SaaSで変わったワークスタイル
ANAグループが導入した「世界を1つにする起爆剤」とは(2/2 ページ)
どこからでもメールやファイルにアクセス可能
現在ANAグループで利用しているGoogle Appsのサービスは下記の通りだ。
- Gmail
- Google ドライブ
- Google ドキュメント
- Google カレンダー
- Google+
- Google トーク(現Google+ ハングアウト)
特にメールに関しては、これまで外出先からアクセスするには通信事業者が提供するリモートアクセスサービスを利用していた。だが、リモートアクセスサービスのアカウントはグループ従業員全員に付与していなかった。そのため、一部従業員は出張に出てしまうとメールが確認できない状況に陥るケースもあった。その点、Gmailであればどこからでもチェックできるので従業員からの評価が高いという。
また、Google ドライブによるファイル共有だけでなく、Google ドキュメントを活用した共同編集作業も実現した。ANAグループのこれまでのファイル共有環境は、誰が利用しているのか分かりにくかった。また、メールに添付したファイルに各自が修正を入れて返信するケースでは、関係者数が多いほどファイルの数も増えてしまう状況だった。こうした作業がGoogle ドライブとドキュメントによって大幅に効率化できたという。
どこからでもメールやファイルアクセスできることに対し、海外拠点から喜びの声が大きく、「クラウドサービスは世界を1つにする起爆剤となることを実感した」と林氏は言う。
Google カレンダーの活用では、「各自が自らの行動をマネジメントできるようにしたかった」と林氏は語る。単なるカレンダーではなく、アラートなどを活用してタスクマネジメントやタイムマネジメントができるようにし、モバイル環境でも確実にスケジュールが把握できるようにしているという。
プレゼンス(在席状況)確認とインスタントメッセージには、ハングアウトを活用している。これにより、「長くて正式なメールを書くことが減り、プレゼンスを見て気軽に相談することが増えた。会議中に分からないことがあった場合も、インスタントメッセージで担当者に相談して会議での意思決定につなげるなど、さまざまな効果が出ている」(林氏)という。
さらに、社内SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)としてGoogle+も活用している。部署間や、上司・部下といった役職を越えたコミュニケーションで“化学反応”が起き、新たなサービスの提案や企画につながるのではないかと考えた。ANAグループ各社は、社内のダイバーシティを推進している。だが、日本の従業員と海外の従業員が会う機会はほとんどなく、全員が同じ考え方の方向性や目的を共有することも難しい。そうした中、「知らない者同士でもコミュニケーションが促進され、意見交換できる場を作りたかった」と林氏は言う。
Google+について林氏は、特に海外拠点での利用が活発で、顧客に評判が良かったサービスなどを社内で積極的にシェアしていると説明する。海外拠点の従業員はSNSで情報発信することに抵抗がなく、コミュニケーションスキルも高いことが影響していると、同氏は考えている。
Web会議のハングアウトへの移行も計画
今後のGoogle Appsのさらなる活用方法について林氏は、「まずハングアウトのビデオチャットを活用していきたい」と述べる。ANAグループではWeb会議システムも導入済みだが、「設置されている部屋が限られているため、気軽なWeb会議は実現できていない」と林氏は話す。ハングアウトであれば、端末に依存せずにWebブラウザでのチャットも可能で資料も共有できる。会議室への移動も不要だ。今後は社内のWeb会議はハングアウトに統一していく考えだという。
また、社内ではデスクトップ仮想化も進めており、端末としてChrome OS搭載のノートPC「Chromebook」やデスクトップPC「Chromebox」の導入も検討しているという。Chromeboxでは、「安価なテレビ会議の実現も目指している」と林氏は言う。
さらに林氏は、「Google Appsの導入ができたからといってそれで終わりではない。入れた後に定着させることが大切だ」と話す。そのため、今後はGoogle Appsの定着度を数値で測ることや、生産性を数値で可視化し改善することなどを検討中だという。
林氏は、「(同氏が所属する)業務プロセス改革室としては、導入の意義を現場に浸透させつつ、従業員が効率的に利用できる環境の構築を目指す。一方で、さまざまな活用アイデアは現場にあるため、現場に足を運んでアイデアを集めていきたい」と意気込む。
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