クラウド会計サービスが電子帳簿保存法に対応
経理部の紙のやりとりがなくなる? 中小企業向けスキャナー保存制度のはじめかた(2/2 ページ)
クラウド会計サービスベンダーがスキャナー保存制度に続々と対応
ここでは、中堅・中小企業向けのクラウド会計サービスの代表格である「MFクラウド会計」「freee」「弥生会計オンライン」を挙げ、スキャナー保存制度をはじめとする電子帳簿保存法に関連した機能を紹介する。
MFクラウド会計(マネーフォワード)
MFクラウド会計は、スキャンした領収書や請求書などの電子データをファイルストレージサービス「MFクラウドストレージ(現在はβ版)」に保管可能だ。領収書や請求書のデータはそれぞれの仕訳に添付することができ、帳簿書類間の関連性を簡便に管理できる。
MFクラウドストレージは、MFクラウド会計のライトプランで最大100MB(1ファイル当たり5MB)までのファイルを管理できる。同社の「MFクラウド確定申告」からも利用可能だ。決算書や試算表など、MFクラウド会計/確定申告から出力するCSV、帳票はMFクラウドストレージに自動で保存される。クライアントPC内にあるファイルをMFクラウドストレージにアップロードすることも可能だ。
ただし、タイムスタンプ機能は現時点では実装されていない。そのためスキャンデータ保存は技術的にはできるものの、スキャナー保存制度の要件を満たしていないため原本の破棄はできない。スキャナー保存制度に基づいて利用するにはタイムスタンプ機能の実装が待たれる(アップデート時期は未定)。将来的には、「MFクラウド経費アプリ」(現在開発中)でスマートフォン撮影による証憑類の電子化機能を実装し、撮影した領収書を電子データとしてアプリ内に保管することもできるようにする見込みだ。
法人料金はライトプラン月額1980円(税別、以下同じ)。ベーシックプランは月額2980円で、ライトプランの基本機能に加えて、電子証明書連係ソフトの利用、MFクラウドストレージの容量増加(10GB)、総合振込の明細単位での取得(2016年1月19日時点で三菱東京UFJ銀行のみ対応)、件数無制限の仕訳入力や部門登録、といった機能が利用できる。45日間、基本料金無料のお試し期間がある。
freee(freee)
freeeは、エンドユーザーがスキャナーで取り込んだ画像を画面で確認する際に、電子帳簿保存の対象としてチェックボックスで指定すると、システムがタイムスタンプを自動的に付与する機能を備える。また、スキャンした領収書や請求書などの電子データを保管する「ファイルボックス」機能がある。保管可能なファイル形式は各種画像ファイル(JPEG、GIF、PNGなど)、PDF、「Microsoft Excel」形式、CSV。スキャン画像だけでなく、CSVやPDFデータで提供された請求書などの取り込みも可能だ。
ファイルボックスに画像を保管すると、画像内の日付や金額を自動認識し、仕訳データとして取り込むことができる。電話番号も自動認識し、それを基に推測した店舗情報を取引先として自動登録する。またファイルに記入したメモから勘定科目や品目を自動で推測して入力することもできる。データの保存期間、保存件数は有料プランなら無制限だ。freeeのスマートフォンアプリを使ってレシートを撮影し、経費精算を申請することもできる(証憑類のスマートフォンによる電子化は、電子帳簿保存法ではまだ許可されていないので、現時点ではこの機能はあくまでOCRによる入力補助として使うことになる)。
法人料金は月額1834円。ただし、電子帳簿保存機能の利用を希望する際は、2016年6月からプレミアムプランへ登録する必要がある。プレミアムプランは現在準備中で、法人料金は月額3980円の予定(最終金額は現時点で未定)。
弥生会計オンライン(弥生)
弥生会計オンラインやデスクトップ型ソフトウェアの「弥生会計」などで利用可能なデータ取り込みサービス「YAYOI SMART CONNECT」に、領収書や請求書のスキャンデータ取り込み機能を加える形で機能を拡充した。YAYOI SMART CONNECTは同社製品に加え、家計簿サービス「Zaim」やミニブログ「Twitter」などの外部アプリケーションのデータを仕訳データに自動変換する。銀行やクレジットカードなどの取引データの変換も可能だ。
電子帳簿保存法に関する機能としては、タイムスタンプ付与機能や検索、承認機能などを備える。スキャンした領収書、請求書の画像から日付や金額を自動認識して仕訳データに自動変換する。電話番号も自動認識して、それを基に店舗情報を自動登録する機能もある。弥生会計オンラインの場合、タイムスタンプ機能に掛かる料金は基本料金に含んでおり、追加費用は特に発生しない。
弥生会計オンラインの料金は、サポートサービスなしの「セルフプラン」は年額2万6000円。各種サポートサービス付きの「ベーシックプラン」は年額3万円。初年度は最大2カ月の無料体験が付いて、最大14カ月利用できる。
なお、弥生会計でYAYOI SMART CONNECTの機能を利用する場合には「あんしん保守サポート」に加入する必要がある。あんしん保守サポートの料金は対象製品とサービス内容ごとに異なり、「弥生会計スタンダード」のセルフプランの場合、年額2万6000円だ。
「ScanSnap Cloud」は中堅・中小企業ペーパーレス化の推進剤となるか
スキャナーにも、規制緩和に応じた機能強化の動きがある。PFUは2015年11月25日に、「ScanSnap iXシリーズ」がクラウドサービスに直接つながる新サービス「ScanSnap Cloud」の無償提供を開始した。このサービスを利用すると、クライアントPCやスマートデバイスを介さずに、ScanSnap iXシリーズで取り込んだスキャンデータをクラウドサービスに直接保存できるようになる。スキャンデータはシステム側が「レシート」「名刺」「文書」「写真」の4つの種別に自動的に判別する。現時点でScanSnap Cloudに連係する会計・個人資産管理のクラウドサービスは次の5つだ。
- 会計
- freee
- MFクラウド会計、MFクラウド確定申告
- 弥生会計シリーズ ※2016年春に連係
- 経費精算
- 「STREAMED」(クラビス)
- 家計簿
- 「Dr.Wallet」(BearTail)
STREAMEDは、取り込んだ領収書をオペレーターが手入力でデータ化し、データ入力の精度を高めたクラウドサービスだ。Windows用ソフトウェアの「STREAMEDアップローダー」やiOS/Android用アプリケーションからスキャンデータを取り込むことができる。STREAMEDのデータは、中堅・中小企業向けクラウドERPサービス「ツバイソ」やクラウド経費精算サービス「Concur Travel & Expense」でも読み込める。
ScanSnapシリーズには「e-文書モード」という、e-文書法の要件を満たした読み取り設定がプリセットされている(初期状態ではカラー200dpiのPDFでの読み取りに設定)。もちろん、既存のスキャナーでもe-文書法に定められた画質の条件を満たすスキャンデータを作成できれば運用には問題ない。国税関係書類の電子保管を手軽に始める方法としては、電子帳簿保存法に対応したクラウド会計サービスと、ScanSnapのようなドキュメントスキャナーの組み合わせは有効な選択肢となるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー