コンテンツを楽しむことを追求したタブレット
徹底レビュー:「Amazon Fire HD 10」は低スペックが気にならない究極の“息抜き”端末?(2/3 ページ)
パフォーマンス
Amazon Fire HD 10は台湾MediaTek製のクアッドコアSoC(1.5GHz×2+1.2GHz×2)を搭載する。RAMは1GBとなっている。プロセッサは他のミッドレンジタブレットと同等だが、RAMの搭載量は格安タブレット並みだ。
使ってみると、Fire HD 10の動作は、「のろい」と言われる一歩手前のレベルだ。スワイプによるページの切り替えはぎくしゃくが目立つ。アプリケーションを開いたり、閉じたりするのにも少し時間がかかり過ぎる。このことはAmazonのアプリの多くに当てはまる。その中にはWebブラウザの「Silk」や電子メールクライアントなどが含まれる。この2つはいずれも完全に機能するが、動作がもたつくのでユーザーにストレスを感じさせてしまう。
一方、快適に使えるアプリもあり、例えばゲームがそうだ。システムに掛かる負荷が大きそうな米TellTale Gamesの「Game of Thrones」のようなタイトルもスムーズに動く。「Netflix」やAmazonビデオなど、われわれが試したストリーミングアプリ全ても同様だ。全体的にパフォーマンスにはばらつきがあるが、Fire HD 10にとって重要な分野では良好なパフォーマンスが得られる。
ベンチマーク結果は、Fire HD 10の実際の使用感と一致している。カナダPrimate Labsの「GeekBench 3」を使ったマルチコアテストで、Fire HD 10は1478というスコアを記録した。Appleの「iPad Air 2」やSamsungのGalaxy Tab S 9.7のような現在のフラッグシップモデルのスコアは4400程度だが、ミッドレンジタブレットの中でも下位モデルのスコアはFire HD 10に近い。中国Lenovoの「TAB 2 A8-50」は1720、Samsungの「Galaxy Tab A 9.7」は1450となっている。
Fire HD 10は、ストレージ容量が16GB、32GBのモデルが用意されている。プリロードされたアプリやコンテンツがこれらの容量のうち約5GBを占めている。プリロードされたAmazonアプリは便利なので、重くて煩わしいブロートウェアはない。
Fire HD 10は、5GHz帯を含む802.11ac Wi-FiとBluetooth 4.0に対応している。メディアを楽しむタブレットとしては当然だ。
バッテリー
バッテリー持続時間の公称値は、通常使用時で最大8時間。ディスプレイの輝度を最大にしてWi-Fiで「Netflix」をストリーミング再生したところ、Fire HD 10のバッテリーは4時間10分持った。このタブレットを最も酷使した場合の最小のバッテリー持続時間はこのくらいだろう。このサイズのタブレットとしては平均的な数字だ。一般的に、小さなタブレットの方がバッテリー持続時間が長くなる。ディスプレイが小さいと消費電力が少なくなるからだ。50ドルのFireは、同じテストでのバッテリー持続時間が5時間30分だった。Fireは7型ディスプレイを搭載している。
Fire OS
Fire HD 10はAmazonのFire OSを搭載している。このOSはAndroidのオープンソース版をベースに開発された。Fire OSは通常のAndroidとは見た目が違うが、その主要なナビゲーション機能の一部を踏襲している。例えば、画面最下部の3つのアイコンはそれぞれ、「前の画面に戻る」「ホーム画面に移動」「最近使ったアプリを表示」という機能を提供する(Fire OSでは、これらのアイコンの表示領域を「ナビゲーションバー」と呼ぶ)。また、画面最上部から下にスワイプすると、通知を表示したり、Wi-Fiや設定、アラート、その他のよく使う機能に素早くアクセスしたりできる。
これらの機能を除けば、Fire OSはAmazonのコンテンツを中心に作られている。ホーム画面には、通常のAndroidのホーム画面とほぼ同様の構成要素である最上部の検索バー、インストール済みアプリの一覧、ナビゲーションバーに加えて、「カテゴリーバー」が検索バーの下に表示される。カテゴリーバーは左右にスワイプでき、目的のカテゴリー名をタップすると、そのカテゴリーのコンテンツのページが開く。画面を左右にスワイプして、カテゴリーを移動することもできる。
各カテゴリーのコンテンツページには、ユーザーが最近アクセスしたコンテンツやAmazonのお薦めのコンテンツが表示される。ユーザーのライブラリやAmazonストアへのショートカットも用意されている。カテゴリーの内訳は、「本」「ビデオ」「ゲーム」「お買い物」(Amazonストア)「アプリ」「ミュージック」「オーディオブック」「ニューススタンド」だ。
Amazonはあらゆる機会を捉えて自社の扱う商品の販促を展開している。ロック画面にも、同社が「キャンペーン情報」と呼ぶ広告が表示される。だが、これは非表示にすることもできる。そのためには「設定」をタップし、「アプリケーション」「キャンペーン情報」の順にタップし、「ロック画面のキャンペーン情報」のスイッチをオフにする。
ありがたいことに、Amazonは豊富なペアレンタルコントロール機能を提供し、子どもが商品・サービスの購入や、トラブルに巻き込まれる恐れのあるWeb閲覧などの操作を行うことを親が制限できるようにしている。また、Fire HD 10でサポートされているユーザープロファイルを利用すれば、「Amazon FreeTime」サービスを通じてきめ細かなコントロールが可能だ。
AmazonはGoogleが承認したバージョンのAndroidを採用していないため、Fire HD 10では「Google Play Store」を使ってアプリをインストールできない。そのために「Gmail」や「Chrome」といった人気のGoogleアプリを利用できない。代わりに、ユーザーはAmazonのアプリストアからアプリを入手することになる。AmazonのアプリストアはGoogle play StoreやAppleの「App Store」に盛況さでは遠く及ばないが、品ぞろえが充実しており、Officeクローンや「Facebook」「Twitter」、Netflix、「Spotify」など、ユーザーが必要としそうなものはほぼ網羅している。Google Play StoreにはないAmazonのアプリストアの強みが、大量の有料アプリをまとめて無料で提供する「Amazon Underground」だ。このプログラムでは「Star Wars: Knights of the Old Republic」や「Goat Simulator」、Sonicシリーズのさまざまなタイトルといった有料ゲームが無料で提供されている。
Fire HD 10は「Fire OS 5 “Bellini”」を搭載して発売され、Amazonは最近、同タブレットをFire OS 5.1.1にアップデートした。Belliniは「Android 5.0(Lollipop)」をベースにしている。Android 5.0(Lollipop)は最新の「Android 6.0(Marshmallow)」の1つ前のバージョンだ。Belliniには「Blue Shade」という興味深い新機能が搭載されている。ディスプレイのブルーライトを抑制し、色調をレッド系からイエロー系の間で調整できるというものだ。この機能により、Fire HD 10では快適な夜の読書を楽しめるとされる。ディスプレイのブルーライトを浴びると、眠気を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制される恐れがあるからだ。
Blue Shadeが意図された効果を発揮するかどうかは何ともいえない(正直に言うと、従来型の電子書籍リーダ「Kindle」を入手して、タブレットのディスプレイが眠りを妨げるかどうかまで調べる余裕はなかった)。だが、Blue Shadeにより、暗い部屋で使うときにディスプレイが目に優しくなるということはいえる。
BelliniはBlue Shade以外にも、Amazon FreeTimeに対応した新しい子ども向けブラウザや、外部アプリによるタブレットのアクティビティを追跡するためのアクティビティセンターといった新機能を提供する。どちらも優れた機能であり、これらのおかげでFire HD 10は、子ども専用以外のタブレットの中では子どもに最適なものになっているようだ。
Fire HD 10は、Amazon自慢の顧客サポート機能である「Mayday」をサポートしていないが、ユーザーはスクリーンシェア、電子メール、チャット、電話で顧客サポートを受けられる。Amazonは顧客サポートを得意中の得意としており、Maydayが利用できなくても、Fire HD 10は非常に顧客フレンドリーな端末だ。
プライム会員の特典
Amazonタブレットは、Amazonプライム会員がより有効に活用できるようになっている。年会費99ドル(日本国内では税込3900円)のプライム会員になると、配送関連やコンテンツサービスなど以下のような特典が利用できる。
- 日本国内の主な特典
- プライムビデオ:Netflixのようなストリーミングサービスで豊富な映画やテレビ番組が見放題。ダウンロードも可能(一部対象外あり)
- Prime Music:100万曲以上の楽曲やアルバム、プレイリストを広告の表示なしで楽しめる
- Fireで撮影した写真を無料で容量無制限にクラウドに保存できる(国内ではFireタブレットの全購入者の特典、米国ではプライム会員の特典)
- 「お急ぎ便」と「お届け日時指定便」が無料、特別取扱商品の取扱手数料が無料、タイムセールの商品を通常より30分早く注文可能
- 対象のKindle本の中から好きなものを1カ月に1冊、無料で読める
- 米国の主な特典(上記以外)
- Washington Postを6カ月間、無料で試読でき、割引価格で購読できる
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