医療スタッフも患者も気軽にネット接続する時代に
聴診器と同じようにタブレットを携帯――増えるIT医師に必要なインフラとは?
ほぼ全ての医師が勤務時間中にモバイルデバイスを使用している。医療機関はワイヤレスインフラを拡充し、このトレンドに対応する必要がある。
医療現場において、タブレットとスマートフォンは聴診器と同じくらい普遍的な存在になっている。2013年に実施した調査では、日々の臨床活動でスマートフォンを使用している医師は86%、タブレットを使用している医師も半数以上いることが明らかになった。現時点では、この数値がさらに高くなっていることは間違いない。この調査では、2014年までに90%以上の医師がスマートフォンを導入し、ほぼ同数の医師がタブレットを使用するようになると予想している。医療現場でモバイルデバイスが普及するのは非常に理にかなっているといえる。
モバイルデバイスが医療現場で普及する2つの理由
モバイルデバイスが医療現場で普及している理由の1つは利便性だ。1台の携帯デバイスで、医師は患者の情報にアクセスできるだけでなく、医学文献の調査、患者や同僚との安全な情報交換などを行うことができる。もう1つの理由は、医療分野に的を絞ったアプリが提供されていることだ。ある推定によれば、モバイルデバイス向けの臨床アプリの数は9万5000個もあるという。
医療現場でモバイルデバイスが使用されるようになったことで、医療機関ではワイヤレスインフラの導入が進んでいる。米ABI Researchのリポートでは、医療現場におけるワイヤレステクノロジーの発展の理由を「スタッフのモビリティ、デジタルレコードの送信、画一的な投薬管理、強力な資産管理などを医療業界が求めている」からだとしている。
スマートフォンやタブレットなどのデバイスのモビリティ/利便性とさまざまな臨床アプリが利用できるという状況の相乗効果は、医師にメリットをもたらす可能性がある。『Wi-Fi Enabled Healthcare』という書籍によれば、ワイヤレス機能の導入によって、医療現場には幾つかのメリットがもたらされるという。そのメリットは次の通りだ。
- ワークフロー:Wi-Fiによって診療現場でアプリを使用して情報を入力したり、臨床記録や診断、患者/スタッフトラッキングなどの患者情報に素早くアクセスできる
- コミュニケーション:Wi-Fiがあれば、モバイルデバイスを使用して医師と患者が安全にリアルタイムのコミュニケーションを容易に行うことができる
- 救急治療:搬送中や、通報者が患者の自宅にいるときでも、救急隊からの情報を伝えることができる
- 資産管理:機器の場所や状態を送信して、機器の場所を簡単に特定できる
- データアクセス:Wi-Fiを使用するモバイルアプリによって、電子カルテのデータなど、患者に関する重要なデータの収集、分析、共有を容易に行えるようになる
医療施設でWi-Fiの導入が継続的に求められている理由には、タブレットとスマートフォン以外にも、さまざまな医療デバイスやアプリの存在がある。米Wi-Fi Allianceは、その例として、点滴ポンプや酸素監視デバイス、スマートベッドなどのデバイスを挙げている。また、電子カルテへのアクセスやX線/MRI装置へのリアルタイムアクセスを行うミッションクリティカルな情報アプリも挙げている。Wi-Fiは、高品質の遠隔医療にも対応しており、地理的に離れた地域や医療サービスが充実していない地域に医療サービスを提供できる。また、医療施設内のサービスも大幅に向上できる。
臨床情報や管理情報へのモバイルアクセスの需要の高まりも医療現場でWi-Fiの使用が増えている一因となっている。ABI Researchの予測によると、医療関係のWi-Fiサービス市場の規模は2016年までに約13.4億ドルに達するとされている。この数値は、スマートフォンとタブレットユーザー数の増加と併せて、Voice over Wi-Fiやリアルタイム位置認識システムなど、医療現場でのWi-Fiの新しい用途の拡大によって、さらに増加することが予想される。
ABI Researchのリポートでは、現在のWi-Fiアプリに、「Wi-Fi接続を活用してモバイル監視機能をサポートする新世代のメディカルボディエリアネットワーク(MBAN)」が加わると予測している。2016年までに約3000万台のMBANデバイスが出荷される見込みだ。
Wi-Fi-が医療機関で働く医師や管理者による情報のアクセス方法、収集方法、使用方法を変えているのは紛れもない事実だ。また、Wi-Fiは、入院生活の質の向上にも貢献している。患者が病院内で自分のスマートフォンやタブレットを使用して安く簡単にインターネットにアクセスし、友人や家族と連絡を取れることは、寂しさやストレスの緩和に役立っている。Wi-Fiの導入により、ワークフローが改善され、医師が迅速に重要な情報にアクセスできるようになる。このように、Wi-Fiは医療機関が提供する医療サービスの効率を向上するための大きな役割を果たしている。
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