CortanaやSpartanなど新機能がめじろ押し
「スタート」復活だけではない、5分で分かる「Windows 10」の新機能
米Microsoftは次期OS「Windows 10」についてさらなる詳細を明らかにした。「Cortana」「Project Spartan」「Microsoft HoloLens」など盛りだくさんの内容となっている。Windowsの新版では何が変わるのだろうか。
米Microsoftは今、同社クライアントOS「Windows」に大きな期待を寄せている。1つは、次期版「Windows 10」の登場が、全世界で15億人に及ぶユーザーに歓迎されることだ。そしてもう1つは、「Windows 8」で酷評されたスタートメニュー変更の不満を解消しようということだ。
Windows 10に込められたメッセージ
Microsoftは2015年1月21日(米国時間)、Windows 10に関する説明会を開催した。同社は発表の中で、次期OSについてさらなる詳細を明らかにした。その内容から判断すると、十分に期待が持てそうだ。
Microsoftが2014年に行った正式発表によると、Windows 10では、ユーザーが慣れ親しんだスタートメニューがデスクトップに復活するだけでなく、企業ユーザー向けのセキュリティ機能が強化される。また、スマートフォン、タブレット、「ファブレット」(スマートフォンとタブレットの中間に位置するデバイス)、ノートPC、デスクトップPC、さらには「Xbox One」に至る全てのデバイスに、1つのプラットフォームおよび1つのアプリストアで対応するという。
同社は現在、「Windows Insider Program」を通じてWindows 10の開発プロセスの改善を進めている。同プログラムのユーザーから寄せられたフィードバックは、ユーザーインタフェースの大幅な変更といった形で既に具体化している。例えば、Windows Insider Programのユーザーの要望を受け、従来の「設定」メニューと「コントロールパネル」メニューは、Windows 10の「Settings」メニューの中にまとめられた。これにより、ユーザーは全てのデバイスの制御を1カ所から行えるようになる。
Windows 10のTechnical Previewの最新ビルドには、明らかなメッセージが込められている。それは、Microsoftは単に新しいOSを作りたいと思っているのではなく、人々が生活の中でデジタルコンテンツを利用する方法を完全に変えようとしていているということだ。
Windows 10の開発チームは「よりパーソナルなコンピューティング」を目指している。これは「ユーザーエクスペリエンスのモバイル化」「ユーザーからの信頼の確立・維持」「より自然で直感的な操作性の実現」を意味する。
具体的には、Windows 10では複数のデバイス(および異なるタイプのデバイス)の連係が容易になり、使用しているデバイスの種類にかかわらず、シームレスな連係が可能になるということだ。Microsoftによると、会議室でノートPCからプロジェクターにプレゼンテーション資料を転送する方法や、これらのスライドのハードコピーを新しい業務用プリンタで印刷する方法などで悩んだりする必要がなくなり、また、タブレットからチームのメンバー全員にメモを送信するのに苦労することもなくなるという。こういったタスクは整合性のある直感的なジェスチャーで実行でき、しかも異なるデバイスが単一のプラットフォームを使用するため、複雑なアプリや追加的なソフトウェアドライバを使わなくてもデバイス同士が連係できるからだ。
Windows 10では、ユーザーが異なるタイプのデバイスを頻繁に取り換えて使っても対応できる。コンバーチブル型の2-in-1ノートPCを使って従来のWindowsデスクトップモードで作業した後、ディスプレーを取り外して、そのデバイスをタブレットとして使用すると、Windows 10はタッチスクリーン用の大きなアイコンのタブレット表示モードに切り替えるかどうかを自動的に聞いてくる。もちろん、タブレット上で従来のデスクトップインタフェースを使い続けることも可能だ。
CortanaがPCにも対応
Windows 10で動作する全てのPC上で、「Windows Phone」用の音声インタフェースである「Cortana」が利用できるようになる。「Hey, Cortana」と呼び掛けるだけでCortanaが起動する。Microsoftによると、Cortanaは米Appleの「Siri」のような単なる音声インタフェースではないという。クラウドベースのCortanaは「パーソナルデジタルアシスタント」であり、Cortanaがユーザーについて学習したことに基づいて反応が変化してカスタマイズされる。また、Cortanaはクラウドベースであるため、パーソナライズされたCortanaは、Windowsが動作する任意のデバイスからアクセスできる。
自分あるいは自社に関する多くの情報をクラウドベースの人工的存在によって把握されるのを危惧する個人あるいは企業のために、Cortanaが学習するユーザーの情報を制限あるいは修正する機能も用意されているので、個人データや企業の機密情報がクラウドから流出する心配はない。
Project Spartan
「Project Spartan」(開発コード名)と呼ばれる新しいWebブラウザでは、オンラインコンテンツを操作する方法が改良され、「Webサイトからコンテンツを切り抜く」「Webページにメモを直接書き込む」「Webページに書き込んだメモを共有する」「WebサイトをPDF形式で保存し、オフラインで表示できるようにする」といった作業が簡単に行えるようになる。
また、Microsoftのゲーム「Halo」に登場する架空の人工知能「Cortana」が「Spartan」というコンバットスーツに組み込まれているのと同様、パーソナルデジタルアシスタントのCortanaもブラウザのSpartanに組み込まれている。ユーザーが予定表にあるイベントに関連した情報、例えば、計画中の旅行に関連したフライト情報の検索を始めると、Cortanaはそのフライト情報がユーザーの旅行で必要になる可能性があると判断し、この情報を(航空会社から提供される今後の最新情報とともに)「Microsoft Outlook」の予定表に取り込むかどうか聞いてくる。
ユニバーサルアプリ
スマートフォン、タブレット、そして従来のノートPCおよびデスクトップPC上で動作する数種類のユニバーサルアプリケーションは、全てのデバイスをシームレスに連係させることを目指したMicrosoftの計画にとって不可欠なものだ。
Windowsベースのスマートフォンおよび小型タブレットには「Microsoft Word」、Outlook、「Microsoft PowerPoint」が無償で含まれる予定であり、モバイル化が進む企業の従業員は小さな個人用端末上でも本格的な仕事が行えるようになる。
Wordのフル機能のワープロエンジンがOutlookに組み込まれるため、Wordドキュメントを作成するのと同じインタフェースと同じ機能を使って電子メールの体裁を整えることができる。
Outlookの予定表のインタフェースはPCと小型デバイスで統一され、同じジェスチャーで予定表を操作できる。1週間の予定が表示された画面をピンチインすると1カ月表示になり、ピンチアウトすれば1日の予定が表示される。
「Photo」アプリもユニバーサルプラットフォームの恩恵を受ける。ユーザーの画像はクラウド上に集約され、各種のデバイスから全ての画像を手作業で整理できる。日付、画像内の顔の認識および撮影場所に基づいてPhotoアプリに自動的に画像を整理させることも可能だ。
Windows 10のゲーム機能
PC上のWindows 10は「Xbox」アプリを利用することにより、従来とは異なる形で「Xbox One」と接続できるようになる。「Xbox Live」のコンテンツ(ゲームライブラリ、成績、フレンドリスト、メッセージ、アクティビティなど)をWindows PCからアクセスすることが可能になる。PCゲーマーは「Game DVR」機能を利用して、「Steam」アカウントで動作するPCゲームのプレイ動画を録画し、このビデオクリップをクラウドに保存したり、Xbox Liveなどのソーシャルネットワーク上でビデオクリップを共有したりできるようになる。
またWindows 10では、マルチプレーヤーゲームの参加者が同じデバイスを使う必要はなく、PC上のゲーマーとXbox Oneコンソール上のゲーマーが対戦できる。既にXbox Oneコンソールを所有していて、ゲーム専用のPCに新たな出費をしたくないというゲーマーにとって、Xbox Oneから自宅のWindows 10搭載PCにワイヤレスでゲームをストリーム送信でき、その際にフレームレートが大幅に低下することがないというのは朗報だ。
Xbox Oneコンソールを持っていないけれども、PC上で本格的なゲームを手軽に楽しみたいというユーザーにとってうれしいのが、Windows 10に組み込まれる「DirectX 12」だ。DirectX 12では、専用のグラフィックスカードを搭載していないデバイス上で動作するゲームのパフォーマンスが「DirectX 11」と比べて最大50%アップするという。
Windows Holographic:現実世界にホログラムを投影
Windows 10をめぐるMicrosoftの戦略のもう1つの重要な部分が、デジタルコンテンツと現実空間をシームレスに結び付けることだ。それを実現する手段の1つが、人々の日常環境とホログラムを組み合わせることだ。仮想現実そのものは新しい技術ではなく、米Googleの「Google Glass」や米Facebook傘下の「Oculus」などのデバイスは、デジタルコンテンツをユーザーの目の前の小さなスクリーンに投影する。だがMicrosoftが紹介した計画はこれらとはやや異なり、仮想現実と物理空間を融合するというものだ。
「Microsoft HoloLens」は、ラップアラウンド型のシースルー投影レンズおよび内蔵センサーとプロセッサ(専用の「Holographic Processing Unit」(HPU)など)で構成される初の自己完結型ヘッドセットで、ユーザーが見る周囲の現実環境の一部となる3Dホログラフィーインタフェースをリアルタイムで映し出す。
このホログラフィーインタフェースは、米国のSFテレビドラマ「Star Trek」に登場する「ホロデッキ」(仮想空間を作り出す装置)とは異なるが、技術者は3Dのデジタルモデルを作成し、それを周囲の物理空間に表示させることができる。デザイナーであれば、ホログラムを使って作品をリアルタイムで“3Dプリント”し、これらの作品を現実空間の中で見ることができる。
Microsoftは米航空宇宙局(NASA)と共同で取り組みを進めている。火星探査車を操縦するチームが、Microsoft HoloLensヘッドセットを使って火星表面のホログラフィーモデルを作成できるようにするというものだ。この技術が完成すれば、NASAの技術者は、自分が実際に火星の上を歩いているような感覚で障害物や潜在的な危険性を確認しながら、火星探査車を操縦して火星表面を探査できるようになるという。
もちろん、このホログラフィーインタフェースは、米Netflix(動画配信サービス企業)のビデオの鑑賞、WebサイトやFacebookの閲覧などにも利用できる。Skypeのビデオ通話で利用すれば、遠くにいる家族がまるで自分と一緒の部屋にいるように見える。
要するに、Microsoftはユーザーに好まれていた以前のWindowsの一部を復活させる一方で、ユーザーがデバイスおよびデジタルコンテンツを操作する方法を大きく変えようとしているのだ。
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