ハイパーコンバージドインフラが主流になるか
SSDだけではない、2020年までに劇的変化を遂げる“サーバ”未来予想図
サーバアーキテクチャは10年間の集大成として大きな変化が起こっている。サーバパフォーマンスが増強されれば、データセンターがストレージとネットワークにアプローチする方法も変わっていくだろう。
CPUの競争は行き詰まり、IT業界全体の設計に対する充足感によって、ここ数年サーバアーキテクチャは停滞状態にあった。だが、これからの5年間に状況が大きく変わることが予想される。
企業のサーバには幾つかの変化が起きつつある。この変化により、サーバのパフォーマンスは大幅に向上し、コストが下がるかもしれない。さらに、市販の装置を導入する方法を再考する良い機会にもなるだろう。
サーバテクノロジーでは、既に変化が始まっている。ソリッドステートドライブ(SSD)とフラッシュメモリアーキテクチャによって、構造面の革新に対する主な障害は克服している。アクセスの高速化により、サーバエンジンの高速化も必要になる。PCI Express(PCIe)の帯域幅には重い負担が掛かっている。また、OSの割り込みハンドラはドライブに十分な速度で対応できなくなっている。絶対的なものは何もないのが現状だ。ダイナミックRAM(DRAM)は切迫状況にある。ネットワークには、大幅なパフォーマンス向上が求められている。そして、データセンターは、あらゆる物を自動調整している。だが、2020年のデータセンターの配置は、今日とは様相が異なるだろう。
エンタープライズサーバは大きな進化を遂げようとしている。より高速なSSDを扱うということは、あることを意味する。それは、現時点ではPCIe 3.0が主流だが、PCIe 4.0が目前に迫っているということだ(前者のデータ転送レートは毎秒8GT(GT/s)だが、後者は16GT/s)。このように速度が大幅に上昇しても、データ取得時のレイテンシが原因で、永続的な非揮発性のストレージへのDRAMの揮発性ストレージインタフェースがサーバのパフォーマンスを制限している。
このDRAMに関する問題には、さまざまな解決策がある。次世代のサーバには、より高速で巨大なDRAMが必要となる。サーバアーキテクチャは変化し、CPUを搭載したモジュールにDRAMをマウントするようになるだろう。この変化により、密接な電気的結合とシリアルインタフェースが可能になる。米Hybrid Memory Cube(HMC)Consortiumが提唱するこのアプローチは、まずスマートフォンで採用されるだろう。2016年後半には、サーバにおける新しい方向性となり、特有の機能を持つものも出てくるだろう。
HMCは、DRAMのインタフェースをシリアル化している。これは、フラッシュ製品の内部構造と少し似ている。シリアルインタフェースにすることで、より多くの独立チャネルがメモリチップと対話できるようになり、帯域幅が大幅に増える。最初は毎秒384Gバイト前後になると思われるが、5年以内には毎秒1Tバイトに達するかもしれない。また、密接な結合により消費電力が抑えられるため、次世代の標準的なサーバにはより多くのメモリを搭載できるようになる。そのため、Tバイト単位のメモリが当たり前になることが予想される。
このDRAMの容量と帯域幅は、サーバアーキテクチャ内のDRAMから永続メモリへのリンクに大きな負荷を掛ける。HMCが提唱するアーキテクチャで密接に結び付けられたフラッシュは、永続ストレージに膨大な帯域幅を与える。ただし、これがフラッシュベースのシステムになるかは定かでない。米Intelなどの企業は、抵抗変化型メモリ(RRAM)や相変化メモリに取り組んでいる。これらのメモリのアクセスレイテンシはナノ秒単位であるため、フラッシュの代役を果たすかもしれない。2020年までには、これらのメモリが主流になると考えて間違いないだろう。
DRAMや超高速な永続ストレージが多くなれば、サーバチップのCPUコア搭載数は大幅に増えることは確実だ。つまり、将来のサーバは、現在のアーキテクチャで達成可能なパフォーマンスをはるかに凌ぐだろう。CPUの増加と米Dockerの「Docker」コンテナへの移行の相乗効果により、1台のサーバ当たりのインスタンス数が10倍相当に増加することも可能となる。次世代のサーバは巨大化し、CPUメーカーがサーバのコストに与える影響はさらに大きくなることが予想される。その結果、データセンターのロードマップは、より少ない台数のサーバを必要とするように変化することが見込まれる。
サーバの操作にキーボード、マウス、ビデオを使う方式に別れを告げることも予想される。これは、サーバの自動化やオーケストレーションに慣れていない一部の管理者にとって大きな変化となるだろう。
次世代のサーバから次世代のデータセンターへ
サーバのパフォーマンス増強によって、企業のデータセンターがストレージとネットワークにアプローチする方法は変わるだろう。CPUモジュールの永続RRAMは、ストレージのトラフィックパターンを大きく変化させる。ローカルSSDに対する高パフォーマンスのプレッシャーは少なくなり、RRAMはサーバクラスタが共有できるリソースとなるだろう。
今こそ、データセンターのロードマップで、より高速でレイテンシの低いネットワークをRRAMのような活発なリソースを取り入れるときだ。1年以内には10Gバイトイーサネット(GbE)は25GbEに取って代わられるだろう。また、2017年までには40GbEが主流となり、価格が下がるにつれて100GbEが40GbEに取って代わるだろう。ソフトウェア定義ネットワークは、スイッチのアーキテクチャを変化させ、レイテンシを減らし、ネットワークプロセスを自動化するであろう。それから、RDMA over Converged Ethernet(RoCE)も、2020年までにはInfiniBandに取って代わる可能性が高い。
マーケティング担当者の言葉を信じるなら、ハイパーコンバージドインフラはサーバアーキテクチャの主流になるだろう。このインフラは、同じ筐体にストレージとコンピューティングを同梱し、ネットワークデータサービスを処理する。この構造はRRAMと高速なSSDの両方で、データを共有するのに向いている。多くの場合、比較的低速なSSDやHDDを搭載した大容量ストレージは存続するだろう。このような種類のアプライアンスでも、ハイパーコンバージドサーバと似ている。イーサネットストレージを優先するデータセンターでは、ファイバーチャネルは廃止される可能性が高いだろう。廃止の目的は、サーバの接続プロファイルを単純化して縮小するためだ。
高速なRRAMストレージがあれば、ディスクスロットやPCIeカードのスペースを持たないようなサーバが誕生するだろう。例えば、バックプレーンに接続して密度を大幅に高めているHMCモジュールサイズのカードであるかもしれない。このようなものが可能になれば、数Tバイトのストレージオンボードを搭載したストレージ重視のHMCモジュールを実現することができる。光スイッチの使用などによって、相互接続されたコンポーネントのパフォーマンスは非常に高くなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
3
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
4
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
5
VMware離れの現実解 2500台のVM移行に挑む製造大手の全記録
-
6
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
生成AIのルール整備が進む一方で活用は遅れがち? 日本企業のAI利用状況
-
9
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
10
会計ソフトウェア6製品を比較 自社に合う製品は
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー