住宅・オフィス用鍵最大手の情報セキュリティ対策
セキュリティ対策で残業抑制? 美和ロックが見つけた“奇策”とは(2/2 ページ)
導入効果:不使用端末100台を可視化 残業抑制にも効果
美和ロックはLanScope Catの導入で、当初の目的だったIT資産の洗い出しと管理徹底を確実に進めている。端末の現状を可視化し、1300台近くあった管理対象端末のうち、約100台が現在使用されていないことが判明したと、美和ロック情報システム部主任の肥後 学氏は明かす。これらの端末は総じて旧式だったこともあり回収し、端末の不正利用リスクの低減や管理負荷の削減を実現したという。また、端末へのポリシー適用機能を生かし、禁止アプリケーションの導入や利用を防ぐといったセキュリティ強化も図っている。
導入前には想定していなかった副次的な効果が、ログ監視機能を生かした残業時間の削減である。LanScope Catが収集したPCの稼働時間や操作内容を基に、従業員の作業時間を算出することで、残業時間を可視化できたという。残業状況は情報システム部門が部門ごとにまとめて部門長に通知し、部門長から残業が多い従業員に通知するようにした。
従業員が休日出勤すると、LanScope Catがアラートを人事課へ送信し、そこから部門長へ確認の連絡が行くようにした。「大抵の場合、残業や休日出勤をするのは特定の人。そうした人を把握した上で、直接働きかけることができるようになったことは大きい」(岩田氏)。当初はセキュリティ強化を目的に導入したLanScope Catを、残業時間の抑制、ひいてはワークライフバランスの実現にも生かす形だ。
業務プロセスをセキュリティ意識向上の機会に変える
小菅氏はほぼ毎日、新しい端末が追加されていないかどうかを一覧で確認したり、長期リポートでソフトウェアライセンスが足りているかどうかをチェックしているという。新しい端末を追加する際は部門長などに確認し、必要な申請書を提出するよう従業員に促してもらっている。
興味深いのが、その申請書に添付した「テスト問題」だ。申請書には申請内容にひも付いたテスト問題を添付し、従業員のセキュリティ意識向上を図っている。例えば、スマートフォンを紛失した場合に考えられる最も大きな脅威は何か、紛失した場合はどこに報告するかといった内容で、申請ワークフローに添付された参考資料を読むと答えが分かる仕組みにしている。「簡単でも繰り返すことで効果が発揮されるのではないかと期待している」(小菅氏)
この他、美和ロックはLanScope Catを導入した2005年から、社内のグループウェアで2カ月に1回程度、「情報セキュリティ通信」という情報誌を配信している。「外部メディアへの書き込みやアップロード、USBメモリの課題など、身近な脅威や時事ネタなどを中心に取り上げている」と岩田氏は明かす。申請書のテスト問題と併せて、システム導入だけでは完結しない従業員のセキュリティ教育にも、きちんと目を向けて取り組んでいる。
積極的な情報交換で改善要望を共有
LanScope Catの導入で、さまざまなメリットを享受している美和ロック。ただし、小菅氏によると、LanScope Catは導入当初から“使えるツール”だったわけではなかった。例えば、導入当初のLanScope Catは、「UIが若干入り組んだ構造で、目的の情報まで深掘りしないと到達できなかった」と小菅氏は明かす。
こうしたLanScope Catの課題や機能改善の要望を集約する場として美和ロックは、エムオーテックスと積極的に情報交換を実施している。そこで挙がった機能の追加要望や改善要望はエムオーテックスが持ち帰り、他のユーザー企業からの要望も考慮しながらバージョンアップ時に反映している。上述のUIの課題も、バージョンアップのたびに改善が進み、「今では3ステップ程度で目的の作業にたどり着けるようになった」(同)という。
美和ロックにとっての当座の課題は、「LanScope Catの機能をより深く理解し、活用していくこと」(小菅氏)である。現在、権限を絞った管理アカウントの作成機能など、試験的に利用を進めている機能も幾つかあるという。さらに、LanScope Catのクラウド版である「LanScope クラウドキャット」の採用も検討する。同社では社内に保有するIT資産をなるべく減らしていくスリム化戦略を進めており、クラウド版は有力な選択肢になる。
セキュリティ対策のために導入したIT資産管理製品をワークスタイル変革にもつなげようとする美和ロック。利用できそうな機能があれば試してみる――。その貪欲な姿勢は、IT製品の投資対効果を最大化する上で見逃せない視点だといえよう。
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