ホログラムでアプリを現実空間に投影
iOS、Androidアプリも動く 「Windows 10」への期待が高まる新機能
米Microsoftは開発者向けカンファレンス「Build 2015」において、次期OS「Windows 10」の最新情報を明らかにした。そこからは、OS単体ではなくサービス全体から利益を生み出そうとする姿勢が見て取れる。
ようやく、米Microsoftはビジョンを取り戻したのだろうか。開発者向けカンファレンス「Build 2015」において、同社は今後2~3年の間に次期OS「Windows 10」を10億台のデバイスに搭載する意向を明らかにした。リリース時期は2015年夏を予定している。PCをはじめ、スマートフォン、ゲーム機「Xbox」、ヘッドセット「Microsoft HoloLens」など幅広いデバイスをサポートする。その重要なカギを握っているのがユニバーサルアプリである。ユニバーサルアプリは、Windows 10を搭載するあらゆるデバイスで動作し、開発者の作業を大幅に簡略化すると期待されている。Microsoftでは今、こうした環境を実現させようとしている。
「Acer Chromebook C720」、読者プレゼント実施中!
TechTargetジャパンは、IT活用を積極的に進める教育者チーム「iTeachers」の取り組みを中心に、先駆的なIT活用事例を集約したテーマサイト「教育ITの先駆者集団『iTeachers』に学ぶ 学校IT活用の極意」を開設しました。
本テーマサイトの開設を記念して、広尾学園中学校・高等学校でも導入実績がある、日本エイサーのChromebook「Acer Chromebook C720」(レビュー記事:徹底レビュー:「Chromebook」を使って感じた驚きの安さと、意外な実用性)を抽選でプレゼントします。
「われわれの目標は、Windows 10をこれまでで最も魅力的な開発者向けプラットフォームにすることだ」とオペレーティングシステム担当の執行副社長であるテリー・マイヤーソン氏は基調講演で述べた。新たな開発ツールはWindowsアプリの製作を容易にし、さらに重要な点は、Windowsアプリを開発することで「開発者が10億台のデバイスにリーチする機会を得られる」ことだという。
しかし、そこには落とし穴がある。米メディアのThe Vergeなどの報道では、10億という数字を達成するのは、創業40年のMicrosoftにとって困難な道のりだとしている。Windows 10を新たなデバイスに搭載するだけでなく、既存のデバイスにおいても旧版から新版のWindowsへと入れ替えさせないといけない。また、少なくとも短期的に見れば、Windows Phoneプラットフォームは後押しにならない。米調査会社のIDCは、2015年に出荷される3億台のPCの大半は、Windows OSを搭載すると予測する一方で、Windows Phoneはスマートフォン市場において、AndroidとiOSに大きく水をあけられている。その理由の一部には、Windows Phone向けのアプリがあまり多くないことが挙げられる。ユーザー数が十分ではないため、開発者はアプリの開発に前向きではない。
では、ユニバーサルな世界を実現するために、Microsoftではどういった取り組みを進めているのだろうか。
iOS、Android、古いWindowsアプリが動作
Microsoftは新たなソフトウェア開発キット(SDK)を提供する。プログラマーは、Android用プログラミング言語やiOS用コードの大半を使って、Android/iOSアプリのWindows対応版を開発することができる。移植したアプリはWindows Storeから入手することが可能になる。
また、GoogleやAppleが提供するサービスの代わりに、Microsoftのサービスを利用する仕組みとなっている。例えば、Google MapsがBing Mapsに置き換わるといった具合だ。新たなSDKを使用すると、Webアプリや.NET/Win32で構築されたWindowsアプリケーション(現在、1600万本以上が提供されている)をWindows 10プラットフォームに移植することも容易である。
ホログラム対応のWindowsアプリの開発
Windows 10が開発者の支持を得られるかどうかはまだ分からない。しかし、Build 2015では、実際に多くの驚きがあった。その1つがホログラムのイヌである。Microsoftのオペレーティングシステム部門で技術フェローを務めるアレックス・キップマン氏は、HoloLensの一歩先を行く「Windows Holographic Platform」を発表した。このプラットフォームは、ホログラム体験をユーザーに提供するだけでなく、Windowsアプリを現実空間に映し出して、開発者や消費者がアプリを操作することが可能になる。
デモの1つでは、HoloLensを装着した人物がビデオアプリ「Skype」に“付いてきて”と指示することで、アプリの画面が合わせて動く様子が披露された。キップマン氏によると、全てのWindowsユニバーサルアプリがこうした機能を備えることになるという。Skypeの画面を壁に貼り付けたり、サイドテーブルに天気アプリを表示させたりしたければ、そう命令するだけでアプリは従ってくれる。
では、職場での利用についてはどうだろうか。米調査会社のGartnerでアナリストを務めるスティーブン・クレイハンス氏とマイケル・シルバー氏は、HoloLensヘッドセットを装着した従業員がオフィスを歩きまわる世界がすぐにやってくるわけではないが、現実とデジタルの融合はWindowsとその環境を操作する自然な方法になると考えている。例えば、「1つのHoloLensデバイスは、職場にあるマルチモニターを置き換えることができる。仮想的なディスプレーが必要に応じて表示されるようになる」という。
Build 2015のその他のハイライト
- Microsoftは、音声アシスタント「Cortana」を機能強化し、Windows 10との統合を強化した。例えば、ホーム画面から音声コマンドを使ってアプリを直接コントロールすることが可能になった。Uberなどのサードパーティーアプリとの連係も拡張している。
- 「Azure SQL Data Warehouse」はサービスとしてのデータウェアハウス(data warehouses as a service)を提供する。ストレージとコンピュートが分離されており、使った分だけ支払いが発生する。
- 「Continuum for Phones」と呼ばれる機能は、Windows Phoneを大画面につなげて、フル機能のデスクトップPCに変身させることができる。スマートフォンでありながら、Microsoft Excelなどのアプリを従来型のWindows UIで表示することができる。しかしながら、全てのWindows Phoneデバイスが対応するわけではない。
Windows 10に向けたIT部門の準備はどうすればいいか
クレイハンス氏とシルバー氏は、IT部門はBYOD(私物端末の業務利用)と会社所有端末の両面からWindows 10の導入に備えるべきだと指摘する。Windows 10は、2016年には企業ネットワークで使われ始めるという。具体的な対策としては、Cortanaなどの機能が企業のセキュリティに与える影響、業務と個人のデータを隔離する方法とポリシーの施行などだ。また、Windows Phoneが消費者の間で人気を集め、BYODプログラムの対応が必要になるかどうかを見極めることも必要だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[Datadog Japan合同会社] Wantedlyのオブザーバビリティはどう進化したか 10年の軌跡と実装の変遷 -
事例
[Datadog Japan合同会社] エラー検知から原因調査までを最短5分で、日経新聞に学ぶアプリ監視の改善方法 -
製品資料
[Datadog Japan合同会社] クラウドのコストと利用状況を可視化&最適化、「Datadog」の実力とは? -
事例
[Datadog Japan合同会社] クラウド移行で見えた監視の死角、SBI証券が選んだ統合オブザーバビリティ実践 -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] リソースに限りのある中堅企業で「多層防御」の運用負荷をどう乗り越える?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
2
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
3
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
AIエージェントを暴走させない設定、済んでますか? 対策5選を専門家が紹介
-
7
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
8
ルーブル美術館も被害に “ありふれた手口”で巨額ハッキングが成功する理由
-
9
機械学習について、正しく説明している文章はどれ?
-
10
コスモ石油、法令申請業務をどうシステム化した? ベテラン頼みの法令判断を解消
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー