21世紀の問題を20世紀の手法で解決しようとしている
「IoT」でスマートシティに再び脚光 立ちふさがる障害と課題とは(2/2 ページ)
消費者の理解が肝心
専門家が言うには、このような成功事例の前には、多くの都市が今もなお奮闘している基本的な課題が立ちふさがっている。例えば、民間産業の利益になり、都市の効率も向上させられるような官民のパートナーシップをいかに生み出すかだ。
米Zipcarで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるブライアン・ハリントン氏は次のように語る。「地方自治体は、Zipcarを誘致するために投資する必要はない。ガレージや市道に駐車することを許可するだけで良いのだ。Zipcarは住民にメリットをもたらし、排気ガスや渋滞を減らす1つの手段だ。Zipcarによってさらに多くの住民がより健康的な生活を送れるだけでなく、一定水準の持続可能性ももたらされる」
Zipcarは全米26都市で展開しているカーシェアリングサービスで、米ボストンを拠点にしている。同社のカーシェアリングサービスは、渋滞の緩和や住民の健康的生活の支援に関わるものであるにもかかわらず、Zipcarは各都市で駐車場や路上に駐車するために代金を支払っている。「誰が道路に対する権利とアクセスを持っているのかという観点で見れば、これは公共政策の問題だ」とハリントン氏は指摘する。Zipcarが提供しているサービスは、都市の渋滞や環境汚染などを緩和するものである。だが、その事実と矛盾する状況が発生している。「おかしな話だが都市をより住みやすい場所に変えるために、都市に代金を支払っている。主に支払うのは駐車するための代金だ」(ハリントン氏)
駐車スペースのような資産に対する世間の見方に新たな方向付けを行うことが課題の一部だとハリントン氏は述べる。「自分が所有する駐車スペースが、そのような用途に使われる可能性がある」という単なる所有権に基づく考え方ではない。一部の場所をZipcarに割り当てることが、公共利益を生み出し、全住民の生活の質を改善することにつながるという考え方を受け入れてもらうことだと同氏は語る。
「公共の利益のために最善かつ利用頻度が最も高い駐車スペースの使用法について、理性的な話し合いを試みることだ。それが第一歩になる。住民との話し合いの場を持つところから始める必要がある」(ハリントン氏)
セッションの出席者の1人がデマンドレスポンスに対する消費者からの反発について質問した。デマンドレスポンスでは、消費者は否応なくエネルギー資源のようなリソースの消費を切り詰めることになる。この質問に対してダビト氏は次のように答えた。「重要なのは消費者に対して選択肢を明確にして、IoTがもたらすトレードオフを理解してもらうことだ。例えば、個人が制御できる範囲は小さくなるが、より多くのコストを削減できるという具合にだ」
米Oklahoma Gas and Electricは、Silver Spring Networksのサポートを受けてIoTシステムを導入し、消費者が家庭暖房や電力を自動制御できるようにした。同社が事業を展開している地域では環境保護主義の傾向が見られないにもかかわらず、若干の反発があったとダビト氏は言う。
「消費者に提示する選択肢は単純にする必要があることが分かった。Oklahoma Gas and Electricは消費者に『価格重視』『快適さ重視』という2つの選択肢を提示した。ほとんどの消費者の意見はいずれかの選択肢に寄っている。また同社はIoTテクノロジーに投資したことで、石炭火力発電所2基の建設を回避した」(ダビト氏)
問題は、消費者がコスト削減に魅力を感じるようになるか、それとも変化に抵抗し続けるかだ。
米Siemens USAでスマートグリッド部門担当社長を務めるマイク・カーソン氏によると、消費者をIoTに無理やり巻き込む必要はないという。コスト削減とコスト効率を実証することには説得力がある。「その一環として、啓蒙活動を行い、経済的なメリットが付随する場合には『我慢』という言葉を積極的に用いている」とカーソン氏は語る。同氏の指摘によると、冷蔵庫が消費する電力の大部分は、通常の使用時ではなく、霜取りサイクルで生じているという。IoTシステムを利用することで、この霜取りサイクルによるコストとエネルギーを大幅に節約するように制御できる。それに消費者はこのサイクルがいつ発生してもお構いなしだ。
だがバースト氏のような専門家は、人間の行動を変化させることは困難な課題だと述べる。人々の行動を変えることは容易ではないため、IoTシステムがもたらす節約とメリットを示し、消費者にIoTシステムが解決策になることを納得してもらわなければならない。
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