Hitachi Data Systemsの著名CTOが解説
「管理者はすぐにいなくなる」、著名CTOが語るストレージの未来(1/2 ページ)
技術の役割が変わりつつある中、ストレージ分野で競争していくにはどのようにビジネスを変革しなければならないか。業界大手ベンダーの最高技術責任者(CTO)が、業界およびユーザー動向を押さえながら展望を語る。
Hitachi Data Systems(HDS)のCTOを務めるヒュー・ヨシダ(ヒューバート・ヨシダ)氏は、ビジネスの構造転換の中で低迷しているデータストレージインフラ市場でHDSが競争していくためには、「ビジネスを変革する」必要があると語る。
「インフラビジネスがうまくいっていないなら、他のインフラ会社と合併して規模の拡大に打って出ても、実際の問題解決にはならない」。ヨシダ氏に最近、HDSのストレージとストレージ業界全体について話を聞いた。
――構造転換で厳しい環境が続くストレージ分野で競争していくためにどのような戦略を取っていますか?
ヨシダ氏 インフラ市場では成長は望めないでしょう。われわれはインフラで競争しようとする代わりに、アプリケーションイネーブルメント(アプリケーションの実装・活用支援)で競争しなければなりません。われわれのフラッシュストレージの最大の購入者は、ある大手オンライン企業です。われわれはこの企業にわれわれの「HCP(Hitachi Content Platform)」コンテンツクラウドに移行してもらい、この企業のインフラ支出を80%減少させることに成功しました。このように、われわれはアプリケーションイネーブルメントやアナリティクスイネーブルメントを進めていきます。それが、ビッグデータアナリティクスソフトウェア開発企業のPentahoを買収した理由です。われわれはインフラでは競争しないのです。インフラは、われわれが将来を託す市場ではありません。
ただし、今でもインフラは重要です。適切なインフラ(われわれのフラッシュモジュールのような)は、他のスタックの機能を効果的に支えるからです。しかしインフラは、IT部門の最大の関心事にはならないでしょう。実際、われわれのコンテンツクラウドでは、下位層としてAmazonのインフラを使用することもできます。オープンインタフェースAPIでAmazonのS3(Simple Storage Service)とコンテンツクラウドを接続できるからです。
これがわれわれの戦略です。DellとEMCのように、より大きなインフラ会社を目指すのではなく、Hewlett Packard Enterpriseのようにインフラ以外のビジネスを切り離すわけでもありません。私たちはビジネスを変革しなければなりません。
――パブリッククラウドのストレージ市場全体に対する影響についてどう考えていますか?
ヨシダ氏 Amazon Web Services(AWS)は、ストレージをインフラベンダーから購入しません。彼らの調達先はODM(Original Design Manufacturer:相手先ブランドによる設計、製造の受託を行う企業)です。ODM企業にディスクを作ってもらっているわけです。アナリストの推計では、AWSのインフラに顧客から支払われる料金1ドルごとに、インフラ支出が3~4ドル減少するそうです。膨大な規模の需要がインフラ市場から奪われているということです。AWSの2016年の売上高見通しは81億ドルだと思います。1ドルにつき3ドルで換算すると、インフラ支出が240億ドル消し飛ぶことになります。IBMやEMC、NetApp、そしてHDSは、対応可能なこれだけの規模の需要を失うわけです。これらの需要がインフラ市場からクラウド市場に流れているからです。
――ストレージ環境の変化にベンダーが対応するには、どのような方法が適切で、どのような方法が間違っていると思いますか?
ヨシダ氏 ストレージを扱っているだけではもう通用しません。スタックのより上位の層を手掛ける必要があります。われわれは現在、さまざまなタイプの人材を採用中です。分析、アプリケーション開発、コンテナ、「Docker」といった分野に注目しています。特に重点を置いているのが、ビジネスのアプリケーションイネーブルメントの側面です。確かに、われわれは現在もストレージ事業を展開しており、ストレージに携わるエンジニアを抱えています。彼らは次世代のフラッシュドライブや、ストレージコントローラーの強化機能を開発しています。ソフトウェア定義(Software-Defined)や自動化にも力を入れています。われわれが提供しなければならないのは、コンバージドソリューションです。単体のストレージ機器を販売してそれで終わり、というものではありません。ストレージ機器はソリューションの一部でなければならないのです。
――ソフトウェア定義ストレージ(SDS:Software-Defined Storage)についてどう思いますか?
ヨシダ氏 ソフトウェア定義ストレージはインフラやストレージシステム、アプリケーションの間の通信に関するものだと思います。ただし、基盤となっているハードウェア以上のものにはなりません。例えば、VMwareの「VVOL」(Virtual Volumes)は、ストレージがユニークな機能を公開することを可能にします。ストレージが仮想化によるアクティブ/アクティブ構成に対応している場合、その機能をVASAインタフェースを通じて公開し、「vSphere」がその機能を認識し、ユニークな機能を利用して仮想ボリュームを定義することができます。また、ストレージの観点からみると、VVOLによってストレージは、RAIDグループをサーバに公開し、その分割と配分を委ねるのではなく、実際に仮想マシンを認識し、仮想マシン向けにリソースを提供できます。
――ソフトウェア定義型ソリューションの普及とともに、ストレージはコモディティになると思いますか?
ヨシダ氏 いいえ。ストレージはコモディティ化しないと思います。ソフトウェア定義化により、ストレージは、上位層の技術がストレージの機能を極めて簡単に使用できるように、ユニークな機能を公開でき、そうすることで差別化できます。例えば、われわれのフラッシュドライブは内蔵のインテリジェンスのおかげで、高い耐久性やセキュリティを備え、データの抹消も可能です。しかも標準インタフェースで接続できます。
――コモディティサーバベースのストレージの出番はありますか?
ヨシダ氏 確かにあります。スケールアウト型のハイパーコンバージドストレージコンピュートノードです。そこではストレージとコンピュートを利用でき、ソフトウェアがグローバルファイルシステムを扱います。RAIDは不要で、障害時には代替ノードが処理を引き継ぎます。ただし、出番があるとはいっても、もっぱら「MapReduce」やスケールアウト型アプリケーションで使われることになります。こうしたスケールアウト型コモディティストレージコンピュートノードの格好の出番となるのが、データレイクです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー