ActiveSyncとポリシーでBYODの課題に対処
【事例】コニカミノルタの私物iPhone/iPad解禁を促したセキュリティ対策
約3万5000人の連結従業員数を誇るコニカミノルタホールディングスは、従業員の私物iPhone/iPadの業務利用を許可している。その取り組みを支えるセキュリティ対策を示す。
個人所有のスマートフォンやタブレットなどを業務利用させる「BYOD」の注目が高まっている。BYODは米国企業を中心に採用が進んでいるものの、セキュリティの懸念などを理由に、国内ユーザー企業のBYOD採用はまだ少ないのが現状だ。
そうした中、連結従業員数約3万5000人を誇るコニカミノルタホールディングス(以下、コニカミノルタ)がBYODの採用に踏み切った。同社は、BYOD採用に伴うセキュリティ課題にどう対処したのか。ガートナージャパンが2012年7月に開催した情報セキュリティイベント「セキュリティ&リスク・マネジメント サミット 2012」で講演した、コニカミノルタのIT業務改革部担当部長である茶谷 勉氏の講演内容を基に紹介する。
コニカミノルタは、2011年6月にiPhoneとiPadに絞ってBYODを許可した。日本マイクロソフトの情報共有基盤製品「Microsoft Exchange Server」と、その同期機能である「Microsoft Exchange ActiveSync」を導入。従業員は、コニカミノルタがExchange Serverで管理するメールやスケジュールをActiveSyncを通じて私物端末から閲覧・編集する。利用台数は明らかにしていないが、海外拠点を中心に私物端末の利用が始まりつつあるという。
ActiveSyncとポリシーで社内端末と同等のセキュリティを実現
コニカミノルタがBYOD採用に当たって最も重視したのが、社有端末と私物端末のセキュリティレベルを共通化することだったと茶谷氏は語る。同氏は、個人所有のスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスに特有のリスクとして以下2点に注目した。
- 情報漏えい対策をしないままの状態で端末を紛失する
- 端末紛失の事実が会社に伝わらず、情報漏えい対策が後手になる
こうした課題を解決する手段としてコニカミノルタが選択したのが、ActiveSyncを利用した端末管理だ。ActiveSyncは、Exchange Serverのメールやスケジュールの同期機能の他に、リモートワイプなどの基本的なモバイルデバイス管理(MDM)機能を持つ。コニカミノルタは、ActiveSyncを利用してパスコードやリモートワイプ、画面ロックの強制適用を実施した。
同社は、MDMをActiveSyncとExchange Serverで実現しようと考えた理由として、「グローバルで製品の利用やサポートが可能なこと」を挙げる。同社は世界35カ国に現地法人を保有しており、売上高の7割以上が日本国外。海外展開が進んだ同社にとって、グローバルで製品調達やサポートが受けられるメリットは大きかったという。また、同社はメールとスケジュールの同期にActiveSyncを利用しているため、ActiveSyncをMDMに利用すればMDMシステムを新規導入する負荷から解放されるというメリットもあった。
さらに同社は、BYOD導入に伴いセキュリティポリシーも更新。個人所有端末の場合も紛失時の事故報告や定期的な現物チェックをセキュリティポリシーで義務化し、紛失事故を可能な限り早期に把握できるようにした。
私物Androidの利用は不許可、理由はセキュリティの懸念
同社は、現時点では利用可能な私物端末をiPhone/iPadに絞り込んでいる。マルウェアが頻繁に登場するAndroidは「業務利用端末としてはセキュリティに不安がある」というのが理由だ。会社支給の標準スマートデバイスもiPhone/iPadにしており、端末の種類を絞り込むことでセキュリティ対策を効率化する狙いもある。ただし、Android端末の業務利用を検討していないわけではなく、必要なセキュリティ対策とセットで検討を進める考えだ。
現時点では、スマートデバイスから利用可能なのはメールとスケジュール管理であり、勤怠管理や経費精算などの業務システムの利用と、それを実現するためのシステム構築やセキュリティ対策の検討は今後の検討課題だ。同社は既にクライアントPC向けにはSSL VPNを導入しており、社外の端末から一部の社内システムにアクセス可能にしている。
BYOD採用の理由はスマートデバイス導入期間やコストの削減
同社がBYOD採用を決めた理由は、「スマートデバイス導入に必要なコストと時間を削減することだった」と茶谷氏は説明する。コニカミノルタは、スマートデバイスでメールやスケジュール管理などを利用できれば、オフィス外で仕事をする従業員の生産性向上に役立つと判断。会社支給の業務用端末を低コストかつ迅速にスマートデバイスへ置き換える手段として、BYOD採用を検討した。
さらに、個人所有のスマートデバイスで業務を進めたいと考える従業員が多いこと、私物端末の業務利用が注目を集めていることも、BYOD採用を後押ししたと茶谷氏は話す。海外拠点からもBYOD採用を求める声はあったが、「頻繁に海外出張している国内事業会社の従業員からも、私物端末解禁を求める声が多かった」という。
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