2015国際医用画像総合展リポート
ITEM2015で見た、医療クラウドの最新動向
パシフィコ横浜にて2015年4月17日から19日まで開催された「2015国際医用画像総合展」(ITEM)。その展示内容から医用画像などを外部のデータセンターに保管するクラウドサービスの一部を紹介する。
調査会社シード・プランニングの市場調査リポート「2014年版電子カルテの市場動向調査-電子カルテ/PACS市場規模予測とシェア動向」によると、2014年3月時点で医用画像管理システム(PACS)のクラウドサービスは国内230施設で運用されているという。
また、2015年3月時点の累計を470施設以上と見込んでおり、その導入が本格化していることが伺える。
こうした中、パシフィコ横浜にて2015年4月17日から19日までの3日間、「2015国際医用画像総合展」(ITEM)が開催された。
日本画像医療システム工業会が運営するこのイベントは、医用画像機器および周辺機器の総合学術展示会だ。今回のITEMでは、外部のデータセンターを利用したPACS関連のクラウドサービスが多く展示されていた。その一部を紹介する。
NOBORIをネットワーク基盤として活用する「NOBORI-PAL」――テクマトリックス
医療機関の導入数が多いサービスが、テクマトリックスの医用画像保管サービス「NOBORI」だ。通信用ボックス型サーバ「NOBORI-CUBE」を医療機関に貸し出し、院内に設置してデータを暗号化・分割した状態で複数のデータセンターに保管する。NOBORIはソフトバンクテレコム、電算、テクマトリックスの3社が提供する地域健康・医療情報共有サービス「HeLIP」の基盤にも採用されている。
今回のITEMでテクマトリックスは、NOBORIをネットワーク基盤として活用する「NOBORI-PAL」を出展。NOBORI-PALでは、同社の検査予約サービス「TONARI」やモバイル端末用DICOMビュワー「SDS Mobile Viewer」、症例データベース「SDS Nouz」などのPACS以外の機能も利用できる。また、2015年6月以降は胸部X線読影支援サービス「ClearRead」(東陽テクニカ)やWeb会議システム「Cisco WebEx」(シスコシステムズ)、3D解析ビュワー「Myrian」(仏intrasense)など他社のサービスをNOBORI-PALに随時追加する。
クラウド連係の地域における検査予約システム――PSP
PACSや遠隔画像診断支援システムなどを手掛けるPSP(ピー・エス・ピー)は「オンライン検査予約システム」を展示。オンライン検査予約システムは、地域の中核病院を中心とする地域連携システムの基盤となる。検査予約から検査画像・リポートの公開や共有が可能だ。地域の診療所は、Web画面からコンピュータ断層撮影(CT)装置や磁気共鳴画像法(MRI)装置などの各種検査の予約を行う。検査予約や結果のデータは、中核病院に設置されたサーバを介してクラウドのデータセンターにある公開用サーバに格納される。
診療所はインターネットを経由して患者情報にアクセスする。中核病院ではVPN接続や回線費用などが掛かるが、診療所はインターネットが利用できる環境があればよい。2015年4月現在、中規模病院を中心に7施設で利用されている。
市民サービスまでを視野に入れる「ShadeQuest/Unlimited」――横河医療ソリューションズ
横河医療ソリューションズが紹介していた「ShadeQuest/Unlimited」は2012年3月、同社とNTT西日本、NTTスマートコネクトとの協業から生まれた医療機関向けクラウドサービスだ。NTT西日本、NTTスマートコネクトのネットワーク技術やデータセンター基盤を利用する。病院が保有する医用画像を外部保管でき、頻繁に参照する医用画像データは従来通り医療機関内のPACSサーバから参照できる。また、遠隔施設との情報共有の基盤としても活用できる。同社によると、必要な分だけ外部に保管することで利用コストを抑えることができ、5年の総所有コスト(TCO)を比較すると院内で運用し続けるよりもコストメリットがあるという。
神戸大学医学部付属病院など4施設で本稼働(2015年4月現在)。横河医療ソリューションズによると、1施設の平均利用データ量は30Tバイトだという。今後、地域における情報共有と市民サービスまでの提供を視野に入れる。
医用画像関連サービス展開に注力――キヤノンマーケティング
近年、医用画像関連事業への注力を鮮明にしているのがキヤノンマーケティングジャパンだ。同社は2014年10月、医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」を読影サービス事業者のメディカルイメージラボと共同開発した。同年10月から遠隔読影の仕組みをクラウド方式で提供する「遠隔読影インフラサービス」を提供している。
2015年4月17日には新サービスとして「医用画像外部保管サービス」を開始。データ保管容量1Gバイト当たりの月額利用料金が30円(税別)からの「ホットデータ保管向け」プラン、より低価格な「フローズンデータ保管向け」プランの2種を用意するなど、利用施設の用途に応じて選択できる価格設定が特徴だ。
クリニックPACSでもクラウド連係が可能な「WATARU」――スリーゼット
前述のNOBORIは、スリーゼットが2015年夏に提供予定のクリニック向け医療情報クラウドサービス「WATARU」の基盤にも採用されている。スリーゼットは主に診療所向け電子カルテやPACSを提供している。WATARUの利用施設には、ソリッドステートドライブ(SSD)を500Gバイト内蔵する専用アプライアンス「WATARU-CUBE」を貸与する。WATARU-CUBEは、クラウド側のデータセンターとの通信制御や管理、電子カルテや各検査装置からの情報受信や院内の他システムとの連係機能などの役割を担う。WATARUの初期費用は不要であり、使用容量に応じた月額課金制の料金体系を取る。
情報共有を円滑にする「連携BOXサービス」――コニカミノルタヘルスケア
コニカミノルタヘルスケアは、医療機関のIT化支援トータルサービス「infomity」の1種である「連携BOXサービス」を展示していた。
連携BOXサービスの特徴は、施設間で連携したいデータを自由に保管・共有できる点だ。院内システムにある医用画像や動画、業務文書データなどをコニカミノルタヘルスケアのデータセンターに転送し、遠隔地の医療機関や院外の医療従事者が閲覧して情報を共有する。例えば、連携BOX内にあるDICOM形式の医用画像は、専用ビュワー機能を備えたWebブラウザ画面で画像の操作や閲覧が可能だ。連携BOXサービスでは、以下4種のサービスが利用できる。
- 連携BOXモバイルサービス(救急患者対応時のコンサルテーションなどに利用)
- 遠隔読影支援サービス(専門の読影事業者への読影依頼環境を構築)
- 検査予約サービス(施設間での患者紹介運用をオンラインで可能にする)
- グループ連携BOXサービス(複数施設間での情報共有を支援する)
連携BOXサービスは、指宿医療センター(鹿児島県指宿市)などで利用されている。
サービス形態を2種にした「医知の蔵 2.0」――GEヘルスケア・ジャパン
2014年から提供している「医知の蔵 2.0」を出展。GEヘルスケア・ジャパンのPACSデータをソフトバンクテレコムのデータセンターに保管するサービス。撮影から3~5年以内の画像データを保管する「短期ストレージ」(STS)と、電子保管した全ての画像データを保管する「長期アーカイバー」の2階層で構成される。
医知の蔵 2.0では、サービスの提供形態として新たに「医知の蔵ベーシック」を追加。それに伴い、これまでのサービス形態を「医知の蔵プレミアム」に名称変更した。同社によると、医知の蔵ベーシックはセカンダリサイトをデータのバックアップ機能のみに限定することでコストを抑制。一方の医知の蔵プレミアムはサービスの継続性を重視したサービスとして位置付けるという。その他、前月比で増加した量のみを課金対象としたり、単価設定をTバイトからGバイトに改良したりするなど、導入または運用コスト利用機関がコストを抑制しやすいよう課金体系を工夫した。2014年4月現在、17施設で導入している。
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