Windows仮想デスクトップをローカルで
MacユーザーにWindows環境を提供、「VMware Horizon FLEX」とは?
米VMwareの「VMware Horizon FLEX」では既存のテクノロジーを組み合わせて、オフラインの仮想デスクトップを提供する。だが、現時点ではこの製品がどれだけ普及するかは未知数だ。
仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)に代わるBYOPC(私物PCの業務利用)ワーカー向けの手段を求めているIT部門は、間もなく新たな選択肢を手に入れる可能性がある。この手段によって、仮想デスクトップはオンラインとオフラインの両方で実行できるようになる。また、仮想デスクトップは米Appleの「Mac」と米Microsoftの「Windows」の両方で実行可能だ。
米VMwareの「VMware Horizon FLEX」がエンドユーザーに提供する仮想デスクトップはローカルで動作する。また、仮想デスクトップでは、ポリシーエンジンサーバが一元管理している仮想マシン(VM)がサポートされる。同製品では「VMware Fusion」「VMware Workstation」「VMware Player」などと同様に、既存のタイプ2ハイパーバイザーが活用されている。
Horizon FLEXではMacとWindowsの両方がサポートされる。米Citrix Systemsの「DesktopPlayer」はMacクライアントしか提供されていない。Windowsクライアントは現在テクニカルプレビュー版の段階にある。他には米Moka5からもFusionをベースにした同様の製品が提供されている。
Horizon FLEXの効果が最も見込まれるユーザーは、個人所有のMac/Windows PCを仕事に使用している従業員と一定期間だけ会社の情報へのアクセスが必要な契約社員だ。Horizon FLEXを使用すると、IT部門はユーザーによるアクセスを管理して、仮想デスクトップイメージに有効期限を設定できる。
一部の組織にとって、Horizon FLEXは「VMware Horizon 6」と「VMware Horizon DaaS」(現在は「Horizon Air」に改称)の両方に取って代わる存在となる。Horizon 6では自社のデータセンター内に独自のアプリとVDI環境を構築するタイプで、Horizon DaaSではVMwareのパブリックデータセンターからVDI環境が配信されるタイプの製品/サービスだ。
Horizon FLEXが誕生するまで、Fusionのタイプ2ハイパーバイザーテクノロジーを使用してMac上でWindowsデスクトップとアプリケーションを実行していたユーザーの大半は“プロシューマー”(プロ向けの製品を使用する一般消費者)だった。そう語るのは、米Forrester Researchでアナリストを務めるデビッド・ジョンソン氏だ。
「企業のIT部門がFusionを管理する能力を高めることは極めて重要だ。VMwareはFusionを管理するツールを提供してきたが、妥当性に欠けていた」(ジョンソン氏)
Horizon FLEXは、ポリシーエンジンサーバを使用することで、そのような管理能力を実現している。具体的には、リモート強制終了による仮想デスクトップの無効化、イメージの有効期限、ネットワークとUSBの制御といった機能の管理にポリシーエンジンサーバを使用している。また、デスクトップとアプリケーションのイメージをレイヤーとして管理するために「VMware Mirage」を使用している。管理者はエンドユーザーのデータや個人設定に影響を与えることなく、レイヤーを更新できる。
Horizon FLEXによって、IT部門のデバイス管理作業は簡略化されるだろう。特に、私物のノートPCやMacなどを含むBYOD(私物端末の業務利用)を奨励している企業では、その恩恵があるだろう。
「新しく購入したMac/Windows PCやUltrabookに搭載されているOSを撤去して、代わりに会社が用意したOSをインストールすることを望む人はいない。Horizon FLEXを使用するのが賢明だろう」とジョンソン氏はいう。
Horizon FLEXを使用すれば、IT管理者は個人または会社が所有するPCに仮想デスクトップを展開するときに、展開先のPCにインストールされているものについて心配する必要がなくなる。そう語るのは、薬局向けの自動化テクノロジーを提供する米Parata Systemsでシステムアーキテクトを務めるジョン・ハウ氏だ。
「この製品は、BYOPCのポリシーを施行している企業に大きな変革をもたらすだろう」とハウ氏は話す。
メモリ領域とユーザーエクスペリエンスに関するHorizon FLEXの問題点
Horizon FLEXには欠点も幾つかある。ジョンソン氏は、一部のユーザーが既存のPC上でWindows環境を動作させることに同意しない可能性があると推測している。
「動きが自然ではない。VMwareがFusionで素晴らしい成果を上げているのは事実だ。例えば、Windowsアプリケーションをアイコン化してMac環境に組み込んでいる。だが、まだシームレスな動作が実現されているとはいえない」(ジョンソン氏)
もう1つの問題は、Horizon FLEXの仮想デスクトップをPC上で実行するのに必要なメモリの量だ。Horizon FLEXの仮想デスクトップは、ネットワーク経由で導入するか、USBドライブを使用して導入できる。
「仮想デスクトップの実行には、少なからぬ量のメモリとCPU時間が必要になる。また、USBドライブをPCに差したままにしないのであれば、ディスクの空き領域も必要になる。企業で使用するWindowsイメージのサイズは数百Gバイトにも上ることがある」とジョンソン氏は指摘する。
必要なメモリの量は組織のニーズによって異なる。米アラスカ州の公益事業会社でITディレクターを務めるマット・コシュト氏によると、ほとんどのPCは基本的な「Microsoft Office」アプリケーションとレガシーアプリケーションを実行するVMに対処できるという。
「計画を立てれば、それほど大きな問題ではない」(コシュト氏)
VMwareは、2014年第4四半期の後半にHorizon FLEXを一般公開する予定だ。1デバイス当たりのライセンス価格は250ドルの予定だ。同社の広報担当者によると、ポリシーエンジンサーバは軽量で、IT部門がこれ以外のハードウェアを追加する必要はない。
VMwareがDaaSベースのDRとスタンドアロンの「CloudVolumes」を追加提供
VMwareは、Horizon Airの一部として、DaaS(Desktop as a Service)ベースの災害復旧(DR)オプションを追加することを計画している。このオプションを使用すると、致命的な障害やサービス停止が発生した場合でも、クラウド上でホストされているデスクトップとアプリケーションにアクセスできる。そのため、物理デスクトップ向けDR製品に関するニーズは減少することが予想される。
「従業員が社外に持ち出しているPCが破損しても、リモートで新しいイメージを配信できる。そのPCを社内に持ち込む必要はない。これは非常に魅力的なオプションだ」とコシュト氏は語る。
「Horizon Air Desktop DR」は2014年第4四半期中に提供される。ライセンス価格は、1デスクトップの予約につき月額5ドルからになる見込みだ。DRが必要になった事象が発生したことを利用者が申告すると、VMwareによって予約済みのクラウドデスクトップが有効になるという仕組みだ。利用者が破損した環境を再構築する間は週単位の追加料金が課金される(金額は予約したデスクトップの台数とサイズによって異なる)。
またVMwareは、最近買収した米CloudVolumesを「VMware App Volumes」と改称している。同製品は、2014年第4四半期の後半にHorizon 6の最上位バージョン「Horizon 6 Enterprise」に統合され、スタンドアロン製品として、1同時接続ユーザー当たり150ドルの価格で提供される。App Volumesでは、Citrix SystemsなどVMware以外の環境が引き続きサポート対象になる。
また、Horizon Airのサポートは、2015年の第1四半期にフランスとドイツに拡大される予定だ。英国では2014年からこのサポートが提供されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー