従業員のワークフローに連係できるか
「Apple Watch」の企業利用は1年で本格化? iPhoneを超える浸透ペースの理由は
米Appleのスマートウォッチ「Apple Watch」は一般消費者の好奇心を刺激しているようだが、専門家の中には、この製品が企業向けに最適化されるまでには少なくともあと1年はかかるという見方をする人もいる。
「iPhone」が一般消費者のニーズに応えたことが、スマートフォンの企業への進出を促したのと同様、「Apple Watch」の登場は、IT部門がスマートウォッチを従業員のワークフローと連係する方法について考え始めるきっかけになるかもしれない。
企業の関心の程度は別として、企業がApple Watchの効果的な活用法を見つけ出すには、しばらく時間がかかりそうだ。米Salesforce.comのCRMアプリなど、Apple Watch用のアプリが既にサードパーティーから出ているが、モバイルアプリベンダーの多くは、最初のApple Watch用アプリをまだ開発している段階だ。ハードウェア、OSおよびアプリの第1世代から技術が進歩するのに伴い、Apple Watchの機能の改善も進むだろう。
米保険会社USAAでモバイルチャネルを担当する主任マネジャー、マット・シュルツ氏に、Apple Watchの第一印象および同製品が企業に与える影響について話を聞いた。
――企業はApple Watchを従業員のワークフローに連係する方法を検討すべきでしょうか、それとも少し待った方がいいのでしょうか?
シュルツ氏 現時点では、企業にとってのメリットはほとんどありません。iPhoneが出たばかりのころ、誰もが手探りでその利用方法を見つけようとしていた状況と似ています。その理由として、Apple Watch用のアプリの多くがiPhone用アプリの延長線上にあることが挙げられます。現時点で最も役立つアプリは、Appleのネイティブアプリではないかと思います。
Apple Watchは徐々に改良が進み、もっと便利になるでしょう。企業の視点から見れば、私が話を聞いた人たちは、関心を持っていなかったり、社内で活用したいとは考えていなかったりという状況です。しかし一般消費者の間での普及と個人利用の拡大に伴ってApple Watchが企業に進出するのに伴い、企業は同製品を活用するための戦略を真剣に考え始めるでしょう。
――iPhoneや「iPad」では、企業がアプリを開発できるようになって、そのフォームファクターを最大限に活用する方法を考え出すまでに、しばらく時間がかかりました。Apple Watchも同じような時間的経過をたどるでしょうか?
シュルツ氏 もっと速い展開になるはずです。メールや通知機能に加え、エンタープライズモビリティ管理(EMM)ツールの機能も既に利用可能です。これらは1年以内に企業向けに改良が進み、有用性が高まるでしょう。私自身は、通知やメールの受信にはApple Watchを使いたいと思います。スマートフォンはポケットから取り出さなくてはならないし、充電とかいろいろ面倒だからです。
とはいえ、スマートフォンにしてもApple Watchにしても、企業でその可能性を発揮できる段階には至っていないと思います。人々の間で「モバイルファースト」という考え方がようやく芽生えてきたにすぎません。開発者は企業向けのアプリを開発する方法をまだ学んでいる段階であり、その中でApple Watchにも目を向け始めるでしょう。
――Apple Watchで最も有用な利用形態はどういったものになるでしょう?
シュルツ氏 人々がスマートウォッチの上でメッセージを読みたいと思っているのであれば、コンテンツが表示領域に収まるようにしなければなりません。Apple Watchは得意とする機能をベースとして進化を始めるでしょう。例えば、「Glance」のように素早く表示を見ることができるような機能です。人々がモバイルファーストあるいは「ウォッチファースト」という考え方を身に付けるのに従って、企業での新たな利用形態が生まれてくると思います。従業員バッジの代わりにスマートウォッチを携帯し、ドアを開けたり、何かにアクセスしたりするのにスマートウォッチを利用するといった使い方も考えられます。状況によっては、Apple Watchを使った方が電話に出やすい場合もあるでしょう。口述入力やプレゼンテーションなどでも役立つ可能性があると思います。
――Apple Watchのセキュリティは問題になりませんか? コンパニオンデバイス(携帯端末と併用するデバイス)の役割を果たすことは、Apple Watchのセキュリティにどう影響するでしょうか?
シュルツ氏 Apple Watchだけでなく全てのウェアラブル型デバイスに組み込まれているセンサーは、位置を追跡されるリスクを生み出します。また、データをスマートフォンに転送するのに使うパスワードは暗号化されておらず、セッション管理もずさんです。常にリスクが存在するのです。特にBluetooth技術を使ってデータを転送するときが危険です。
仕事という観点から見れば、Apple Watchはスマートフォンと同じような扱いを受け、強力な暗号化が施されるでしょう。米Good Technologyは既に、Apple Watch標準アプリのメールとカレンダーのセキュリティを強化するアプリを提供しています。Apple Watchは基本的にスマートフォンと同じですが、データ転送と位置追跡には注意を払う必要があります。
――Appleは「Watch OS」の将来版にどんな機能を含める必要があるでしょうか?
シュルツ氏 AppleがApple Watchを改良するために何でもするのであれば、「両手を使わない操作方法」を編み出すべきです。Appleは「iPhoneをポケットに入れたままApple Watchで情報を確認できる」ことをうたい文句にしてきました。今後、手の動きを使った操作方法を開発できれば、Apple Watchはさらに便利になり、iPhoneを一緒に持ち歩かなくても済むようになるでしょう。
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