動的メモリ、VMのライブバックアップなど
「Hyper-V」がLinux VM対応を拡張、新たに使える6つの機能とは?
米Microsoftの「Hyper-V」の最新版では、Linux仮想マシンのサポートが拡張された。「動的メモリ」や「ライブVMのバックアップ」といった高度な機能がLinux VMでも使えるようになる。
米Microsoftは長い時間をかけて「Hyper-V」ロールに幾つかの大きな変更を加えてきた。具体的には、「動的メモリ」「仮想マシン(VM)のライブバックアップ」「クラウドへのバックアップ」「VHDXのオンラインサイズ変更」「第2世代のVMのサポート」などの機能がある。だが、これらは主に同社の「Windows」を実行しているVMを対象とする機能として設計されていた。運用環境によっては種類の異なるOSが共存している場合があるが、この中にLinuxディストリビューションが含まれることも考えられる。Hyper-Vの初期リリースでは、「Linux Integration Services」(LIS)というアドオンコンポーネントが用意されており、Linuxディストリビューションを実行するVMで最小限の機能セットがサポートされる。最近になって同社は複数のベンダーと協力して、新機能を追加し、最近のバージョンのLinuxディストリビューションにLISをインストールする要件を取り下げた。
動的メモリ
動的メモリはLinux VMで使用できることが長く望まれてきた機能だ。「Windows Server 2012 R2」以降、Windows Server 2012 Hyper-Vホストで実行しているLinux VMでホットアドやメモリの削除が完全にサポートされるようになった。Windows Server 2012 Hyper-Vホストで実行しているLinux VMで動的メモリを機能させることはできるが、公式にはサポートされていない。Hyper-VがLinux VMにメモリを割り当てる必要があるときは常に動的メモリのホットアド機能を使用する。実際には、この機能はHyper-Vホストが実装するものである。Hyper-VがLinux VMからメモリをいくらか回収する必要が生じた場合は、LISのコンポーネントとしてインストールされているバルーニングドライバを使用する。
注意しなくてはならないのが、動的メモリは64ビット版のLinuxディストリビューションでしか使用できないことだ。また、Linuxディストリビューションによっては、この機能のサポートを手動で有効にしなければならない。例えば、「CentOS」や米Red Hatの「Red Hat Linux」ディストリビューションでは、「/etc/udev/rules.d」というパスの下に「udev」ルールを作成して動的メモリのホットアド機能を有効にする必要がある。
VMのライブバックアップ
以前のバージョンのHyper-Vでは、バックアップを作成するときにLinux VMを一時停止する必要があった。Windows Server 2012 R2 Hyper-VホストでLinux VMを実行している場合、「Windows Serverバックアップ」など互換性のあるHyper-Vバックアップツールを使用すればダウンタイムを発生させることなくバックアップすることが可能だ。Windows VMは「ボリュームシャドウコピーサービス」(VMM)を利用してライブバックアップを開始するので、2種類のバックアップをサポートできる。具体的には、「ファイルシステムのバックアップ」(VHDレベル)と「アプリケーションの一貫性が確保されたバックアップ」だ。一方、MicrosoftがLinux VMに導入したファイルシステムスナップショットドライバでは、ファイルシステムベースのバックアップしか実行できない。また、既知の問題として、iSCSIデバイスまたはパススルーディスクをLinux VMに接続すると、Linux VMのライブバックアップは失敗する場合があることが報告されている。
第2世代のVMのサポート
以前Linuxディストリビューションを第2世代のVMとしてインストールすることはできなかった。だが、Windows Server 2012 R2以降、新しいLinuxディストリビューションは第2世代のVMとしてインストールできるようになった。例えば、CentOS、Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux 7.0」、独SUSEの「SUSE Linux Enterprise Server(SLES) 12」、英Canonicalの「Ubuntu 14.10」などが対象となる。また、第2世代のVMではデフォルトでセキュアブートが有効になっていることにも注意しなくてはならない。Linux VMではセキュアブートオプションがサポートされていないので、Linux VMのプロパティページで無効にするか、Hyper-Vホストで「Windows PowerShell」コマンドを実行する必要がある。
オンラインバックアップ
Windows Server 2012 R2 Hyper-Vホストで実行しているLinux VMではオンラインバックアップもサポートされるようになった。「Microsoft Azure Online Backup」ユーティリティと「Microsoft System Center Data Protection Manager」を使用して、実行中のLinux VMを「Microsoft Azure」にオンラインでバックアップすることができる。
VHDXのオンラインサイズ変更
ダウンタイムを発生させることなく、Linux VMに接続されている固定のVHDXファイルのサイズを変更できるようになった。これは、多くの組織がLinux VMで使用できるようになることを待ち望んでいた機能だ。VHDXファイルのサイズをオンラインで変更できる機能があれば、複雑な変更管理手順を踏む必要がなくなり、ダウンタイムを発生させることなく重要なLinuxワークロードのストレージを増やすことが可能になる。ただし、Linuxディストリビューションの中には、この機能がサポートされていないものもあるので留意されたい。
ホストからLinux VMへのファイルのコピー
Windows Server 2012 R2 Hyper-Vでは「統合サービス」のコンポーネントとして「ゲストサービス」が導入されている。ゲストサービスを有効にするとLinux VMにファイルをコピーできる。LISでは「hv_fcopy」というデーモンが提供されている。本稿執筆時点では、ファイルのコピー機能はCentOS、Red Hat 6.6/7.0、SUSE SLES 12、「Ubuntu 14.10/14.04」でのみサポートされている。
MicrosoftはWindows VMに主眼を置いてHyper-Vの新機能を開発してきたが、Linuxディストリビューションでも多くの機能が使用できるようになった。この変化により、LinuxワークロードをHyper-Vサーバ仮想化プラットフォームに統合しようとしている組織は大きな恩恵を受けられるようになるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
5
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
AI導入後に発覚する「社内文書を読めない」問題 情シスは何を直せばいい?
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー