2012年10月18日 08時00分 UPDATE
特集/連載

料金プランの“併せ技”でTCOを低減3つのシナリオで考える、AWSを低コストに使う方法

パブリックIaaSの草分けである「Amazon Web Service」(AWS)。AWSが現在、最も高い成長を遂げている地域が日本だという。このAWSをより低コストで活用する方法を解説する。

[石田 巳津人]

 「クラウドはオンプレミスに比べて低コスト」――この“定理”は多くの場合、概念的に語られる。定量的に説明されることはまれだ(関連記事:クラウドは本当にコストダウンになるのか)。

 その点で2012年9月14日に開催された「AWS Summit 2012 | Tokyo」において、アマゾン データ サービス ジャパン 技術統括部長の玉川 憲氏が行った「クラウドTCOの真実」と題する講演は興味深かった。自社が提供するパブリックIaaS(Infrastructure as a Service)のAWSとオンプレミスの詳細なTCO比較を行ったのだ。プロバダー自身が公に語るのは珍しい。では、オンプレミスのシステムをAWSで構築した場合、AWSではどのような料金プランが考えられるのだろうか。本稿では、企業システムの特性に応じた3つのシナリオを想定し、AWSの料金プランを賢く利用する方法を解説する。

自前サーバのTCOを積算する

aa_aws_tama.jpg アマゾン データ サービス ジャパン技術統括部長の玉川 憲氏

 まず、AWSの中核である仮想マシンサービス「Amazon EC2」(以下、EC2)の比較対象となる自前サーバの“コスト”をどう計るか。玉川氏は「サーバの価格は下がっているが、クラウドと比較するなら運用コストも含めたTCOで見るべき」と指摘し、実際に標準的な1ソケットサーバである「Dell PowerEdge R310」(以下、R310)を自前運用する場合のTCO積算例を示した。

 積算の内訳は、R310本体とネットワーク機器(スイッチとラックの占有部分)、それぞれのオンサイト保守の他、電気代、データセンター代、人件費を加えている(図1)。つまり、購入価格15万円のサーバもTCOで見れば、月額2万5760円、償却期間3年では約93万円となる。

aa_aws_zu01.jpg 図1 自前サーバのTCO積算例

 「AWSを安く見せるため、自前サーバのTCOを高く見積もっているのではないか」と訝しむ向きがあるかもしれない。ただ、「電気代やデータセンター代は米国基準で計算しており、(インフラコストが高い日本の実態と照らし合わせれば)保守的な見方」(玉川氏)なのだ。

AWSで肝になるリザーブドの使い方

 上記のTCO積算例を基にオンプレミスとAWSのTCO比較を行う前に、AWSの料金体系を簡単に説明しよう。

 要となるEC2の契約法には、主にオンデマンドとリザーブドの2種類がある。オンデマンドは、仮想マシンのインスタンス数、OS種、性能区分、利用時間による完全従量課金制で“使った分”だけを支払う。最低課金額は1時間当たり2.4円(本来はドル建ての料金表示。便宜的に1ドル80円で計算した。以下同)。別途、データ送信に1Gバイト当たり16円、ストレージサービス「Amazon S3」で1Gバイト当たり10.4円が課金される。

 やや複雑なのがリザーブド。これは予約金を払うことで一定数のインスタンスを1年/3年にわたって押さえる代わりに時間単価の割り引きが受けられる契約である。ただ、予約したインスタンスは稼働させる/させないにかかわらず課金される。そのため、利用率(※)の多寡からライト、ミディアム、ヘビーの3コースから最適なものを選ぶ必要がある。

※ インスタンスが稼働する時間の割合。

 ライトは予約金が低い代わりに時間単価の割引率も低い。逆にヘビーは予約金が高い代わりに割引率も高く、ミディアムはそれらの中間になる。要するに「予約するインスタンスの利用率(見通し)で最適なコースが自ずと決まってくる」(玉川氏)。利用率が75%より上ならヘビー、40〜75%はミディアム、10〜40%ならライトだ(グラフ1)。

aa_aws_gra01.jpg グラフ1 インスタンスの利用率からオンデマンド/リザーブドを選び、リザーブドの中からもライト、ミディアム、ヘビーを使い分ける

AWSは使い方を間違えるとコスト高も

 さて本題のオンプレミスとAWSのTCO比較だが、玉川氏は「システムの特性に応じてオンデマンドとリザーブドをどう組み合わせるかで、AWSのTCOが変わってくる」として、以下の3つのシナリオを示した(図2)。

aa_aws_zu02.jpg 図2 3つのシナリオ

常時稼働するサーバはリザーブドに

 シナリオ1は、毎月数十万件と平準的にアクセスがある企業サイト。それをWebサーバ、アプリケーション(App)サーバ、データベース(DB)サーバそれぞれ2台でシステム構成する(表1)。

表1 シナリオ1(予測可能、ピーク有り)の構成
  オンプレミス AWS1
リザーブド
AWS2
ミックス
AWS3
オンデマンド
Webサーバ 2サーバ 2リザーブド(ヘビー、3年) 平常時1リザーブド/ピーク時1オンデマンド 2オンデマンド
Appサーバ 2サーバ 2リザーブド(ヘビー、3年) 平常時1リザーブド/ピーク時1オンデマンド 2オンデマンド
DBサーバ 2サーバ 2リザーブド(ヘビー、3年) 2リザーブド 2オンデマンド

 これをオンプレミス、AWSリザーブド(ヘビー3年契約)、AWSミックス(DBサーバ2台はリザーブド、Web・Appサーバは各1台がリザーブド、各1台がピーク対応のオンデマンド)、AWSオンデマンドの4パターンで運用したとすると、各パターンのTCOは表2のようなる。

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