MacやiOSだけでなくWindows、Linuxのアプリ開発も可能
Appleの開発言語「Swift」の人気が急上昇している理由
2015年12月にオープンソース化し、人気も上昇中のAppleの開発言語「Swift」。Objective-Cと比較しながら、その理由について探る。
開発者の間でAppleの新しい開発言語「Swift」の人気が上昇している。その理由は主に使いやすさにある。
Appleは1980年代以来、「Objective-C」が同社の開発言語の中心だった。2014年6月にObjective-Cに代わる言語としてSwiftを公開した。Swiftは、AppleのOS「iOS」「OS X」「tvOS」「Watch OS」用のアプリケーション開発に利用できる。
Swiftの最大のメリットは、アプリケーション開発が簡略化できる点にある。特定のコマンドコードに必要な文字数は少なくて済む。さらに、Appleのアプリケーション構築スイート「XCode」の対話型コーディング環境「Swift Playgrounds」機能を使って、開発者はリアルタイムでアプリケーションをプレビューすることもできる。また、ありがちなコーディングミスを避けるため、コードを分析してミスを見つけ出す評価コマンドをSwiftプログラマーが入力することもできる。この機能はObjective-Cにはなかった。
Swiftの言語は、初級プログラマーに合わせたプログラミング言語の「Python」や「Ruby」に似ている。従って、そうしたプラットフォームを学習してきた開発者ならSwiftは簡単に使いこなせる。Swift、Python、RubyのコマンドラインはObjective-Cに比べて短く、複雑ではない。
「Swiftは特定の異なった要素を学習したり記憶したりする必要がなく、それほど多くの練習を必要としない」。調査会社Moor Insights and Strategyの社長兼主席アナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏はそう指摘する。
開発者がプログラミング言語を使う頻度を計測しているTIOBE Softwareのプログラミングコミュニティー指数によれば、Swiftはこの1年のうちに、開発者の間で人気が急上昇した。2015年1月のプログラミング言語の人気ランキングでSwiftは25位だったが、2016年1月で14位に浮上した。Swiftがランキングを上げる一方で、Objective-Cが3位から28位に順位を下げたのは偶然ではない。
Appleはまた、Objective-Cの開発者がSwiftへ移行しやすいように支援している。開発者はSwiftのコードを既存のコードに取り込むことができるため、アプリケーションを最初から開発し直す必要がない。もう1つの利点として、SwiftアプリケーションはObjective-Cで開発されたアプリケーションよりも高速で動作する。
開発者はSwiftを使って「Slack」や「Lyft」「Clear」「Yahoo Weather」「LinkedIn」といった人気サードパーティーアプリケーション多数を開発してきた。Apple自身も今後さらに多くのSwiftベースアプリケーションを開発するのは確実だ。特に「Apple Watch」はアプリケーションの動作高速化の恩恵を受ける。ただしムーアヘッド氏によれば、Swiftにとっての目標は、Appleのエコシステムを越えてリーチを拡大することにある。
Appleは2015年12月にSwiftのオープンソース化に踏み切った。これでプログラマーは「Linux」や「Windows」、あるいは「Android」アプリケーションの開発にも同言語を使えるようになり、市場は大幅に広がる。また2016年2月にAppleはSwiftの統合を進め、開発者がSwift言語の変更内容を提出できるようにした。そして、Appleによるテストと承認を経た上で、コア言語を改良できるようになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
7
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
8
AIの導入効果はどう測る? DMM.comのエンジニア組織に学ぶ効果検証のノウハウ
-
9
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
10
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー