端末よりデータ/アプリの管理が中心に
初代「iPhone」登場で生まれた“スマホセキュリティ”がますます重要になる理由
企業の“スマホセキュリティ”は成熟するにつれて、その保護対象が変化している。現在は、端末そのものよりもデータやアプリの管理の方が重要であると認識され始めている。この市場のこれまでとこれからを考察する。
企業でのモバイルセキュリティが成熟するにつれて、端末そのものよりもデータやアプリの管理の方が重要であることが明確になり始めている。
米Appleの初代「iPhone」がリリースされた2007年6月が“現代”のモバイル市場の幕開けとされている。多くの企業ユーザーが、カナダBlackBerryの「BlackBerry」を廃止し、新しく魅力的なタッチスクリーン対応デバイスから会社の電子メールやその他のシステムにアクセスできるようにすることをIT部門に求めた。
通常、IT部門はセキュリティに関する懸念から、モバイルデバイスから社内システムへのアクセスは拒否していた。だが、役員クラスから要請が来るようになると、CIO(最高情報責任者)やIT部門の責任者は対応せざるを得なくなった。その結果、BYOD(私物端末の業務利用)という潮流が生まれた。
BYODの環境においても、モバイルセキュリティとエンタープライズモバイル管理はIT部門の主な懸念事項だった。そのため、CIOはBlackBerryの「BlackBerry Enterprise Server」と同じような機能を備えたツールを探し始めた。これがモバイルデバイス管理(MDM)市場の誕生するきっかけとなった。
当初、MDMに求められていた機能はごく初歩的なものだった。最も重視されたのは、使用中のデバイスのカタログ化、基本的なセキュリティ対策機能(デバイスの暗号化や適切な電源投入時のパスワードなど)がデバイスに搭載されていることの確認、従業員の退職時やデバイスの紛失/盗難時にデバイスのデータをリモートで削除することだった。
セキュリティに敏感な企業はMDMシステムへの投資を開始した。MDMシステムはモバイルOSによって機能が異なり、デバイスの暗号化など企業向けの機能が使用できない場合もあった。このような状況を受けて、さまざまな機能にアクセスできるようモバイルOSベンダーはAPIを提供するようになった。
例えば、Appleは2009年にリリースした「iOS 3」に初めてデバイスの暗号化機能を実装した。一方、米Googleが「Android」にデバイスの暗号化機能を実装したのはそれから2年後のことだった。その結果、企業環境では、Android搭載デバイスではなくiOS搭載デバイスが一般的にサポートされるようになった。幸い、現在はiOS、Android、Microsoftの「Windows Phone」で同等レベルのセキュリティが提供されるようになっている。
エンタープライズモバイルセキュリティの焦点は、MDMからモバイル情報管理(MIM)とモバイルアプリ管理に移行している。この2つの機能の追加により、従来のMDMベンダーの多くは「エンタープライズモビリティ管理」(EMM)という名称を使用するようになった。
初期のMDM製品はデバイスの暗号化を強制することを目的としていた。一方、MIMは総合的なアプローチによってデータを保護している。一般的な構成では、セキュアコンテナ(サンドボックス)が作成され、業務用の領域と個人用の領域に分離される。また、セキュアコンテナにある全てのデータとアプリは暗号化され、パスワードで保護される。
BlackBerryは「BlackBerry 10」の「BlackBerry Balance」機能によって、セキュアコンテナというアイデアの先駆者となっている。その実装は今でも「最も洗練された」セキュアコンテナ機能の1つだ。業務モードと個人モードの切り替えでは一流の操作性が実現されている。ほぼ全てのEMM/MDMサプライヤーが、iOSとAndroidで機能するセキュアコンテナを提供している。また、中にはWindows Phoneに対応したセキュアコンテナもある。
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