「懐かしい」だけではない危険性
「Microsoft Excel」「Word」標的のマクロウイルスに再び注意すべき切迫した理由
2000年代初め以降、マクロウイルスの勢いは衰退の一途をたどっていた。しかし、最近ではマクロ機能を悪用したマルウェアが再び増加の傾向を示している。企業は今、どのような対策を講じればいいのだろうか。
マクロウイルスやマクロ機能を悪用したマルウェアが企業に対する脅威として浮上しつつある。ウイルス対策ソフトウェアでの対応だけでは限界を迎える恐れがある。
米情報セキュリティ専門機関SANS Instituteの脅威調査部門Internet Storm Centerでインシデント対応を担当するダニエル・ウェーゼマン氏は、マルウェア「Dridex」「VAWTRAK」の亜種が「Microsoft Office」のマクロ機能を悪用して、銀行情報を盗むマルウェアをダウンロードしていることを発見した。
Dridexが発見されたのは今回が初めてではない。トレンドマイクロは2014年11月に銀行情報を狙う同マルウェアの出現を確認している。ユーザーにマクロ機能を有効にするよう促し、有効にするとDridexがPCにダウンロードされる手口となっている。英Bank of Scotland、英Lloyds Bank、英Barclays、スペインSantanderなどの銀行が狙われ、PCの画面を画像として取得したり、Webページから入力情報を収集したりするなどして銀行情報を盗んでいた。
VAWTRAKがマクロウイルスとして見つかったのは今回が初めてだった。同ウイルスは日本の警察庁が2013年8月に、エクスプロイトキット「Angler Exploit Kit」を通じて仕込まれているのを発見。2014年1~5月にかけて14億円以上の不正送金被害を引き起こした。トレンドマイクロによれば、その後も米Bank of America、英Barclays、米Citibank、中国HSBC、米J.P. Morganなどの銀行も標的にされているという。
ウェーゼマン氏は最近になって、米物流大手FedExの荷物配送通知や税金還付通知を装ったスパムメールで被害者にVAWTRAKが送り付けられているのを発見した。トレンドマイクロは米航空会社American Airlinesを装ったメールでも見つかったと伝えている。ウェーゼマン氏によると、メールではユーザーにマクロ機能を有効にするよう促して、有効にするとバッチファイル、Visual Basicスクリプト(.VBS)およびPowerShellスクリプトがPCにダウンロードされてシステムがマルウェアに感染する仕組みだという。
2000年代初めには、「Melissa」や「Love Bug」をはじめとした数々のマクロウイルスがインターネットで猛威をふるった。しかし、それ以降は鳴りを潜めていた。ウェーゼマン氏は、こうした攻撃が再び流行する可能性があると考えている。電子メールやWebゲートウェイ上でファイルの拡張子に基づきマルウェアを遮断する方法は、実行可能ファイル(.EXE)やスクリプトファイル(.SCR)、あるいはそうしたファイルを格納したZIPのみを対象としている場合がある。さらに、VAWTRAKがダウンロードするマルウェアの実行可能ファイルは、ウイルススキャンサービス「VirusTotal」のリストに掲載された52種類のウイルス対策製品やエンジンのうち、7種類でしか検出されなかったという。
トレンドマイクロでは感染を防ぐための対処法として、IT管理者がグループポリシーの設定を通じてOfficeアプリケーションのマクロセキュリティ対策を徹底すること、安全が確認されるまで金融関連のメールは無視するよう従業員に指示することを挙げている。
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