多要素認証製品を賢く選ぶ第一歩
パスワードだけでは不安な人に贈る「多要素認証製品」8選
ID/パスワード認証の限界が指摘される中、注目度が高まりつつあるのが「多要素認証」だ。有力な多要素認証製品をチェックしていこう。
複数の方法で本人確認を求める多要素認証は、企業のリソースやアプリケーションへのアクセス、オンライン取引をしようとするエンドユーザーのセキュリティを強化する。単純なパスワード認証だけでなく、スマートフォンのソフトウェアや指紋、声紋といった追加要素を使った認証も要求し、ハッカーがログインプロセスを悪用してデータを盗むといった悪事を働くことを困難にする。パスワードが流出した場合や、エンドユーザーが多くのサービスでパスワードを流用している場合も含めてだ。
多要素認証技術の導入を決定した、あるいは決定しようとしている企業は、多要素認証製品の評価と調達の基準について、しっかり学んでおかなければならない。そうすれば、多要素認証製品を選ぶ際に、自社の環境や認証ニーズに該当するユースケース(米Microsoftの「Active Directory」認証の強化、強力な本人確認、Webサーバログオン認証の増強など)に、どのような多要素認証製品の機能が最も合うか的確に見極められるだろう。
主要な多要素認証製品をチェック
多要素認証製品/サービスを手掛けるベンダーは非常に多い。いかに下調べをして準備を整えた上で評価プロセスに入っても、最適な製品を選ぶのは、企業にとって至難の業だ。以下では、製品選びの出発点として、市販されている主な多要素認証製品を紹介する。
EMC「RSA Authentication Manager」「RSA SecurID」
米EMCの「RSA SecurID」(同社の「RSA Authentication Manager」で管理されるトークン)は、最も歴史の長い多要素認証製品だ。RSA SecurIDが生成する追加要素を用いた認証で、アプリケーションのセキュリティを確保する。ハードウェアトークン市場では、RSA SecurIDは最大のシェアを持つ。
RSA Authentication Managerは、非常に複雑なトークン承認ワークフローを効率化する。具体的には、エンドユーザーが一般的なトークン管理作業をするのに役立つセルフサービスWebポータルを備える。
Symantec「Symantec Validation and ID Protection Service」
EMCのRSA部門と同様に、米Symantecも多要素認証を長年手掛け、この分野の最大手の一角を占める。同社の「Symantec Validation and ID Protection Service(VIP)」は、幅広いハードウェア/ソフトウェアトークンが利用でき、その中にはSMSサービスと音声通話の両方を使うスマートフォン用アプリケーションも含む。VIPは広く普及し、100サイト以上のWebサイト認証に利用されている。
CA Technologies「CA Strong Authentication」
米CA Technologiesの「CA Strong Authentication」は、Windows版とSaaS(Software as a Service)版(名称は「CA Secure Cloud」)で提供されている。ポリシーの構成やアクティビティの監視、攻撃が疑われる事例を調査するための管理機能を完備。トークンの追跡や、どのアプリケーションで厳しい多要素認証が利用可能なのかの理解を容易にする。ユニークな機能として、企業がパスワードの保存や送信を不可にできることが挙げられる。この機能を使えば、パスワードは実質的に「破られない」と見なせる。
VASCO Data Security「IDENTIKEY Server」「DIGIPASS」
米VASCO Data Securityの「IDENTIKEY Server」は、同社の多要素認証ソフトウェアとトークン「DIGIPASS」で構成される。市場で最も包括的な多要素認証製品の1つで、幅広いトークンタイプやモバイルOS、スマートフォン、認証方法が選択できる。また、VASCOはMicrosoftのWebメールサービス「Outlook Web Access」やWebサーバ「インターネットインフォメーションサービス(IIS)」、リモートデスクトップWebインタフェース用の認証プラグインを提供。顧客が多要素認証を既存アプリケーションに組み込むためのAPIベース製品もラインアップしている。
SecureAuth「SecureAuth IdP」
今回取り上げた中でややユニークな製品である米SecureAuthの「SecureAuth IdP」は、多要素認証とシングルサインオン(SSO)認証の両方の機能を兼ね備えている。企業はSecureAuth IdPを使うと、多様なハードウェア/ソフトウェアトークンを利用した強固な多要素認証機能を利用できる。SecureAuth IdPをActive Directoryなどのディレクトリサービスに接続すれば、各種アプリケーションのユーザー認証をするWebベースポータルにエンドユーザーをサインインさせることもできる。そうすれば、エンドユーザーはこれらのプログラムそれぞれのパスワードを覚える必要がなく、場合によっては知る必要もなくなる。
Dell「Defender」
米DellがQuest Softwareの買収で獲得し、改称した「Defender」は、中堅企業向けの認証製品だ。多彩な機能を取りそろえ、一般的な多要素認証のユースケースで利用でき、価格は手頃だ。Defenderを利用すれば、エンドユーザーはセルフサービスポータルへアクセスしてソフトウェアトークンを要求したり、ハードウェアトークンを登録したりできるようになる。またDefenderは、シングルサインオン(SSO)機能を備えたDellの「Cloud Access Manager」と連係する。Cloud Access Managerは、認証連係技術「SAML(Security Assertion Markup Language)」を使ったクラウドサービスへのログインを可能にし、多要素認証をこれらのサービスに拡張する。
SafeNet「SafeNet Authentication Service」
米SafeNetの「SafeNet Authentication Service」は、幅広いトークンやモバイル/デスクトップ認証コードが利用可能な多要素認証サービスだ。このサービスは、ユーザーにパターンをタイプ入力するよう求めるグリッド型トークンを使用する「マトリクス認証」が利用できる点や、企業が必要とする24時間の可用性、無料トークン、管理コンソール、といった全ての要素について、ユーザー単位のサブスクリプションベースの料金モデルを採用している点がユニークだ。この料金モデルのおかげで、企業は導入コストを見積もりやすい。また、SafeNetは今回取り上げた多要素認証製品の中で、最も広範なポリシー、ロール割り当て、ユーザーグループを扱うことができる。このため、IT部門はさまざまな個人やグループごとに異なる認証レベルを設定しやすい。
Okta「Okta Verify」
SecureAuth IdPと同様に、米Oktaの「Okta Verify」は、多要素認証とSSOの両方の機能を提供する。多要素認証ツールとしては、一般的なユーザー名/パスワードによるさまざまなサーバやサービスへのログインセキュリティを強化する。SSOツールとしては、企業のSSO認証基盤の役割を果たすWebベースポータルに、エンドユーザーがサインインできるようにする。他の多要素認証製品とは異なり、Oktaは“ジャストインタイム(JIT)プロビジョニング”というユニークな機能を備えている。この機能を使うと、企業は自社のActive Directoryアカウントを全てインポートすれば、Okta Verifyがそのアカウントの作成を試みることができるように設定できる。
結論
今回取り上げた製品は、いずれも強固な多要素認証製品だ。さまざまなタイプのトークンを選択可能にしており、認証方法への対応でも柔軟性を発揮する。
しかし、これらの製品には違いがある。価格や管理、リポート機能などが違うだけではない。モバイル端末の利用やリスクベース認証のような新技術、「FIDO」などの規格をどのようにサポートしているかもまちまちだ。そのため、多要素認証技術を導入しようとしている企業は、製品の選択に当たってこうした要素を全て考慮する必要がある。
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