Windows 8の欠点を補ったWindows 10
「Windows 10」アップグレード前に確認しないと後悔すること(2/2 ページ)
Windows 10の改善点と新機能
Windows 10の改善点としてはまず、起動とシャットダウンが目に見えて高速化したことやアプリケーションのロードが高速化したことなどが挙げられる。さらに今後、新しいビルドでは、メモリ使用量の改善や全体的な応答速度の向上も予想される。
Windows 10では、従来のスタートボタンとスタートメニューが復活した。新しい画面の見た目や操作感では、Windows 8のModern UIに若干似ているが、特に変更を加えなくてもクリックだけで目的のアプリや機能に容易にアクセスできる。さらにWindows 10では、Modern UIアプリケーションがデスクトップ画面のウィンドウで動作するようになった。Windows 8では、Modern UIアプリケーションは画面全体に表示されるので、デスクトップや他のプログラムに戻る方法が分からずに困惑するユーザーもいた。Windows 10の新機能である仮想デスクトップ(マルチデスクトップ)機能を使えば、実行中のアプリケーションを作業内容に応じて複数のデスクトップ画面に分類し、切り替えながら使用できる。
Windows 10の「コマンドプロンプト」では、テキストのコピーや貼り付けに便利な「簡易編集モード」がデフォルトで有効化されている。コマンドプロンプトでの作業が多いIT担当者にとってありがたい変化だ。実行中のプログラムを「Alt」+「Tab」キーで切り替えられる機能も改善されている。新しく搭載された「アクションセンター」を使えば、各種通知を確認できる他、コンピュータの設定やVPN(仮想専用ネットワーク)接続の管理も容易だ。
Windows 10ではエクスプローラも改善され、最近使用したファイルやよく使うフォルダへのアクセスが容易になった。見た目も改善されている。さらにユーザーは音声アシスタント「Cortana」の検索機能を使って、自分のコンピュータやインターネットにあるデータを検索できる。
「ファイル履歴」機能も改善され、機能設定や削除済みファイルの復元がはるかに容易になった。大切なファイルを社員が誤って削除してしまう可能性を考えると、企業にとってこれは本当に助かる機能だ。新しいWebブラウザ「Microsoft Edge」は非常に高速で、今のところ、互換性の問題も最小限に抑えられている。
Windows 8には、重要な更新プログラムのインストール後に再起動せずにいると、15分間のカウントダウンが始まり強制的に再起動が実行されるという仕組みがあった。Windows 10では、更新プログラムのインストール後の再起動のタイミングを設定できるようになった。
生体認証機能「Windows Hello」は、既存の指紋スキャナの他、顔認証や虹彩認証のスキャナをサポートする。またWindows 10は新しいグラフィックスAPI「DirectX 12」を搭載し、グラフィックス機能が強化されている。法人向けの新サービス「Windows Update for Business」では、アップデートや新機能のインストールのタイミングをより細かく管理できる。
最後にもう1つ。Windows 10のモバイル版「Windows 10 Mobile」により、ユーザーはデスクトップPCとモバイルデバイス間を比較的シームレスに移行できることになる。
アップグレード前の確認すべきこと
ただし、OSやハードウェアのアップグレードは企業にとって常に最良の判断とは限らない。エンドユーザーのコンピュータに大きな変更を加えるからには、IT担当者にも経営陣にも、納得のいく理由が必要だ。Windows 10へのアップグレードが得策か否かを判断するには、確認すべき項目が多数ある。
まず、アップグレードする場合に計画から設計、実装、保守に掛かるコストがどの程度になるかを時間と労力の点から検討し、既存の構成と比較する。アップグレードに伴うユーザートレーニングも忘れずに計算に入れる必要がある。エンドユーザーやヘルプデスクにとって、Windows 10によるパフォーマンスの改善がプラスに作用するかの確認も必要だ。例えば、ヘルプデスク担当者が対応すべき電話の数は減るだろうかといったことだ。
サードパーティー製品を使わずにセキュリティ更新プログラムをより良い方法で管理したいと考えているIT部門には、恐らくWindows 10はうってつけの選択肢ではないだろうか。フルディスク暗号化を実現したい企業についても同様だ。「Windows 10 Pro」など、Windows 10の一部のバージョンはBitLockerを搭載する。BitLockerはようやく成熟し、比較的複雑な環境でも使用できるレベルに達している。
エンドユーザーがカスタムアプリケーションやレガシーアプリケーションで「Internet Explorer」を必要としているか、あるいは全てのニーズをEdgeで満たせるかを確認する必要もあるだろう。また、サーバアップグレードが可能かの確認も必要だ。Windows 10の機能の中には、「Windows Server 2016」がなければフルに活用できないものもある。
Windows 10の最初のリリースは当然ながらバグフリーではなく、ビデオドライバやディスプレイの問題が見つかっている。ただし、Windows 10へのアップグレードはいつかは検討すべき問題だ。通常、システムのアップグレードにはそれだけの価値がある。Windows 10のプラス面がマイナス面を上回るようなら、なおさらだ。まずはテスト環境にWindows 10をインストールして、数週間試してみるといい。その上で、自社にとって意味のあるアップグレードかどうかを判断する。これは、どの企業も必ず下さなければならない決断だ。
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