代表的なビジネス向け機能を紹介
Apple対抗で無料説も、「Windows 10」は“仕事に役立つ”は本当か
米Microsoftが公開した「Windows 10」のテクニカルプレビュー版には、企業向けの管理機能が数多く搭載されていることが判明した。だが、IT部門がWindows 10への移行を決断するにはまだ情報が不十分だ。
米Microsoftの「Windows 10」には、IT部門向けの管理機能が数多く導入されている。だが、「Windows 8」がもたらした大混乱により、Windows 10への移行に難色を示すIT担当者がいても不思議ではない。
Windows 10は現在テクニカルプレビュー版が公開されている。発売は2015年後半になる見込みだ。また、Windows 10では新旧のWindowsユーザーインタフェース(UI)が融合されることが明らかになっている。さらに、企業のモバイル化から手掛かりを得た仕様になっている。具体的には、業務用のデータと個人用のデータを分離する新しいコンテナ化の機能が搭載されている。
MicrosoftはWindows 10で「企業を重視する」という180度の方針転換を行った。また、「Windows 9」という名称をスキップした。コンシューマーを重視した「Windows 8」は多くの企業で使い物にならなかった。その状況を考えると、この方針転換は待ち望まれていたものだろう。Microsoftは、Windows 8では従業員に実施すべきトレーニングが多すぎるという理由で法人顧客からの抵抗に遭ったことを認めている。
「MicrosoftはWindows 8で大きな企業顧客基盤を失った。また、Windows 7がWindowsの選択肢として確固たる地位を築く結果となった。MicrosoftはWindows 10でこの危機的な状況を打開したいと考えている」とPica Communicationsでプリンシパルコンサルタントを務めるポール・デグルート氏は話す。
アナリストとIT担当者はMicrosoftの意識が企業に向くようになった状況を歓迎している。Microsoftには、まだ顧客を説得すべきことがある。それはハードウェアの更新だ。だが、企業がWindows 10導入のためにハードウェアをどれだけ迅速に更新するかを判断するには時期尚早だ。
「Windows 10を導入するために既存PCの更新を厭わない企業は多くないと予想している。企業ではPCのリプレースに伴って段階的にWindows 10が導入され、Windows 7搭載PCと共存することになるだろう」(デグルート氏)
Microsoftは、全ての種類のデバイスで機能する統一されたOSを提供できることを証明しなければならない。対応すべきデバイスは、「モノのインターネット」(IoT)デバイスからタッチ操作に対応した高解像度のデバイスに至るまで多岐にわたる。企業がWindows 10を導入するには、この対応が重要になる。そう語るのは、カナダのトロントにあるITソリューション/サービスプロバイダーのSoftchoiceでMicrosoft部門のテクニカルサービスマネジャーを務めるティム・マックケリプス氏だ。
Windows 10の企業向け機能
Windows 10のUIは、より直感的に使えることを目指している。これはWindows 8に対する最大の不満であった「UIの使いづらさ」への対応だ。Windows 10では新しいスタートメニューが導入されることが判明している。新しいスタートメニューではプログラムがピン留めされる従来のメニューが、モダンUIの象徴であるライブタイルと共存する。また、Windowsストアアプリがデスクトップのウィンドウでも実行できるようになる。
Windows 10では「スナップビュー」機能が強化される。米Appleの「Mac OS X」の「Mission Control」のような複数のデスクトップビューが新しく導入される。2-in-1デバイスでは、キーボード向けのインタフェースとタッチ操作向けのインタフェースを切り替えることが可能だ。
管理に関しては、新しいコンテナ化の機能が役に立つ。IT部門はこの機能により、デバイスの所有者に関係なく、業務アプリ/データの管理とセキュリティをより厳密に制御できるようになる。また、オプトイン機能も用意されている。企業はミッションクリティカルなアプリとデータをロックダウンした状態で、重要なセキュリティ更新プログラムを受け取ることができる。
だが、Microsoftは、緊急性の高い更新プログラムが顧客の手に渡る前に、このような更新プログラムが確実に機能することを保証しなければならない。「Windows 8.1」では更新プログラムの問題により、Microsoftは2度にもわたって更新プログラムを無効にして、再配信せざるを得ない状況に陥った。
「Microsoftは品質基準を上げるべきである。品質基準を上げなければ、企業はWindows 7を使い続けるだろう」と米Directions on Microsoftでリサーチ部門のバイスプレジデントを務めるウェス・ミラー氏は警告する。
従来のデスクトップ管理製品にWindows 10に組み込まれている管理機能がどう影響するかは明らかになっていない。例えば、デスクトップ管理製品には「Microsoft System Center Configuration Manager」(SCCM)などがある。Microsoftは、「Windows Intune」を始めとする同社のモバイルデバイス管理ツールが全てのWindowsデバイスの管理に対応するとしている。
大手製薬会社でモバイルイノベーション部門のディレクターを務めるブライアン・カッツ氏は、次のような疑問を投げ掛けている。「これはSCCMから手を引いて、Intuneに注力していることを意味するのだろうか。それとも、SCCMは変革の道をたどるのだろうか。いずれにしても興味深いモデルだ」
Windows 10のテクニカルプレビュー版はIT担当者もユーザーも「Windows Insider Program」からダウンロードできる。
近い将来Windows 10は無料になるのか
Windows 10の価格と提供開始時期が明らかにならない限り、企業が導入を検討することはないだろうとミラー氏はいう。また、AppleのiOSの計画に倣って、MicrosoftがWindowsを無料で提供するようになるのではないかという見方をする業界関係者もいる。だが、Microsoftは、このような計画について何のコメントも発表していない。
OSの無料化についてAppleはMicrosoftに大きなプレッシャーを掛けている。そう語るのは、Portland Community Collegeでプログラマーとアナリストを兼任しているリック・ゲッター氏だ。
「OSが無料になれば、企業では物事が大幅に簡略化される。だが、アップグレードパスが組み込まれたライセンス契約を交わしている企業は少なくない」(ゲッター氏)
現在、「Microsoft Store」では「Windows 8.1 Pro」が199.99ドル(2万7864円)で販売されている。だが、Microsoftは9インチ以下のタブレットやスマートフォンを製造しているメーカーに無償でWindowsを提供している。また、低価格のPCメーカーに対してはライセンスの価格を引き下げている。
今後、Microsoftがどのような決断を下すかに注目したい。
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