「Box」「Dropbox」など競合にどう打ち勝つか
「同期されていない……」の悲劇は減る? 「OneDrive」アップデートで向上する使い勝手(2/2 ページ)
OneDrive for Businessはそれほど優れたサービスではない
企業向けのOneDrive for Businessはどうだろう。OneDrive for Businessには数多くの問題がある。そもそも製品名が紛らわしい。OneDrive for Businessは技術的には、コンシューマー版のOneDriveとは似て非なるものだ。OneDrive for Businessはチーム向けに設計されたSharePointライブラリを同期でき、広範な共有、バージョン管理、コラボレーションなど、恐らく個人ユーザーには不要な機能を備えている。OneDrive for Businessは、ファイルサーバで一般的なSMB(Server Message Block)プロトコルを使ったファイル共有やホームディレクトリの代わりではない。その目的は、同僚やビジネスパートナーがセキュリティ境界の内側からであれ外側からであれ、必要なドキュメントにアクセスし、共有および保存を行うための共通の場を提供することにある。OneDrive for Businessでの同期は最大2万ファイルに制限されており、上限を超えた場合、それ以上の同期は行われない。OneDrive for Businessはクラッシュも起こしやすい。
だが残念ながら、ファイルサーバの代わりとしてクラウド環境でOneDrive for Businessを使い、その結果、苦労している企業は多い。OneDrive for Businessは同期に失敗することが頻繁にあり、全てを再同期しようとするので、インターネット回線を圧迫しがちだ。年月を経て蓄積された大量の小さなファイルを共有するとなると、ファイル共有の規模が大きくなり、OneDrive for Businessのライブラリに保存できても、ローカルでは同期できない。OneDrive for Businessをコンシューマー版のOneDrive(Windows 8.1版を含む)と併用した場合の問題もある。OneDrive for Businessは利用料もかなり高い。
簡単に言えば、筆者が思うに、OneDrive for Businessは今のところ、製品レベルの品質ではない。
新しい同期クライアントで問題は解消されるか
個人向けOneDriveと企業向けOneDrive for Businessは以前からずっとMicrosoft中心のサービスだ。実際、Windows 8以降かSharePoint 2013、あるいはその両方を全面的に採用している企業でもなければ、OneDriveを魅力的とは思わないだろう。米Boxの「Box」や米Dropboxの「Dropbox」などのサービスは、Microsoftがファイル共有ストレージサービスを提供するかなり前から存在しており、どちらも既に多くの企業に浸透している。米Googleが数年前から提供している「Googleドライブ」も、Googleを信用できるという企業には採用されている。Boxは最近、同社のBoxサービスをMicrosoftのクラウド版Office「Office 365」と統合し、Office 365ファイルの保存、書き込み、編集をブラウザで直接できるようにすると発表した。つまり、Office 365を採用するとしても、OneDrive for Businessを利用する必要はないということだ。実際、OneDrive for Businessの程度の低いサービスを体験し、既に他のサービスに移行している企業は少なくない。
結局のところ、新しいOneDrive同期クライアントが解決しようとしているのは、他の競合サービスには無縁の問題、あるいは既に解決済みの問題であるということだ。また新しいOneDrive同期クライアントでは、ファイルの操作方法が従来と変わり、長年のOneDriveユーザーが使い方を学び直すプロセスをたどらなければならなくなる可能性もある。
新しい同期クライアントはMicrosoftがOneDriveプラットフォームを安定させ、継続的な利用をより魅力なものにする上では役立つかもしれない。ただし、既に他のクラウドファイル共有サービスを採用している企業がOneDrive for Businessに丸ごと移行するというのは考えにくい。
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