EdTechフロントランナー【LoiLo編:第2弾】
ロイロノートのDNAを継ぐ“生徒目線”の授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」(2/2 ページ)
競合との違い:「生徒目線」の徹底で21世紀型スキルを養う
授業支援ソフトといえば、Windowsを中心に高いシェアを誇るSkyの「SKYMENU Class」、Webブラウザだけで動作するコードタクトの「School Takt」、リアルタイムさと手書きにこだわったMetaMojiの「MetaMoJi Share for Classroom」など、多数の競合製品がひしめく。授業支援ソフトは、特定の教科に限定せずに使える汎用性の高いツールであり、教育現場でもある程度の利用経験を積んでいる教員が少なくない。結果として導入・更改の意欲が働きやすいことから、比較的競争が激しい市場になっている。
これらの授業支援ソフトに対してロイロノート・スクールが誇る最大の差別化要素は、その母体が「ロイロノート」であることそのものだ。
ロイロノートは幅広いユーザーに、自身の思考やアイデアを「誰でも」「簡単に」「直感的に」プレゼン資料として表現できるという価値をもたらした。この点に目を付けた教育機関が実践を重ねる中で、ロイロノートの機能が「21世紀型スキル」の育成に貢献することが、教育機関の間で認識されてきたのだ。21世紀型スキルは、基礎的な知識だけでなく思考力/実践力など、獲得した知識をどう活用するかに重きを置いたスキルのことであり、その育成は教育機関の間で急務になっている。
LoiLoの竜太郎取締役はロイロノートのリリース当時、ロイロノートが21世紀型スキルの育成に役立つとは「考えてもいなかった」と明かす。そもそも、ロイロノートそのものが「教育分野だけをターゲットにした製品ではなかった」(同)からだ。それでも、ロイロノートを通じて学習者自身が主体的に思考し、「カード」でそれを可視化し、整理・並び替えをして、最適な方法でプレゼン資料を作るといった「学習者中心の活動」の価値は、全国の幼稚園から大学まで広く認められるようになった。
ロイロノートが教育機関にもたらしてきたこれらの価値をそのままに、授業支援ソフトに求められる機能を実装し、教室内での“知”の共有を容易にしたものがロイロノート・スクールなのだ。
タブレットフレンドリーなUIも強み
ロイロノート譲りのユーザーインタフェース(UI)も、ロイロノート・スクールの強みだ。タブレットでの使い勝手を考慮し、タブレットに最適化したUIは、ロイロノート・スクールにも受け継がれている。「どのような授業でも使えそうで、直接触れて操作できる直感性が重要だ」と竜太郎取締役が話すように、シンプルさと使いやすさは幅広い教育機関が支持するはずだ。「教員にも学習者にも『私でもできそう』と感じてもらえることに最もこだわった」(同)
ロイロノート・スクールの開発陣が重視してきたのが“ユーザー目線”の徹底だ。想定利用者である教員や学習者の使い勝手を意識した機能を豊富に備える。例えば「かんたんログイン」は、ID/パスワードではなく、学年と組、名前を選ぶだけでログイン可能にする機能だ(画面4)。またロイロノートと比べて、画面に文字や絵を手書きするペンの種類や太さのバリエーションを増やした。標準機能ではないが、有償オプションとして提供するURLフィルタリングは、アプリ内のWebブラウザで閲覧制限を可能にする機能。デジタルアーツの「iFilter」を採用して実現した。
ユーザー目線の具現化は機能だけではない。年に2、3回のペースでロイロノートシリーズのユーザー組織を集めたイベント「ユーザー会」を関東と関西で開催し、エンドユーザーである教員に利用シーンを広く紹介する機会を用意。毎回多くの教育関係者が殺到する人気イベントとなっている(写真1)。
ロイロノート・スクールはこうした一連の取り組みが評価され、eラーニング関連の優秀な製品や活用事例を表彰する「第11回日本e-Learning大賞」で「総務大臣賞」を受賞するなど、多くの人に認められるツールになった。
今後の展開:「iPhone」「Android」にも展開
ロイロノートは2013年春、ロイロノート・スクールは2014年春に登場したソフトで、いずれもまだ登場して間もない若い製品だ。にもかかわらず、新規にIT環境を導入しようとする教育現場では「まずはロイロ」という声も聞くようになったほど、ロイロノートシリーズの認知度は急激に高まった。
ただし、ロイロノート・スクール、ロイロノート共に現時点ではWindows版とiPad版のみの提供にとどまっており、Android端末や各種スマートフォンでは利用できないという弱点がある。これについて浩二CEOは、既にAppleのスマートフォン「iPhone」版は一部でβテストを進めており、Android端末版も開発中だと明かす。「当社の社員は既に、スマートフォン版のロイロノートで情報共有をしている」(同)。この本格提供が始まれば、大学などで個人のスマートフォンを使ってロイロノート・スクールを利用する、といったことが現実になるかもしれない。
さらには、2015年11月に国内販売が始まったAppleの大型タブレット『iPad Pro』にも「早期に対応したい」(浩二CEO)と、新端末でもいち早くロイロノート・スクールを利用可能にしていく姿勢だ。
その他にも「共同編集ができると面白そう」「ロイロノートシリーズで作った成果物を学習者がアウトプットできる『ロイロ甲子園』のようなイベントもやりたい」など、同社は今後の展開についてさまざまなアイデアを練っているという。実際、2015年11月に同志社中学校(京都市左京区)で開催されたロイロノートシリーズのユーザー会では、生徒や児童を対象としたプレゼンイベント「ロイロノート・スクール SPEAK OUT」も開催。生徒児童のハイレベルなプレゼンには来場者も舌を巻いていた(写真2)。
ロイロノートシリーズに込めた思い:探求型学習の楽しさを伝えたい
「僕たちは、子どもが自ら考え、疑問がどんどん生まれるような環境を作り、探求型学習の楽しさを1人でも多くの子どもに味わってもらいたい」。浩二CEOは、ロイロノートシリーズに込めた思いをこう語る。「当社のプログラマーにも『成長にはインプットとアウトプットを繰り返すことが必要だ』と言っているが、それは学校でも同じはず。学校がこうしたことができる場に変わっていってほしいし、僕たちはその手助けをしたい。そのためにも、教員に負担が掛からないツールを作っていく」(同)
「子ども目線」に立って会社全体が動いていることこそが、LoiLoの強みなのかもしれない。
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