2020年までに9割以上のIT要員を削減する企業も
現実味が増すIT担当者の“クラウド失業”、企業はもうサーバを持たない
クラウドコンピューティングが普及するにつれて、企業が保有するデータセンターが減少している。それによりIT担当者の人員削減が続いている。
クラウドコンピューティングは、今後も大きく8つの分野でこれまでのデータセンターに変化をもたらすだろう。実際、企業においてIT部門の人員削減につながっている。
米調査会社451 Researchのデータセンター技術担当調査副社長であるアンディ・ローレンス氏は、データセンターの変化が予想される分野として、接続性、耐障害性、信頼性、オーバープロビジョニング、投機的構築、経営管理、制御&自動化、データセンター境界線の拡張を挙げる。同氏は米カリフォルニア州で開催のシンポジウム「Uptime Institute Symposium」のセッションで、従来のエンタープライズデータセンターおよびコロケーション型データセンターの変化をテーマに講演した。
「クラウドでは、設備要員やIT要員を孤立(サイロ化)させるニーズよりも、業務のニーズに重点が置かれる」と同氏は言う。
データセンターに関する意思決定が設備やITを担当する専門家から社内の実務サイドにシフトしていることも、クラウドへの移行を加速させていると同氏は述べ、「今後さらに、設備担当やIT要員よりも業務上の要求に動かされるようになるだろう」と予測した。
IT専門家の多くはクラウドコンピューティングに対して「やや守りの姿勢」を取っている。その根拠は十分あると見るCTO(最高技術責任者)もいる。ローレンス氏はある大手金融機関のCTOから聞いた話として、その会社が2020年までにIT要員の95%削減を見込んでいるとし、他の企業のIT担当幹部も同じような話をしているという。
ローレンス氏は、「Friends don't let friends build data centers(友達にはデータセンターの構築をさせない)」という文字をあしらった米Amazon Web Services(AWS)のTシャツを引き合いに出した。
AWSのサービスには開発ツール、モバイル端末管理、電子メールなども加えられている。
「これは企業のデータセンター運用担当者に対する真っ向からの挑戦であり、深刻な脅威だ」とローレンス氏。
従来のような企業のIT部門が縮小する一方で、AWSなどの事業者は成長に伴って採用を増やしており、クラウド関連のIT職も生まれている。そうしたクラウドIT職に求められるスキルは従来とは異なる。
今後に目を向けると、モノのインターネット(IoT)のような新興技術もITに影響を及ぼす。
「IoTはまだまだ初期の段階だ」とローレンス氏は言う。無線で接続されるデバイスは2020年までに500億台に達する見通しで、「膨大な量のデータの行き先が必要になる」。つまりITは今後も成長を続け、「上げ潮になれば、全ての船が波に乗る」と同氏は予想した。
一方、451 Researchの推計によれば、世界にはまだ従来型のサーバクローゼット(※)が400万余り存在する。
※サーバクローゼット:オフィス空間から独立したサーバ用の小さなスペース、あるいは小規模なサーバルーム
「その400万の多くが、クラウドまたはプレミアムデータセンターへ向かうと推定される」(ローレンス氏)
その400万のサーバクローゼットの幾つかが、カリフォルニア北部に3つのキャンパスを持つパシフィック大学にある。同大のサイバーインフラ担当エグゼクティブディレクターであるロバート・ヘンダーソン氏は、同大のデータセンター3カ所の役割を将来的に縮小することを含め、クラウドコンピューティングがもたらす変化を目の当たりにしていると話す。
「クラウドへの接続は今まで以上に重要になっている。インターネット接続よりも重要だ」(ヘンダーソン氏)
ただ大学のデータセンターの役割は縮小しているものの、主に人事や経営サイドのユーザーからのIT部門への要求は増加が見込まれるという。
「今後もエッジ(境界)に近く、ユーザーに近いアプリケーションはまだ必要だ」とヘンダーソン氏。
データセンターにおけるもう1つの変化として、今後はエッジに建設されるデータセンターが増え、いわゆる現場組立式が全てではなくなるだろう。データセンターは台車に載せて持ち込まれ、「電源を入れるだけで動き始める」ものになるかもしれない。
「このことがまだ理解されていないようだ」とヘンダーソン氏は話している。
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