「サンドボックス」にまつわる疑問を解く【第3回】
ウイルス対策の“魔法のつえ”ではない? 「サンドボックス安全神話」を検証する(1/2 ページ)
未知のマルウェア対策の有力な選択肢と目されるサンドボックス製品。ただし、そんなサンドボックス製品にも課題が少なからず存在する。具体的に検証する。
未知の不正プログラム(マルウェア)の検知に威力を発揮するサンドボックス製品。ただし、現状のサンドボックス製品には解決すべき課題があるのも事実です。
前回「未知のマルウェアを見つけ出す『サンドボックス』の失敗しない選び方」では、サンドボックス製品には「エミュレーション形式」「仮想環境形式」の2種類があると紹介しました。その2種類の中で、特に普及が進んでいるのが仮想環境形式のサンドボックス製品です。
本稿では仮想環境形式のサンドボックス製品に焦点を当て、その課題を解説していきます。
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仮想環境形式のサンドボックス製品「3つの課題」
仮想環境形式のサンドボックス製品(以下、サンドボックス製品)が抱える主要な課題としては、大きく以下の3つが挙げられます。
- サンドボックスの仮想環境自体が持つ課題
- マルウェア実行時のネットワーク接続への課題
- 巧妙化したマルウェア対応への課題
以下、それぞれについて詳細に説明します。
課題1:サンドボックスの仮想環境自体が持つ課題
サンドボックス製品に備わる仮想環境の特徴や制限を利用し、仮想環境での実行を回避するマルウェアの存在が確認されています。マルウェアが取る代表的な4つの回避策を説明します。
回避策1:仮想環境のOS情報を悪用
仮想環境で稼働するOSは、さまざまな箇所に仮想環境特有の情報を保有しています(図1)。マルウェアの中にはそれらの情報をチェックして、自身が仮想環境に置かれたと判断した際、不正コードを実行しないものが存在します。
こうしたマルウェアは、I/Oポート、レジストリ、HDD情報、MACアドレスなどのOS情報を読み取ります。さらにレジストリからBIOS(Basic Input/Output System)の情報やWindowsのインストール時に生成される「プロダクトID(PID)」を取得して、自身が仮想環境に置かれているかどうかを特定する場合もあります。
回避策2:「アンチVMツール」の悪用
前述したOS情報に加え、仮想環境での稼働を検知するツール(アンチVMツール)を悪用して作成されたマルウェアもあります。例えば、米VMwareの仮想環境での稼働を検知する「ScoopyNG」などがその1つです。アンチVMツールの中には、無償で公開されているものも少なくありません。マルウェアの作成者は、これらを悪用した回避策をマルウェアに実装します。
回避策3:タイマー機能の悪用
よく知られているのが、仮想環境では怪しまれないようにマルウェアが長時間のスリープ状態に入り、その後に悪質なコードを実行するといった回避策です。サンドボックス製品の一部は、こうした長時間スリープを回避すべく、意図的に仮想環境の時間を進める機能を持っています。しかし、時間の変更を検知して悪質コードを実行しないマルウェアまで、既に存在しているのです。
このように、サンドボックス製品での限られた解析時間を逆手に取り、仮想環境での解析を回避する手段を実装するマルウェアは少なくありません。
回避策4:ユーザー操作の要求
仮想環境での実行・解析を回避するために、エンドユーザーにマウスでのクリック操作を要求するマルウェアも珍しくありません。一連のやりとりを再現できない仮想環境では悪質コードを実行・解析できず、マルウェアを見逃してしまう可能性があります。
最近復活してきた、Microsoft Officeのマクロ機能を悪用する「マクロウイルス」の中には、「マクロを有効化しないと内容が閲覧できない」などのメッセージを表示して、ユーザーにマウスでのクリック操作を要求するものもあります。最近のMicrosoft Officeでは、標準設定でマクロが無効化されていることを逆手に取った形です。またクリック操作を要求する際、ランサムウェア(注)のようにエンドユーザーを脅迫し、指示を出すタイプのものもあります。
※注 ファイルやシステムの操作を不能にした上で、“身代金”として金銭を要求するマルウェア。
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「サンドボックス」にまつわる疑問を解く
既知の脅威を前提としたセキュリティ対策が限界に直面する中、未知の脅威への対処をうたう「サンドボックス」への注目度が高まりつつある。その可能性を探る。
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