みんなが「Surface」を使う未来
「Windows 10」で加速する“古き良きクライアントPC時代”の終わり
Windows 10の新しいモバイル機能はMicrosoftのデバイスで最もうまく機能する。企業がPCやタブレットを選ぶ際は大きな影響を受けるかもしれない。
もしも「Windows 10」が騒がれている通りなら、次世代のWindows PCやタブレット採用へと企業を踏み切らせるだろう。
Windows 10はオムニチャネル(※)のクロスデバイス世界へ向けた大きな1歩になる。米Microsoftのエコシステムの中にいる限り、Windows 10では従業員がユニバーサルアプリ形式で「Microsoft Office」のドキュメントの作業ができ、デバイスを横断しながら自分が作業を中断した部分にシームレスにたどり着ける。これは強力なユーザーエクスペリエンスの条件のように思える。だが当然ながら、この新しいクロスデバイス機能はWindowsを搭載したクライアントPC、「Windows Phone」搭載の同社スマートフォン「Lumia」、タブレットの「Microsoft Surface Pro 3」を組み合わせた場合に最もうまく機能する。
これはエンタープライズハードウェア市場にとってどんな意味があるのか。
(※)オムニチャネル(英語omnichannel):顧客やユーザーとの接点となる全てのチャネルを融合したシームレスな単一のチャネル。“マルチチャネル”(英語multichannel)は、実店舗、オンラインショッピングサイトなど複数の独立した接点を通して顧客にアプローチすること。
IT部門はSurfaceを導入するか
MicrosoftはWindows 10によって、企業に値段の安い他社製のクライアントPCやタブレットではなくSurfaceを購入する気にさせたい意向だ。Microsoftにとっての問題は、同社の力でまだエンタープライズ市場の競争を阻止できた7年前にこうした相互運用性を実現しなかったことにある。その間に私物端末の業務利用(BYOD)ポリシーが普及して、Microsoftの企業向けサーバと米Appleの「Macintosh」や「iOS」デバイス、米Googleの「Android」搭載のモバイル端末、場合によってはカナダBlackBerryのデバイスやエンタープライズモバイル管理ツールが混在する環境が出来上がった。
IT部門の多くは、コスト上のメリットを分析してMicrosoft製タブレットに移行する価値があるかどうか判断できるようになるまで待ちの姿勢を保つだろう。多くの企業にとって、BYODタブレット(私用の情報と業務用情報が全て1台に保存された「iPad」などの端末)から業務専用のSurface Pro 3タブレットに切り替えるのは難しそうだ。たとえその流れができたとしても、従来のクライアントPCからSurfaceタブレットへの移行には何年もかかると予想される。
Microsoft自身はどうしているのか。IT担当者のかなりの部分は向こう10年のうちに引退する見通しだ。そうした従業員の多くは、従来型クライアントPCに搭載されたWindows OSのアップデートを中心として全キャリアを形成してきた。一方、モバイル世界で育った新しい世代のITプロフェッショナルは、Windows 10のクロスデバイスアプリ導入にもっとうまく対応して、エンタープライズ環境でピークの生産性を引き出すことができるだろう。
もう1つ特筆すべきこととして、2020年の「Windows 7」サポート打ち切りがある。迫る期限に備えて多くのIT部門はWindows 7からの戦略的移行計画に近々着手するか、既に着手しているはずだ。Windows 7を使っている企業の多くは、Windows 10のようなモバイルへの親和性が高いOSへのアップデートに備えているかもしれない。Microsoftはここで2つの局面の勝利を狙っている。もし組織がWindows 10にアップグレードすれば、Windows 10のベストのパフォーマンスを引き出せるハードウェアも欲しくなるはずだ。
企業が会議室の大画面テレビに代わって、84インチの「Surface Hub」などのデバイスに投資する可能性もある。Surface Hubは2015年内に登場する超大型のオールインワンデバイスで、Windows PCやモバイル端末と同様にWindows 10のクロスデバイスアプリに対応できる。従業員はSurfaceタブレットやWindows Phoneを使ってSurface Hubと連携できる。これは企業がそうしたデバイスの採用を検討するもう1つの理由になる。
だがWindowsデバイスが有利になるあらゆる仕組みを備えていても、エンタープライズデバイスが混在する環境はあと3~5年は続くと予想される。非Microsoft製品を中心とするBYODポリシーは企業内で強力な基盤を築いており、Microsoftが描く構想の障壁であり続けるだろう。
企業は非Microsoftモバイル端末に加えて、今後も長い間、Windows PCを買い続けるだろう。電話システムを管理する従業員やデスクトップに縛られる従業員向けに仮想マシンも普及する見通しだが、あと数年は、徐々に減退はするものの、引き続き大量のPCを購入し続けるはずだ。多くの企業は当面の間、Windows 7を使い続けるだろう。だが従来型PCのワークフロー向けに設計されたソフトウェアに依存する状況から、徐々にエンタープライズアプリやサードパーティーアプリへと移行する。
私の予想では、従来型ノートPC離れはそれよりも少し早く到来し、近いうちにWindows環境はSurfaceタブレットが主流になる。デスクトップPCを使わない従業員にとってスマートフォンが中心的なツールになる日は間もなくやって来るかもしれない。ただ、Windows PhoneがSurfaceと同程度の成功を収められるとは思わない。「iPhone」とAndroid携帯の支配は今後も続くだろう。
Windows PCとタブレットに投資するかどうかを企業が決める要因は依然としてコストにある。どの企業にも予算の限界がある。しかしWindows 10では生産性を高めることが可能だ。従業員がその新機能を活用できるようにすることには多大な価値がある。
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