IBMクラウドで実行可能に
Appleの開発言語「Swift」をクラウドでも使う理由、IBMとの共同拡大で普及加速か
Appleの開発言語「Swift」の人気が上昇している。IBMのクラウドプラットフォーム上でもSwiftを使ったiOSアプリの開発と導入が可能になった。
Appleのプログラミング言語「Swift」とIBMのクラウドサービス「Bluemix」の新たな組み合わせにより、企業向けiOSアプリがさらに開発しやすくなる。
IBMとAppleは、エンタープライズアプリの開発とクラウドへの導入に向け提携を拡大した。IBMのPaaS(Platform as a Service)で利用可能にするクラウドアプリケーション開発用のプログラミング言語として、これまでの「Java」「Ruby」「Python」などに加えてAppleの「Swift」を追加する。このニュースはこのほど米ラスベガスで開かれたカンファレンス「IBM InterConnect 2016」で発表された。Swiftを使ったクラウドアプリ開発を可能にするクラウドベンダーはIBMが初めて。
利益をもたらし得るSwift
IBMはまた、Swiftコードの共有や発見のための開発者向けリソース「IBM Swift Package Catalog」のプレビュー版も公開した。
Swiftは2014年にデビューした。クラウドでのSwift利用を可能にしたIBMの決断は、これを使う開発者をさらに増やす大きな効果があるとみられる。米金融サービス大手PNC Financial Services Groupの技術マネジャー、ニーラジ・メデカー氏は「これで私はSwiftについてもっと知りたいと思うようになった。企業で使えるかどうかまず試してみたい。私はSwiftの使いやすさが気に入っている。非常に有望なのは間違いない」と語る。
IBMとAppleによると、既に1100万人の開発者がSwiftを使ってiOS向けアプリケーションを構築しており、Swiftは現在最も急速に普及しているプログラミング言語だという。
IBMとの提携は、Swiftを使ったアプリケーション開発の市場拡大に向けたAppleの新たな手段でもある。Swiftをクラウドに拡張すれば、開発者は単一のプログラミング言語でサーバサイドとネイティブアプリの両方を構築できる。Appleは2015年12月に同言語のオープンソース化に踏み切った。その後間もなくIBMは「IBM Swift Sandbox」というWebサイトを公開し、開発者がLinuxでSwiftによるサーバアプリケーションを開発してWebブラウザ経由で実行できるようにした。
「SwiftはAppleにとって真に利益をもたらし得る。開発者はアプリケーション開発の簡易化や迅速化を求めている。Swiftはそれを実現させてくれる」。個人向け金融サービスHome Credit Groupの米国オフィスでITセキュリティマネジャーを務めるトム・プルエット氏はそう話す。
ただしiOS以外のOSに関しては、Swiftによる開発はそれほど効率的ではないかもしれない。米モバイルコンサルティング会社Sepharim Groupのボブ・イーガン最高経営責任者(CEO)兼チーフアナリストは「SwiftはやはりiOSに重点を置いているので、市場は限定される。単一のOSでしか使えない手段に興味を持つ最高情報責任者(CIO)は減り続けている」と指摘する。
Apple Swift開発を使う理由
Swiftの使いやすさは、他のプログラミング言語と比べて個々のコマンドに必要なコードの行数が少なく、コーディングエラーの可能性が抑えられる点にある。
カナダの鉱山会社PotashCorpのITサポートアナリスト、ケネス・ヘシュカ氏は、「これでわれわれのコードベースは真に高速化するだろう」と語る。
同社の開発チームでは、社内で開発するアプリケーション用に他の言語と一緒にSwiftを採用している。
「当社の開発者はSwiftが非常に気に入っている。コーディングを減らせるので、今後さらに使用が増えるだろう」とヘシュカ氏は言う。
AppleとIBMは2014年に初めて提携した。この時点でIBMはApple製デバイスの企業向けディストリビューターとなり、カスタム版のiOSアプリ100本を開発することで合意した。IBMがIBM InterConnect 2016で発表した開発ツールは現在プレビュー段階にあり、この合弁事業の次の展開となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
次世代RPA「ハイパーオートメーション」が急成長か Gartnerが予測
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
昭和大学病院がeICUを導入、ICUの患者情報を遠隔地で一括管理
-
10
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー