「アプリ甲子園2015」リポート
世界のアレルギー患者を救いたい――小学6年生が熱意で作ったスマホアプリとは?(2/2 ページ)
小中高生が日々感じる「不便さ」や「楽しさ」が原動力に
決勝大会に進んだ10作品のアプリを分類すると、主に「ゲーム」「キュレーション」「コミュニケーション」「生活や社会の課題解決・改善」といった4種類に大別できる(画面4、5)。出場した小中高生が自らの趣味の世界や生活の中で感じた、「こんなサービスがあったらいいな」「自分が好きだから欲しい」が形になっていたのが印象的だ。
出場者の多くが、プレゼンテーションの中で「多くの人に自分が開発したアプリを使ってもらいたい」と主張していたことが印象的だった。小中高生といえども、アプリを作ることに満足するだけでなく、使ってもらえることに喜びを見いだしていることが分かる。作品の中にはAppleの公式アプリストア「App Store」などで既にリリース済みのアプリもあり、自分だけの世界で終わることなく社会への発信に価値を感じている人もいた(画面6)。
アプリの評価ポイントは「企画力」と「実装力」
アプリ甲子園2015の決勝大会では、小中高生の参加者が自作アプリに関するプレゼンテーションを披露し、審査員(表)がアプリの企画力と実装力を評価。優れたアプリを決勝大会への進出作品として選定した。選定に当たっては、企画力・実装力の双方について3つの評価項目を設け、5人の審査員の合計得点が高いアプリを選出する仕組みを取った。
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 杉山知之 | デジタルハリウッド大学学長/工学博士 |
| 神尾隆昌 | マインドパレット代表取締役 |
| 中澤 仁 | 慶応義塾大学環境情報学部准教授/博士 |
| 廣井 那佳子 | テリヤキ代表取締役兼編集長 |
| 伊藤聡子 | フリーキャスター/事業創造大学院大学客員教授 |
第1部では企画力審査が行われた。出場した小中高生は、各自の開発したアプリについて4分間のプレゼンテーションを披露。機能説明や開発時の苦労、工夫点などを審査員に伝えた。審査員が企画力審査でポイントにしたのは、「独自性」「デザイン性」「消費者支持度」の3項目だ。自らのアイデアに基づいた企画かどうか、企画に沿った一貫したデザインが施されているかどうか、コンシューマーの立場でそのアプリをダウンロードしたいと思えるかどうかを評価した(写真2)。
一方の第2部では実装力審査が行われ、「操作性」「技術点」「完成度」の3項目で各アプリを審査した。
3カ月のプログラミング学習で3位入賞した強者も
決勝大会へ進んだ小中高生は、どのようにプログラミングを学んでいるのか。プログラミングスクールへ通っている人も少なくないものの、全体的に見ると学習スタイルはさまざま。オンラインで学べるプログラミング講座を受講する人、プログラミングの書籍を読んで独学で学ぶ人も少なくない。決勝大会に進出した小中高生は全国各地から選ばれていることもあり、地域よってプログラミングを学ぶ環境に差があることも、こうした多様な学習スタイルの背景にあると考えられる。
驚くのはプログラミングの学習歴だ。カスタマイズできる弾幕ゲームアプリ「DANMAKER」を開発した開成高等学校(東京都荒川区)1年の大渕雄生さんは、プログラミングを始めてたった3カ月にもかかわらず、決勝大会まで進んだ(画面)。大渕さんは、完成までにデザインを3回も変更して自分の世界観を表現することにこだわり、見事3位入賞を果たした。
決勝参加者の中には、プログラミング歴2年以上の“ベテラン”もいるものの、大渕さんのように1年足らずの経験しか持たない人も少なくなかった。個人のアイデアや独創性なども含めて評価対象になるプログラミングコンテンストの世界では、学習経験に関係なく勝負できるところが面白い。
アプリ甲子園は、次世代を担う若手クリエータの発掘と健全な育成支援、技術支援を目的に、D2Cが2011年にスタートしたイベントだ。当初は応募作品が少なかったものの、プログラミングを学ぶ小中高生の増加に伴い、同イベントへの注目度も年々高まっている。今回から協賛企業も募り、産業界がプログラミングを学ぶ小中高生を積極的に支援する動きも見られた。
こうした状況を考えると、アプリ甲子園は単なる企業主催のイベントではなく、いずれは小中高生にとって人生を左右する大きなイベントへと成長するかもしれない。プログラミングで自分の世界を大きく切り開く小中高生たちの姿を、この先もずっと見続けられることを期待したい。
執筆者紹介
神谷加代(かみや かよ)
教育ITライター。「教育×IT」をキーワードに教育機関で進むタブレット導入事例やIT活用、子ども向けプログラミング教育、EdTech関連の話題などを、Webメディア、書籍、雑誌などで執筆。著書に『iPad教育活用 7つの秘訣』(共著、ウイネット)、『こどもプログラミング読本――「未来をつくる力」を育てる』(共著、技術評論社)、『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)。
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