インベントリ情報の活用法はさまざま
“野良PC”の把握だけではないIT資産管理のメリットとは
IT資産管理ツールを使えば、使用中のエンドポイントの数やその使用者を容易に把握できる。収集した基本情報は予算編成やセキュリティ侵害への対応など、さまざまな管理の場面で役に立つ。
今日、企業が新たに導入するコンピュータハードウェアでは、モバイル端末が多くを占めるが、デスクトップPCのインストールベースは依然として巨大だ。この状況は大企業を中心に何十年も前から続いている。
デスクトップPCは長きにわたり広く使われてきたため、管理用のツールは選択肢が豊富だ。米Microsoftの「Windows」はグループポリシーやレジストリ設定など各種設定パラメータの管理に対応し、米Appleの「OS X」もそれと同等の機能を備えている。小規模事業者なら十分な機能といえる。だが、大規模企業であればインベントリ管理ツールといった、より専門的な製品が必要になるだろう。
エンドポイント管理で特に重要なのは、デスクトップインベントリの管理だ。「測定できないものは管理できない」という有名な言葉があるが、最も簡単な測定は「数を数える」ことだ。基本的な数値データやインベントリ情報もなしに、デスクトップPCを管理するなど考えられないことだ。
インベントリ管理ツールはエンドポイント管理システムに含まれるのが一般的であり、ネットワーク上の端末をカタログ化できるようになっている。近年、多くの企業では、管理対象外のモバイル端末に対する懸念が高まっているはずだ。だが、管理下にない(あるいは目録に誤りがある)デスクトップPCが社内に存在していることの影響を軽視すべきではない。
なぜ、インベントリ管理は重要なのか
まずは、次のようなケースを考えてみよう。優秀なアナリストであるアリスは、別の部門への昇進が決まり、昇進先で新しいノートPCを支給される。これまで使っていたハイエンドデスクトップPCは、自分の後任となるアナリストのボブに譲ることにする。ボブは既にデスクトップPCを1台所有しているが、2台目も喜んで受け取る。ボブは大規模な統計モデルを実行しており、アリスのデスクトップPCがあればバッチ分析を延々と実行できるからだ。こうした非公式なやりとりを放置していると、インベントリ情報の質は徐々に劣化することになりかねない。
インベントリ管理ツール(IT資産管理ツールとも呼ばれる)を使えば、端末やその物理的構成、インストール済みのソフトウェアに関する有用な情報を収集できる。こうした情報はデスクトップ管理者とビジネスマネジャーの両方に役立つ。デスクトップ管理者にとっては、IT資産に関するあらゆる問い合わせの単一の参照先となる。一方、ビジネスマネジャーはこうした情報を使って個々の従業員に割り当てられた端末を確認でき、適切な更新がなされているかどうかをチェックするには特に有用だ。上述の例でいうと、仮にアリスがこの会社を退職した場合、責任者はアリスに割り当てられたままになっているデスクトップPCをすぐに突き止め、誤りを修正できる。
インベントリ管理は計画立案にも役に立つ。デスクトップPCは複数台で共通のライフサイクルとなるので、ビジネスマネジャーは予算編成時にさまざまな仮定のシナリオを検討することがある。例えば、「ある事業部門でデスクトップPCの平均耐用年数が3年から4年に延びた場合、資本支出にどのような影響が及ぶか」「現場の生産マネジャーのデスクトップPCをタブレットに置き換えた場合、コストはどのくらい掛かるのか」といった仮説だ。よく整理された包括的なインベントリ情報があれば、こうした仮説にも簡単に答えを出せる。
インシデント対応チームがセキュリティ侵害に対処する際にも、デスクトップインベントリは有用だ。あるOSの特定のバージョンに脆弱性が存在するとの情報を入手したセキュリティ担当者は、この脆弱性の影響が及ぶデスクトップPCが社内に何台あるかを把握する必要がある。該当するPCの配置場所や使用者、ソフトウェアパッチの適用状況といった追加情報も有用だ。
さらにインベントリ管理ツールは、ソフトウェアライセンスの管理にも役立つ。使用中のライセンスの数、実際の使用状況、別のライセンスモデルとのトレードオフなどをしっかり把握しておかなければ、ライセンス契約の交渉は難しい。インベントリ情報があれば、例えば、あるソフトウェア用にエンタープライズライセンスを購入したものの、実際の導入規模は当初の予想よりはるかに小さいといったことにも気付くことができる。
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