ホログラムでアプリを現実空間に投影
iOS、Androidアプリも動く 「Windows 10」への期待が高まる新機能
米Microsoftは開発者向けカンファレンス「Build 2015」において、次期OS「Windows 10」の最新情報を明らかにした。そこからは、OS単体ではなくサービス全体から利益を生み出そうとする姿勢が見て取れる。
ようやく、米Microsoftはビジョンを取り戻したのだろうか。開発者向けカンファレンス「Build 2015」において、同社は今後2~3年の間に次期OS「Windows 10」を10億台のデバイスに搭載する意向を明らかにした。リリース時期は2015年夏を予定している。PCをはじめ、スマートフォン、ゲーム機「Xbox」、ヘッドセット「Microsoft HoloLens」など幅広いデバイスをサポートする。その重要なカギを握っているのがユニバーサルアプリである。ユニバーサルアプリは、Windows 10を搭載するあらゆるデバイスで動作し、開発者の作業を大幅に簡略化すると期待されている。Microsoftでは今、こうした環境を実現させようとしている。
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「われわれの目標は、Windows 10をこれまでで最も魅力的な開発者向けプラットフォームにすることだ」とオペレーティングシステム担当の執行副社長であるテリー・マイヤーソン氏は基調講演で述べた。新たな開発ツールはWindowsアプリの製作を容易にし、さらに重要な点は、Windowsアプリを開発することで「開発者が10億台のデバイスにリーチする機会を得られる」ことだという。
しかし、そこには落とし穴がある。米メディアのThe Vergeなどの報道では、10億という数字を達成するのは、創業40年のMicrosoftにとって困難な道のりだとしている。Windows 10を新たなデバイスに搭載するだけでなく、既存のデバイスにおいても旧版から新版のWindowsへと入れ替えさせないといけない。また、少なくとも短期的に見れば、Windows Phoneプラットフォームは後押しにならない。米調査会社のIDCは、2015年に出荷される3億台のPCの大半は、Windows OSを搭載すると予測する一方で、Windows Phoneはスマートフォン市場において、AndroidとiOSに大きく水をあけられている。その理由の一部には、Windows Phone向けのアプリがあまり多くないことが挙げられる。ユーザー数が十分ではないため、開発者はアプリの開発に前向きではない。
では、ユニバーサルな世界を実現するために、Microsoftではどういった取り組みを進めているのだろうか。
iOS、Android、古いWindowsアプリが動作
Microsoftは新たなソフトウェア開発キット(SDK)を提供する。プログラマーは、Android用プログラミング言語やiOS用コードの大半を使って、Android/iOSアプリのWindows対応版を開発することができる。移植したアプリはWindows Storeから入手することが可能になる。
また、GoogleやAppleが提供するサービスの代わりに、Microsoftのサービスを利用する仕組みとなっている。例えば、Google MapsがBing Mapsに置き換わるといった具合だ。新たなSDKを使用すると、Webアプリや.NET/Win32で構築されたWindowsアプリケーション(現在、1600万本以上が提供されている)をWindows 10プラットフォームに移植することも容易である。
ホログラム対応のWindowsアプリの開発
Windows 10が開発者の支持を得られるかどうかはまだ分からない。しかし、Build 2015では、実際に多くの驚きがあった。その1つがホログラムのイヌである。Microsoftのオペレーティングシステム部門で技術フェローを務めるアレックス・キップマン氏は、HoloLensの一歩先を行く「Windows Holographic Platform」を発表した。このプラットフォームは、ホログラム体験をユーザーに提供するだけでなく、Windowsアプリを現実空間に映し出して、開発者や消費者がアプリを操作することが可能になる。
デモの1つでは、HoloLensを装着した人物がビデオアプリ「Skype」に“付いてきて”と指示することで、アプリの画面が合わせて動く様子が披露された。キップマン氏によると、全てのWindowsユニバーサルアプリがこうした機能を備えることになるという。Skypeの画面を壁に貼り付けたり、サイドテーブルに天気アプリを表示させたりしたければ、そう命令するだけでアプリは従ってくれる。
では、職場での利用についてはどうだろうか。米調査会社のGartnerでアナリストを務めるスティーブン・クレイハンス氏とマイケル・シルバー氏は、HoloLensヘッドセットを装着した従業員がオフィスを歩きまわる世界がすぐにやってくるわけではないが、現実とデジタルの融合はWindowsとその環境を操作する自然な方法になると考えている。例えば、「1つのHoloLensデバイスは、職場にあるマルチモニターを置き換えることができる。仮想的なディスプレーが必要に応じて表示されるようになる」という。
Build 2015のその他のハイライト
- Microsoftは、音声アシスタント「Cortana」を機能強化し、Windows 10との統合を強化した。例えば、ホーム画面から音声コマンドを使ってアプリを直接コントロールすることが可能になった。Uberなどのサードパーティーアプリとの連係も拡張している。
- 「Azure SQL Data Warehouse」はサービスとしてのデータウェアハウス(data warehouses as a service)を提供する。ストレージとコンピュートが分離されており、使った分だけ支払いが発生する。
- 「Continuum for Phones」と呼ばれる機能は、Windows Phoneを大画面につなげて、フル機能のデスクトップPCに変身させることができる。スマートフォンでありながら、Microsoft Excelなどのアプリを従来型のWindows UIで表示することができる。しかしながら、全てのWindows Phoneデバイスが対応するわけではない。
Windows 10に向けたIT部門の準備はどうすればいいか
クレイハンス氏とシルバー氏は、IT部門はBYOD(私物端末の業務利用)と会社所有端末の両面からWindows 10の導入に備えるべきだと指摘する。Windows 10は、2016年には企業ネットワークで使われ始めるという。具体的な対策としては、Cortanaなどの機能が企業のセキュリティに与える影響、業務と個人のデータを隔離する方法とポリシーの施行などだ。また、Windows Phoneが消費者の間で人気を集め、BYODプログラムの対応が必要になるかどうかを見極めることも必要だという。
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