をクリックする。マーケットプレイスでは、リージョンやインスタンスタイプ、残りの有効期間、時間単価に基づき、リザーブドインスタンスの一覧が表示される。
リザーブドインスタンスマーケットプレイスの取引では、AWSが手数料として販売価格(前払い料金)の12%を受け取ることになっている。リージョンとリザーブドインスタンスのタイプによっては、出品されるインスタンスが非常に少ない場合があることにも注意が必要だ。リザーブドインスタンスマーケットプレイスでは、AWSの標準である1年や3年とは異なる期間でリザーブドインスタンスを購入できる。マーケットプレイスで未使用のリザーブドインスタンスを購入するには、AWSマネジメントコンソールの「Amazon EC2」画面から「Reserved Instances」にアクセスし、「Purchase Reserved Instances」をクリックする。希望するインスタンスタイプ、リザーブドインスタンスの提供タイプ、期間を指定し、「Search」ボタンをクリックすれば、出品中のインスタンスを確認できる。目にとまったリザーブドインスタンスがある場合は、カートに入れて先に進めば、取引を完了できる。
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