「Box」「Dropbox」など競合にどう打ち勝つか
「同期されていない……」の悲劇は減る? 「OneDrive」アップデートで向上する使い勝手(1/2 ページ)
米Microsoftは、クラウドストレージサービス「OneDrive」の新しい同期クライアントを間もなく提供開始する。だが「Box」など競合からの乗り換えを促すには、OneDriveはあまりにMicrosoft中心のサービスかもしれない。
米Microsoftはクラウドベースのファイル共有サービスである「OneDrive」と「OneDrive for Business」の問題点を新しい同期エンジンによって解消したい考えだ。だが新しい同期エンジンが解決するのは、競合サービスにはそもそも無縁の問題ともいえる。果たしてMicrosoftはOneDriveの新しい同期エンジンによって、ファイル共有市場における競争力を高められるのだろうか。それとも、競合サービスのレベルに追い付くにとどまるのだろうか。
近年、クラウド経由でファイルの共有や更新を行うことは、企業にとってますます必須の能力となりつつある。ただしクラウドでの共同作業には、皆が確実に同じファイルを共有できるよう、信頼できるファイル同期機能が必要だ。
Microsoftが提供する現在のファイル同期サービスは統一性に欠けており、多くのユーザーがファイル同期に対する不満を抱いている。苦情の種は、アプリケーションの親和性の問題からファイル操作の不具合、オフライン時にも利用できると信じていたファイルが利用できないという混乱まで、さまざまだ。長時間のフライト中に利用するつもりだったファイルに実はアクセスできないということが機上で分かったときの落胆は、想像に難くない。
この問題には、MicrosoftがOneDriveの同期エンジンを複数提供していることも影響している。現在提供されている同期エンジンには、Windows 7/8とMac向けのコンシューマー版、Windows 8.1版、「OneDrive for Business」の3種類がある。OneDrive for Businessは基本的には、かつて「Groove」と呼ばれていたコラボレーションツールを強化し、Microsoftの統合ビジネスプラットフォーム「SharePoint」と連係できるようにしたものだ。そしてこの他に、AndroidとWindows Phone向けのモバイル版OneDriveアプリもあり、いずれも個人向けOneDriveと企業向けOneDrive for Businessの両方に対応している。どれだけ複雑なテストパターンが必要かを考えると、これらのOneDriveクライアントがどれも機能するのは驚くべきことだ。実際には、一部の同期クライアントには厄介な問題もある。
新しい同期エンジンは2015年秋にリリースされる予定だ。OneDriveとOneDrive for Businessの同期エンジンが1つに統合されるので、複数の同期クライアントを使う必要はなくなる。大量の同期を制限する制約も一部撤廃される。だが果たして、この間近に迫ったアップデートによって、個人向けOneDriveと企業向けOneDrive for Businessはより使いやすいサービスになるのだろうか。個々に検証してみよう。
OneDriveは個人向けの優れたサービス
OneDrive(旧称SkyDrive)が、Microsoftの最も成熟したクラウドファイル共有サービスであることは間違いない。サービスの開始以来、OneDriveは何度かアップデートを重ねており、おおむね評判は良好だ。Windows 8.1にはOneDriveクライアントが組み込まれているが、Windows 7とWindows 8では、WebブラウザからOneDriveファイルを管理するのではなくOSにOneDriveを統合したい場合は、同期クライアントをダウンロードする必要がある。OneDriveはMicrosoftのディレクトリサービス「Active Directory」とは統合できず、共有や暗号化の細かい制御もできないなど、企業向けのサービスではないが、その場限りの単発のシナリオに使われることは多い。
またWindows 8.1には「プレースホルダー」と呼ばれる独自の機能があり、実際にはコンテンツが同期されていなくても、OneDrive上のファイルの概要を表示できるようになっている。この機能を使えば、ファイルを検索したり、OneDriveストレージの全体像を把握したりといったことを容易に実行できる。ただしMicrosoftは、この機能には問題があったとの考えだ。オフラインではアクセスできないファイルなのに、「Windowsのエクスプローラーに表示されているのだからアクセスできるのだろう」と勘違いするユーザーが少なからずいたという。
プレースホルダー機能を気に入っているユーザーも大勢いるが、Windows 10と今秋リリース予定のOneDrive同期クライアントにはこの機能は搭載されない。プレースホルダー機能の削除が明らかになると、Microsoftのユーザーサイトでは反対の声も湧き上がった。Microsoftはこの機能を復活させると約束しているが、リリース時期は明らかにしていない。
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