VDIはDRに使えない?
『ジュラシックパーク』の惨事を繰り返さないためにDaaSにできること
DaaSを災害対策に利用すれば、予備PCのプロビジョニングとメンテナンスをアウトソーシングすることで、コストとリソースを節約できる。
映画『ジュラシックパーク』では、不良社員がジョン・ハモンド氏のアミューズメントパークの電源を落とすと、コンピュータシステムが停止し、技術者は復旧させることができなかった。ハモンド氏が恐竜アドベンチャーランドを設計したときに、ディザスタリカバリ(DR)を考慮しなかったことは明らかだ。だが、DRのためにDaaS(Desktop as a Service)を採用すれば、IT管理者は同じ失敗を回避できるだろう。
従来のDR対策では、セカンダリサイトにステージング済みの一連のサーバとデスクトップを用意しておく。こうした対策が行われていれば、ジュラシックパークの惨事は免れたはずだ。だが、全ての基幹サーバとPCの複製を作成し、それらのメンテナンスとパッチ管理を行う資金がない企業もある。そこでDaaSの出番となる。DaaSはDRのために導入することが可能だ。災害・障害発生時に、クラウドでホストされた既存の仮想デスクトップをDRに使用するわけだ。
DaaSがデスクトップのDRに適している理由や、DaaSによるDRでどのようにコストが抑えられるか、DRへのDaaS利用がDaaSの全面導入につながる可能性がある理由を見ていこう。
なぜDRにDaaSを利用すべきなのか
昔ながらのDR対策では、誰も使わない遊休PCを大量に抱えることになる。これはネットワークの速度低下につながる恐れもある。また、緊急時に備えてサーバとPCを一式用意しておくと、IT部門の多くの時間と予算が費やされてしまう。
クラウドを使ってデスクトップのDR対策を行えば、IT部門は、実際には全く使わないかもしれないハードウェアの更新やそうしたデスクトップへのパッチ適用に時間と費用を無駄にせずに済む。DaaS事業者が代わりにこれらの作業を処理してくれるからだ。もちろん、ホストサーバやストレージ、ネットワークといったバックエンドインフラも管理してくれる。災害発生時にIT部門は、クラウドでホストされ、ユーザー用におぜん立てされたデスクトップを迅速にプロビジョニングできる。ユーザーはビジネスクリティカルなアプリケーションにすぐにアクセスできる。
DaaSをDRに利用すれば、基本的に、継続的なアップタイムが保証される。DaaS事業者は、高い弾力性を備えたインフラを構築しており、データセンターをさまざまな場所に分散して設置している。例えば、ある場所のデータセンターが嵐の被害にあっても、他のデータセンターは影響を受けない。
VDIはDRに使えないのか
VDIはDRに使うことはできるが、時間とリソースを割いてVDI(仮想デスクトップインフラ)をオフサイトにレプリケートしなければならない。DaaSは、ユーザーが必要とする端末やストレージ、メディアを考慮して料金が設定された従量課金制であるため、コスト効率が高い。この課金モデルでは、企業はユーザー数の変化に応じて、使用するデスクトップ数を柔軟に調整できる。
従量課金モデルは、DaaSのスケーラビリティによって実現されている。DaaSではデスクトップの追加も削除も簡単だ。DaaS事業者はバックエンドで必要に応じてリソースを追加し、キャパシティーの問題に対処している。
VDIを利用したい場合、DRの方法にはさまざまなものがある。VDI環境をDRサイトにレプリケートする、「Windows to Go」でUSBからWindowsを起動する、ストレージのレプリケーションを利用する、オフラインで仮想デスクトップを実行する、といった具合だ。分散仮想化環境を使用する方法では、管理者は、適切なデータが適切なユーザーに使われるようにする必要がある。
仮想デスクトップをクラウドにバックアップする方法は他にどのようなものがあるか
仮想デスクトップをバックアップする場合、DaaSを使うか、他のタイプのクラウドサービスを使うかにかかわらず、クラウドバックアップの仕組みを知っておいた方がよいだろう。
例えば、クラウドストレージサービスによるホストVMのバックアップは、ファイルレベルまたはイメージレベルで行える。ファイルレベルのバックアップでは、クラウドサービスはゲストOS上のエージェントを使って、個々のファイルの選択とバックアップを行う。イメージレベルのバックアップでは、VM全体が保存されるので、個々のファイルを選択せずにVM全体をリストアできる。
残念ながら、イメージ全体をバックアップするために実行する必要があるバックグラウンドスクリプトは、非常に低速で、リソースを浪費する。最初にVMイメージのスナップショットを取り、必要に応じてイメージブロックに変更を加えるのが得策だ。そうすれば、スクリプトの実行に掛かる高コストを回避し、VM全体のバックアップとリストアを非常に容易に行える。
DaaSの全面導入についてどう考えるべきか
DRにDaaSを利用することは、DaaSの全面導入の足掛かりにもなる。クラウドによるデスクトップのDRに前向きなら、DaaSの全面導入についても、少なくともメリットの評価を行うべきだ。DRのためにDaaSをセットアップする際には、DaaSの導入作業を全て行わなければならないからだ。その中にはデータレプリケーション、認証の統合、ユーザーのデスクトップからバックエンドサービスへのアクセスの確保などが含まれる。
基本的に、クラウドベースのDRを選択すれば、DaaSを導入することになる。緊急時対策以外の用途にDaaSを利用することも考えた方がよいだろう。ただし、総合的なコスト分析とさまざまな事業者の詳細調査を必ず行わなければならない。DaaSはセキュリティや信頼性の問題に注意する必要があり、サブスクリプション料金がかさむ可能性もある。
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