知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策【第1回】
“マイナンバー対応”と騒ぐ前に理解すべき「セキュリティ法制度」(2/2 ページ)
法制度の“曲解”は百害あって一利なし
このような法制度の恩恵を損なうことなく実現・享受するためには、法令の表記を曲解するのではなく、その趣旨に沿った解釈をする必要がある。なぜならば、一方の利害関係者による曲解は往々にして他方の利害関係者の権利などを侵害することにつながり、争議の防止とは逆の結果を招きかねないためである。
法制度に否定的なイメージを持つ人は、しばしば曲解により法制度の定める行為を削減・回避しようと試みることがある。こうした行為は、かえって自身を正当足らしめる理由を損い、将来にわたり争議を招きかねない。仮に争議まで至らずとも、自身の属する組織の社会的責任を傷つけることになる。
幸いにして、最近定められた法令には目的規定や趣旨規定が記載されることも多い。べき・べからずの表記だけでなく、全体に目を通し、法令の趣旨をくむことが重要である。
また、曲解はせずとも、法令の表記にのみとらわれるといったことも、あまり好ましいことではない。法令の解釈については、官公庁が公表したガイドラインやFAQ(よくある質問)、法案成立・改正に至るまでのいきさつなどを一助とすることができる。特に官公庁からの公表内容については、世間一般に通用する公的な見解であることから、法令と併せて確認すべきである。
例えば、個人情報保護に関しては、消費者庁が公式サイトでガイドラインを紹介している(参考:消費者庁「個人情報の保護に関するガイドラインについて」)。2014年11月26日時点で、各事業の所管府省が民間事業者向けに27分野・39種のガイドラインを策定済みである。個人情報保護法を解釈する際には、必ず確認すべきものだ。
IT担当者は法制度にどう向き合うべきか
ではあなた自身、つまりIT担当者としては、このような法制度に対して、どのように関与すべきであろうか。
IT担当者の実務においては、法令の各条文に関する厳密な解釈については顧問弁護士や法務担当者に適宜相談するのが一般的だ。ただし、法制度に対する常識の範囲内での解釈は、IT部門や情報セキュリティ管理部門が担っているケースが多いかと考えられる。仮に業務分掌上、法的な解釈や運用は法務部門の所管となっていたとしても、他の部門で法制度を無視してよいということでは決してない。
各部門における法制度の解釈は、当然ながら担当者の属人的な判断のみに依拠するべきではなく、法制度の趣旨に沿うものであるべきはずである。つまり法務部門以外においても、自部門の業務に関係する法制度については、厳密とは言わずとも、ある程度の勘所は把握しておくべきだといえる。
とりわけ、セキュリティ関連の法制度は、システムの実装や運用上の考慮など、解釈において技術的な知見を求められる部分が少なくない。そのため、IT担当者としては率先して法制度に習熟することが望まれる。そこで、次回以降では、セキュリティ関連の法制度の解釈に役立つと考えられる勘所について、具体的な製品分野による対策例を交えて解説する。
太田 海(おおた・かい) NRIセキュアテクノロジーズ
情報セキュリティコンサルタントとして、リスク評価、計画/対策支援、実証などに従事。金融系を中心に、官民問わずさまざまな業種に対して活動実績を有する。
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知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策
セキュリティ関連の法制度の趣旨に基づき、実現すべきセキュリティ対策はどのようなものか。マイナンバー、個人情報全般、その他の機密性の高い情報について、セキュリティ対策の勘所を示す。
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