モバイルアプリの開発手段として、HTML5はどのくらい有効なのか。有力な対抗馬であるネイティブアプリ方式との比較を通して、HTML5の実力を探る。
モバイルアプリケーション開発で現在最も一般的なのは、ネイティブアプリとして開発するアプローチだ。残念ながら、ネイティブアプリの開発には大きなコストが掛かる可能性があるのに加え、開発ターゲットが少数のモバイルプラットフォームや端末に限定されてしまう問題がある。本稿では、汎用的なモバイル開発手段としてHTML5の可能性を探るとともに、そのメリットとデメリットを明らかにする。
ネイティブアプリの開発者は、各種のモバイルOSや携帯端末向けに個別のネイティブアプリを開発する。ネイティブアプリは携帯端末に直接組み込まれるため、多くの種類のモバイルOSや携帯端末をターゲットにする場合、開発コストが高くなる可能性がある。私物端末の業務利用(BYOD)を採用する動きが拡大していることもあり、ネイティブアプリの開発とメンテナンスのコストは増加傾向にあるのが現状だ。
多くの種類のモバイルOSおよび携帯端末向けモバイルアプリを開発する必要がある企業では、端末やOSに応じて作り直さなくても済むようにしたいと考えている。こうしたモバイルアプリは、同じプログラムがどこでも動く「WORA(Write Once, Run Anywhere)」型モバイルアプリと呼ばれる。
WORA型モバイルアプリを実現する手段には、Mobile Enterprise Application Platform(MEAP)やハイブリッド型モバイルアプリ方式などがある。本稿で焦点を当てるのは、HTML5ベースのWORA型モバイルアプリである。
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