「3番手からは抜け出せない」との声も
「Windows 10スマホ」がiPhone、Androidより売れるただ1つの条件
次期Windowsの「Windows 10」は、クライアントPCだけでなくスマートフォンへの搭載も見込まれる。このことは、米Microsoftがスマートフォン市場の覇権を握る原動力となるのだろうか。
米Microsoftの次期OS「Windows 10」は、今までモバイル専用OS「Windows Phone」が担ってきたスマートフォンへの搭載が予想されている。このことは、IT部門とユーザーがWindowsエコシステムに投資する十分な理由となるのだろうか。
Windows 10が稼働するスマートフォンであれば、企業のIT部門は簡単に管理できるだろう。だが米Appleの「iOS」や米Googleの「Android」ユーザーをWindows 10スマートフォンへ乗り替えさせるには、必要な条件がある。
Windowsとの親和性が鍵
必須なのは、魅力的なビジネスアプリケーションだ。乗り替えを検討しているビジネスユーザーにとって、ビジネスアプリが利用できることは重要である。IT部門がWindows 10スマートフォンの導入に当たって従業員への配布を選ぶか、BYOD(私物端末の業務利用)を選ぶかを判断する検討材料にもなる。
米カリフォルニア州サンノゼを拠点とする調査会社Enderle Groupでプリンシパルアナリストを務めるロブ・エンダール氏は、「AndroidやiOSよりも、Windowsベースのスマートフォンの方が既存のWindows用ビジネスアプリを使用しやすい」と言う。ただし、多くのレガシーアプリはスマートフォンで実行するように設計されていない。そのため、コードの書き直しや更新が必要になることが予想できる。
Microsoftは2本の柱から成るアプリの開発アプローチを推奨している。その柱は、全てのWindows端末で動作可能にする「ユニバーサルアプリ戦略」と、スマートフォン対応のビジネスアプリを作成するよう開発者に働きかける「メッセージング」だ。
「開発者がデスクトップアプリのWindows 10対応を進めるときには、モバイルアプリも当然ながら作成するだろう」と米ボストンの調査会社451 Researchでモバイル/ワイヤレスリサーチ部門のディレクターを務めるクリス・ヘイゼルトン氏は見ている。
求められるエンタープライズ機能
この1年、IT担当者はWindows Phoneへエンタープライズ機能を追加するMicrosoftの戦略を注意深く見守ってきた。データの暗号化、VPNのサポート、コンテナ化、モバイルデバイス管理(MDM)といった機能をWindows Phoneに追加し、企業の購買担当者への訴求力を向上させている。
Windows 10を含むWindowsに対する親近感が、企業におけるWindows Phoneの導入検討を促進する鍵となるかもしれない。「IT担当者はWindowsを熟知している。Windows Phoneを導入し、使い慣れているアプリと連動させることが可能だ」とエンダール氏は指摘する。
エンダール氏は、「Windows Phoneユーザーが『サイドローディング』したアプリによって、セキュリティの問題が発生することはないだろう」と語る。サイドローディングは、公式アプリストアを経由せずに、端末にアプリを直接インストールすることだ。「こうした問題は、デスクトップPCやノートPCで発生する可能性の方が高い」(同)
ただし、ビジネスユーザーはiOSやAndroid搭載のスマートフォンを手放すことに難色を示している。この状況はスマートフォンの市場占有率が如実に物語っている。「IT部門はWindows Phoneに対して好意的な見方をしているものの、エンドユーザーの説得は難航している」とエンダール氏は語る。
ただし、エンダール氏は「Microsoftがビジネスアプリを用意できれば、エンドユーザーを囲い込むことができるはずだ。囲い込みに成功すれば、IT部門はMicrosoftを称賛するだろう」と見ている。
事実、451 Researchが実施した調査結果によると、IT部門がWindows PhoneをBYOD対象の端末としてサポートする意思は向こう2年で高まるという。この調査では、現時点でWindows Phoneをサポートすると回答したIT担当者は25%(有効回答数360件)だが、2年後には46%(有効回答数307件)がサポートすると答えている。
立ちはだかる2台巨頭
Microsoftは競争の激しいスマートフォン市場の切り崩しに苦戦している。米調査会社IDCによると、Windows Phone端末の市場占有率は低下している。2013年第2四半期の市場占有率は3.4%だったが、2014年第2四半期は2.5%に落ち込んでいる。iOS端末とAndroid端末が市場占有率の大半(96.4%)を占めているのが実情だ。残りの1%はカナダの「BlackBerry」をはじめとする他ベンダーの端末が占めている。
「iOSとAndroidはスマートフォン市場で非常に好調だ。Microsoftが何をしても、3番手から抜け出すことはできないだろう」。米カリフォルニア州サンノゼにある調査会社Creative Strategiesの創設者でチーフアナリストを務めるティム・バジャリン氏は、こう語る。
スマートフォン市場でゆるぎない地位を確立しているiOS/Android端末。Windows 10は、エンドユーザーとIT部門をこれらの端末から心変わりさせる役割を担う。ただしこれは、Microsoftにとって長期プロジェクトになるとアナリストは見ている。
Windows 10はノートPCとデスクトップPCが抱える問題を解決するだろう。だが「スマートフォンに大きな影響を及ぼすかどうかは未知数だ」。そう語るのは、カリフォルニア州フォスターシティーを拠点とする調査会社TECHnalysis Researchの創設者でチーフアナリストを務めるボブ・オドネル氏だ。
タッチ向けインタフェースである「Modern UI」は、小型のタッチスクリーンデバイスで問題なく機能している。そのため、Microsoftはスマートフォン用にWindowsを修正する必要はない。
「Windows Phoneが抱える大きな問題は別のところにある」とオドネル氏は語る。それは、「Windows Phoneに関する情報を広めて、エンドユーザーにWindows Phoneを試してみようという気を起こさせることだ」(同)
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