医療IT最新トピック
画面を見るだけで心が落ち着くスマホアプリが登場
KDDIが発表したセルフ健康チェックサービス、心の緊張を緩和するスマートフォン用アプリ、カメラを使わない高齢者見守りサービスなど、医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、KDDIが発表したセルフ健康チェックサービス、心の緊張を緩和するスマートフォン用アプリ、カメラを使わない高齢者見守りサービスなどを取り上げる。
医用画像をより鮮明に 医用画像モニター補正ソフト、リアルビジョン
医療分野向け画像表示技術システムを提供するリアルビジョンが、医用画像モニター補正・品質管理ソフトウェア「FVT-air」(エフブイティー・エアー)のパッケージ版を2015年4月1日に販売開始する。医用画像を参照する際、汎用モニターを専用モニターの代替として利用できるようにする。また、ノートPCの液晶画面でも医用画像を容易に参照できるという。
米電機工業会(NEMA)が管理する医用画像のグレースケール(白黒階調)に関する規格である「DICOM Part14」に準拠した画質補正(キャリブレーション)を行う。汎用モニターの階調特性(色の変化の度合い)を調整し、人間にとって輝度の差がどの階調間でも等しく感じられる階調特性(DICOMカーブ)を実現する。
FVT-airではインストール用CDとキャリブレーションセンサー、ユーザーマニュアルをセットで提供する。価格はオープン(発表:リアルビジョン<2015年3月13日>)。
人工知能を活用した転倒・転落防止システムを共同研究、NTT東日本関東病院とUBIC
NTT東日本関東病院(東京都品川区)と行動情報データ解析を支援するUBICが、転倒・転落防止システムの共同研究を実施した。転倒・転落リスクが高い患者を特定して効率的に患者をケアできるようにすることで、患者が受傷する件数を減少させる取り組み。医師や看護師の負担を軽減し、病院の安全管理に寄与することが目的だ。
2015年2月に実施した共同研究では、NTT東日本関東病院の電子カルテ内(約1万6700件)の患者の状態を記述した自由記載のテキストデータをUBICの人工知能「バーチャルデータサイエンティスト」が解析。院内患者の転倒・転落リスクを算出し、転倒につながる可能性の高い症状である意識障害(せん妄を含む注意力低下)の症状が記された1000件を抽出した。
両者は今回の成果を基に、院内で日々の実務により近いデータを解析。運用実験を踏まえて、NTT東日本関東病院は2015年度内に転倒・転落防止システムの導入を目指す(発表:UBIC<2015年3月16日>)。
KDDIがセルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」を発表
セルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」を2015年夏に提供開始すると発表した。その第1弾として提供する「生化学14項目血液検査サービス」は、ユーザーが専用の在宅検査キットを使って自ら採血して返送すると、約1週間後に自分専用のマイページ画面で検査結果を確認できるサービスだ。
スマホdeドックは、検査キットと、スマートフォンやクライアントPCから検査結果を確認できるWebサービスで構成される。生化学14項目血液検査サービスでは、専用Webサイトで検査サービスを申し込むと検査キットが郵送される。検査結果の確認に加え、検査結果に対する医学的見地からのコメント、悪化要因・改善ポイントに関するアドバイス、自宅近くの病院を検索する機能なども利用できる。
KDDIは、定期的な健康チェックの習慣化を図ることで、ユーザーの健康管理を支援するともに医療費を含む社会保障関係費用の増加などの課題解決を目指すという。生化学14項目血液検査サービスの費用は4980円。今後、感染症検査や血液以外の検査など、検査メニューを拡充する予定だ。
サービスの提供開始に先立ち、2015年4月中旬から全国20市区町村、2つの健康保健組合と提携して、約24万人の市民や従業員を対象に同サービスを無償で提供する。子育て中の専業主婦や自営業者などの健康診断未受診者への対策として実証事業を展開する(発表:KDDI<2015年3月16日>)。
2020年の医療機関向けシステム/サービス市場規模を予測、富士キメラ総研
市場調査・コンサルティングを手掛ける富士キメラ総研が、医療情報システム/サービス、医療機器/関連システムを対象とするメディカルソリューション市場の調査結果をまとめた「メディカルソリューション市場調査総覧 2015」を発行した。2014年の医療機関向けシステム/サービスの国内市場の規模は4459億円で、2020年には4351億円(2014年比で97.6%)になると予測する。医療機関向けシステム/サービス市場には、電子カルテやオーダリング、医事会計、地域医療連携システム、遠隔医療システムなど12種を含む。
同社では、400床以上の大規模病院での普及が一巡し全体市場は縮小するが、中小規模病院や一般診療所への電子カルテシステム導入を背景に医療分野のIT化が進展すると分析する。
また今後は医師不足を解消する遠隔医療システム、2025年をめどに高齢者が住み慣れた地域で医療サービスや生活支援などを受ける「地域包括ケアシステム」の構築を目的とした地域医療連携システムなどの需要が拡大すると同社は説明。特に、遠隔医療を目的としたテレビ/Web会議システムを対象とする遠隔医療システム市場は、2014年比で2倍となる20億円まで拡大すると予測する(発表:富士キメラ総研<2015年3月18日>)。
見ればすぐにリラックスできるスマホ用アプリ、電通が開発
心の緊張を緩和するスマートフォン向けアプリケーション「Pace Sync」を開発し、2015年3月19日にサービス提供を開始した。Pace Syncは、スマートフォンで顔を撮影すると心拍数を計測し、その鼓動に最適化されたテンポのアニメーション動画を自動再生する。心拍数の計測機能では、旭化成が開発した非接触の脈波検出技術を採用した。
アニメーション動画では、深呼吸を適切なペースで繰り返すよう求めるガイダンスを表示し、ユーザーをリラックス状態へと導くという。電通では、試験や試合を前にしたユーザーが気分を落ち着かせるという用途を想定する。iOS版/Android版があり、それぞれ「App Store」「Google Play」から無料でダウンロードできる(発表:電通<2015年3月19日>)。
高齢者見守りクラウドサービス、ビズロボジャパンとコムツァイト
業務自動化ツールなどを手掛けるビズロボジャパンと、M2M(機器間通信)/IoT関連事業を手掛けるコムツァイトが高齢者見守りクラウドサービス「見守りクラウドロボ」を発表した。2015年6月に提供開始する。「いつ扉を開けたか」「どの部屋にどのくらいの時間滞在しているか」など高齢者の行動を24時間リアルタイムで監視。通常とは異なる環境の変化を検知した場合、遠隔地にいる契約者(高齢者の家族)に通知する。
見守りクラウドロボでは、コムツァイトが提供する各種無線センサー(温度、湿度、照度、人感、扉開閉など)を高齢者が居住する家や施設に設置。各種センサーが収集した情報は、3G回線を搭載したゲートウェイを介して契約者に送られる。対象者の行動を業務自動化ツール「BizRobo!」が分析・判断し、異常があると判断すると契約者に通知する。通知方法は、専用アプリや電子メール、SMS、固定/携帯電話、Twitter、Facebook、LINEなどから選べる。
電源が不要な無線センサーを採用しているため、設置工事が不要。また、カメラを必要としないプライバシーに考慮した見守りが可能だ。初期導入コストは不要で、月額利用価格は最小構成で3000円(税別)から(発表:ビズロボジャパン、コムツァイト<2015年3月19日>)。
クリニック向け医療情報クラウドサービス「WATARU」を発表、スリーゼット
医療情報や医用画像関連システムを手掛けるスリーゼットが、クリニック向け医療情報クラウドサービス「WATARU」を2015年夏に提供開始する。同社は医師と患者、医療機関間の情報連携、。地域医療ネットワークや災害時における安全な情報利用などを目的に、クラウドを利用した情報管理基盤を提供するという。
スリーゼットの無床医療機関向けオンプレミス型医用画像管理システム(PACS)を活用するクラウドサービスの基盤に、テクマトリックスの医用画像クラウド保管サービス「NOBORI」を採用した(発表:スリーゼット<2015年3月23日>)。
基礎医学や臨床医療、教育で利用する医療用3D模型、GHが制作サービスを開始
総合科学学術論文誌「Science Postprint(SPP)」を運営するGHが、医療用途を目的とした3D模型の制作サービス「医療用3D模型造成サービス」を開始した。CTから画像データを取り込み、3次元再構築ソフトウェアを利用して造形に必要な部分を抽出する。GHが窓口となり、抽出データからの3D模型の造形や納品を行う。
同社では、骨切除などの手術前シミュレーションや患者への事前説明、若手医師の教育研修など基礎医学や臨床医療、教育での利用を見込む。放射線科医師である橋爪 崇氏が制作を監修した。制作料金は部位によって異なる(個別見積もり)が、下顎骨は3万円、肝臓は6万円(いずれも税別)を標準的な価格とする(発表:GH<2015年3月24日>)。
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