クラウドのアカウント登録の不備を悪用
“偽メアド”でゾンビPCを調達 「ボットネット」構築の新たな手口
ボットネットの構築には端末のマルウェア感染が必要だという“常識”は、既に過去のものかもしれない。ボットネットはもっと簡単な手口で構築できると、専門家は注意を促す。
犯罪と知りながらそれに加担すれば他人から嫌われて当然だが、知らないうちに加担してしまったとしても良心がとがめる。ボットネットは、クラウドセキュリティを破ったり、罪のないエンドユーザーを知らないうちに攻撃者に仕立てたりする存在だ。
ボットネットという言葉はセキュリティ業界でよく飛び交うが、常に正しく使われているとは限らない。そもそもボットネットとは何なのだろうか。
今更聞けない、「ボットネット」とは何か
主犯格がリモート制御可能なソフトウェアに感染したコンピュータの集団がボットネットだ。ただし、エンドポイント端末がボットネットの一端を形成しているからといって、その端末が必ずしも不法行為をしているとは限らない。エンドポイント端末からインターネットへ接続するたびに、ボットネット攻撃発生の仕組みを想定して回避に努めることが重要だ。
例外はあるものの、ボットネットは一般的に、インターネットリレーチャット(IRC)プロトコル経由で通信する。エンドユーザーが関与するのはこの部分だ。刑事裁判の罪状認否と同様に、エンドユーザーや端末が不法行為の責任を問われるかどうかは、その意図があったかどうかで決まる。
クラウド利用のボットネット
悪質なボットネットの活動は最近まで、ボットネット作成者がエンドユーザーの端末(物理ホストか仮想マシンのいずれか)に侵入して悪質なソフトウェアを仕込むことができるかどうかに掛かっていた。だが米セキュリティコンサルティング企業Bishop Foxの上級セキュリティアソシエト、ロブ・レーガン氏とオスカー・サラザール氏の研究によると、ボットネット作成のために、エンドユーザー端末に悪質なコードを挿入する必要はなくなったようだ。
両氏の研究では、実在する複数のクラウドプロバイダーから何千もの無料アカウントやトライアルアカウントを入手するスクリプトを作成することによって、何千もの仮想マシン(VM)からリソースを入手できることが判明した。何千もの偽メールアドレスを作成し、それぞれのアドレスでクラウドアカウントを登録して、ボットネットを構築。両者はこの手法で、分散サービス妨害(DDoS)攻撃にも利用できる1000台以上のVMをコントロール可能にした。この研究は、ボットネットが端末を乗っ取ったり、悪質なコードを挿入したり、法律を犯すことさえなく、クラウドを攻撃できることを実証した。
ボットネット攻撃から身を守る
平均的なエンドユーザーはボットネット対策で苦労している。第一線の守りはクラウド事業者が提供すべきだ。さまざまなクラウド事業者の登録プロセスについて調査したが、結果はまちまちだった。
例えば米salesforce.com傘下のHerokuは新規登録者に対し、有効なメールアドレスの提供と確認を義務付けている。詳しい登録手順はメールに記載し、エンドユーザーをその指示に従わせることによって、メールの有効性を確認する。一方、米CloudBeesは新規登録者に対して正しい形式のメールアドレスの提供しか求めておらず、防止策としては甘い。
エンドユーザーは、新しいクラウドプラットフォームの登録プロセスがあまりに簡単過ぎると思ったら、ボットネットやセキュリティ問題に巻き込まれるのを防ぐため、別のプロバイダーの利用を検討した方がいい。
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