もはやクラウド版「Microsoft Office」ではない
新プレゼンソフトも搭載――「Office 365」“前のめり開発”の行き着く先は?(2/2 ページ)
軽量版コラボレーション
ノーリン氏はOffice 365グループについて、「メタデータやリテンションスケジュール(保存期間)といったECM機能を必要としないコラボレーションには理想的だ」と指摘する。Office 365グループのデフォルト設定では、社内の誰もがグループを作成できる。そのため、ユーザーは各自でコラボレーションスペースを構成し、SharePointの他、メールアプリケーション「Microsoft Outlook」、企業向けSNS「Yammer」、企業向けクラウドストレージ「OneDrive for Business」など、さまざまなMicrosoft製品を介して相互にやりとりできる。
「ユーザーは誰がどの製品を使っていても気にしない。全ての情報を1カ所で見たいだけだ」とノーリン氏は語る。
まさにそれが、Office 365のロードマップが目指す先だ。ただし専門家によれば、まだその目標は実現には至っていないという。また別のセッションでは、コンテンツインフラストラクチャプロバイダーである米Metalogix Software USの製品マネジャー、アダム・レビサン氏がOffice 365グループを「配布リスト増強版」と形容。ただし「Office 365グループはまだ初期の段階にある」として、大規模企業は使用を控えるよう呼び掛けた。
また前出のボーグ氏は、ホーム画面にタイル表示されるOffice 365の機能にOffice 365グループが含まれないことに言及し、Office 365グループはまだ中途半端な状態にあると指摘する。
「Office 365グループにはタイルさえ与えられていない」(ボーグ氏)
OneDrive for Business
Office 365には、ユーザーや恐らくMicrosoftのロードマップにとって問題となる側面が他にもある。企業向けクラウドストレージであるOneDrive for BusinessはOffice 365のロードマップにおいて、ファイルの共有と管理という重要な役割を担うが、この計画は2016年第2四半期に予定されているアップグレードにかかっている。
ノーリン氏は、OneDrive for Businessは、Office 365のファイルが物理的にどこにあるかにかかわらず、その集中アクセスポイントになると述べている。「ユーザーのファイルに関するあらゆることにOneDriveという名前が使われるようになってきている」(同氏)
ただしノーリン氏は、ドキュメントの紛失に関しては「良くない話が多い」として、現行版OneDrive for Businessの同期の不具合について警告した。Microsoftは新しい同期エンジンで一連の同期問題を修正する計画だ。他にも、ライブラリに対する同期制限の排除、フォルダ単位での同期のサポートなどの改善を予定している。
「現在は、ライブラリ全体を同期するか全く同期しないかのどちらかしか選べない」と同氏。
Office Delve
「Office Delve」はユーザーのIDとアクティビティに基づき、コンテンツをプッシュ配信する検索と検出のためのツールだ。意味的につながった情報に基づき、企業ユーザーがインテリジェントに仕事の優先順位を決めたり情報にアクセスしたりできるよう支援する。
Delveは「Office Graph」エンジンを利用してユーザーのアクティビティを追跡し、社内での役割や関係性を把握する。Office Graphは機械学習技術を用いてドキュメントやメール、Yammerでの会話などを検索し、それをDelveの画面に表示する。
ノーリン氏によれば、Delveはいずれ、疑似仮想アシスタントとして会社の活動について最新情報を提供できるWebページアプリケーションになる可能性もあるという。
ただ一方でDelveには、従業員のプライバシーを侵害しかねないという懸念がある。設計にも不備があり、意味のない日付範囲の検索結果がプッシュ配信されることもあるため、フィルターをより細かく調整する必要がある。ボーグ氏はビジネスでの利用価値については懐疑的だ。「Delveは知る必要のないことまで全て見せようとする」と語る。
Office Sway
「Office Sway」は、Microsoftのプレゼンテーションソフトウェア「Microsoft PowerPoint」にはない手軽さで、Webフレンドリーかつモバイルフレンドリーなプレゼンテーションを作成するためのツールだ。ユーザーはローカルのコンテンツだけでなく、「OneDrive」「YouTube」「Facebook」などのインターネットソースからもコンテンツを引き出せる。ただし、いくら簡単にプレゼンテーションを作成できても、利用率はいまだに低いのが現状だ。ボーグ氏によれば、Swayには独善的なところがあるという。
「自分1人で行った休暇のWebサイトを作りたければSwayを使えばいい。それが最も簡単な方法だ」(ボーグ氏)
分かれる見解
上述したツールの多くはOffice 365のライセンスに含まれている。従って、専門家も「試してみる価値はある」という。ただし結果については、まだ結論は出ていない。
Office 365のロードマップにおいて、重複は大きな問題の1つだ。Yammerなどの製品は企業向けコラボレーションツール「Skype for Business」と重複しており、Office 365グループはSharePointと重複している。同様に、Microsoftの軽量版ファイルストレージアプリケーションであるOneDrive for BusinessはSharePointの基本機能と重複している。
「Microsoftが提示しているOffice 365のロードマップには、不備が目立つ。われわれが必要としているのは詳細な計画だ」とボーグ氏は語る。
一方、ノーリン氏によれば、Office 365は企業ユーザーにとって従来のECMツールやシャドーITに取って代わる重要な選択肢になるという。
「コラボレーションはそうした方向に向かっている。企業ユーザーに複数の選択肢を与えるというやり方だ。ただしそれらの選択肢は会社が提供する」と同氏は語る。
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