医療IT最新トピック
日本郵政グループがIBM、Appleと業務提携する意味
日本郵政グループがタブレットを活用した高齢者向けサービスの提供を目指し、米IBM、米Appleと業務提携。その狙いは。医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、日本郵政グループの米IBM、米Appleとの高齢者向けサービスでの業務提携、有名医師が自らかかりたい病院や医師の情報公開、島根大学らが成功した救急患者搬送時の病院前救護における実証実験などを取り上げる。
亀田メディカルセンター、情報伝達ツールを統合してポータルサイトを構築
医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター(千葉県鴨川市)が日本マイクロソフトのオンラインサービス群「Microsoft Office 365」を導入した。鉄蕉会では、既存の情報伝達ツールをOffice 365に統一し、院内データをオンライングループウェアの「SharePoint Online」で構築したポータルサイトに集約した。SharePoint Onlineの導入には、ソフトバンク・テクノロジーの導入支援サービス「SharePoint Onlineスターターパック」を活用した。
システム導入に当たり、鉄蕉会側は「各種連絡ツールの円滑な移行・統合」「情報共有窓口の一本化」「データベース集約を目的とした院内ポータルサイトの構築」「エンドユーザーへの導入時サポート」「利便性の向上とセキュリティを担保した認証基盤の整備」などの要件を求めていた。ソフトバンク・テクノロジーは、メールシステムの移行支援やOffice 365を「Active Directory」と連係してアクセスを制御する自社サービス「ADFS on Cloud」、SharePoint Onlineスターターパックなどの導入を提案した。院内の円滑なコミュニケーションと業務効率化の実現に加え、クラウドへの移行でサーバ構築や運用保守コストの削減に効果があったという。
現在、同会では「Lync Online」によるプレゼンス(在席情報)確認やインスタントメッセージ、Web会議などを使い分けて、効率的で密度の高いコミュニケーションの実現や認証基盤の整備を検討している(発表:ソフトバンク・テクノロジー<2015年4月21日>)。
メンタルヘルス市場、法改正の影響もあり拡大傾向――富士経済調べ
市場調査会社である富士経済が調査リポート「2015 注目ヘルスサポート関連市場の現状と将来展望」を発表した。予防医療や予後医療をサポートする注目ヘルスサポート関連機器・システム15品目とサービス10業態の各市場を調査した結果と、市場の動向予測をまとめている。同社は、メンタルヘルス障害(うつ病)を対象とした予防・対策サービスの2015年の市場規模を76億円と見込み、2020年の市場規模を150億円と予測する。2015年12月施行予定の「労働安全衛生法の一部を改正する法案」において従業員数50人以上の全ての事業者にストレスチェックの実施が義務付けられていることが、同市場拡大の要因になると、同社は分析する。
また、2020年のストレスモニター市場は2014年比5.4倍の27億円になると予測する。ストレスモニターとは、脈波や心電波などの計測結果を基に交感神経と副交感神経のバランスなど、自律神経の状態(疲労・ストレス状態)を評価する機器を指す。富士経済は2016年以降には、家電製品のように気軽に購入可能な個人ユーザー向け製品が投入されると予想する(発表:富士経済<2015年4月23日>)。
有名医師が選ぶ「自らかかりたい病院」を検索可能に――QLifeが9000件以上のデータを公開
病院・医薬品検索、医療情報提供サービスなどを手掛けるQLifeは、約3000人の医師が選んだ「自分がかかりたい病院、医師」の詳細データ9232件を公開した。Webサイトから無料で閲覧できる。専門病院(5813科)、ホームドクター(2357クリニック)、実力医(1062人)のカテゴリに分類。具体的には、各医療機関の詳細画面に「名医の推薦分野」「実力医」タブを表示する。ライフ企画が発行する書籍のデータを引用している(発表:QLife<2015年4月23日>)。
電子カルテと介護システムの情報をiPad 1台で閲覧可能に、CSIとNDSが協業
電子カルテシステム事業を展開するシーエスアイ(CSI)と、介護・福祉・医療関連ソフトウェア事業を展開するエヌ・デーソフトウェア(NDS)が医療介護システム分野で技術提携し、両社のシステム間での情報連係を開始した。両システムの情報は米Appleの「iPad」などのタブレットで閲覧できる。
CSIが開発した電子カルテシステム「MI・RA・Is」とNDSが開発した医療・介護・生活支援一体型システム「Personal Network ぱるな」を連係することで、医療情報や介護情報など利用者(患者)に関する全ての生活記録を、医療・介護スタッフや民生委員・NPO(特定非営利活動)法人・患者、利用者などの関係者間で共有できる。CSIとNDSは今後、在宅医療・介護分野での連携強化を図り、政府が進める「地域包括ケアシステム」の実現を支援する(発表:CSI、NDS<発表:2015年4月27日>)。
医療機器を電子キーで制御するセキュリティ対策サービス、サウスコ・ジャパン
各種機器の物理/電子アクセスを制御する装置を手掛けるサウスコ・ジャパンが電子アクセス制御サービスを事業展開する。医療情報管理の物理セキュリティ対策の強化策に位置付ける。電気的に鍵を開閉する同社の電子ロータリーラッチ「R4-EM」とキーパッドやカードリーダーなどの各種アクセス制御装置を組み合わせた医療機器用の電子アクセスシステムを提案する(発表:サウスコ・ジャパン<2015年4月30日>)。
日本郵政グループと米IBM、米Appleが高齢者向け生活向けサービスで業務提携
日本郵政グループと米IBM、米Appleが高齢者向けタブレットを活用した実証実験を共同で行うことに合意した。日本における高齢者向け生活サービスの提供に向けた実験を2015年下半期から実施する。具体的には、IBMとAppleが開発した新しい高齢者向けの専用アプリやタブレットを配布。それらを活用した各種のネットサービスや郵便局員などによる対面的な生活サポートサービスを支援するための実証実験を実施する。
日本郵政グループでは、全国2万4000拠点の郵便局を活用して高齢者層の生活サポートや地方創生に貢献できるサービスの展開を目指す。今回の業務提携によって、タブレットを活用した新しい高齢者向け生活サポートサービスを2016年度から本格展開することを目指す(発表:日本郵政グループ<発表:2015年4月30日>)。
音声認識による救急患者搬送の実証実験に成功、島根大学ら
島根大学と音声認識ソフトウェア事業を手掛けるアドバンスト・メディア、テックシロシステムが、救急患者搬送時の病院前救護におけるハンズフリーの音声認識記録システムに関する実証実験に成功したと発表した。今回の実証実験では、バッジ型ウェアラブルデバイス「AmiVoice Front WT01」のβ版と連係。最大100デシベル耐騒音性能を発揮するなど、これまでよりも高い効果が得られた。
これまで島根大学とテックシロシステムは、アドバンスト・メディアの音声認識技術「AmiVoice」を組み込んだ救急患者搬送時の病院前救護用に音声認識記録システムを開発してきた。しかし、救急車のサイレンや屋外の騒音などで高い精度の認識結果が出せなかったという。また、AmiVoice Front WT01を使用することで、救命救急士は両手がふさがった状態でも処置記録を正確に文字化できる。搬送先の医師にリアルタイムに患者情報を伝えることで医師から適正な指示を得たり、搬送先医療機関側での的確な受入準備などに役立つ。AmiVoice Front WT01は2015年8月に販売予定(発表:アドバンスト・メディア<2015年5月1日>)。
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