買収を喜ぶ声は多いが
WindowsとiPhone、Androidのアプリを一度に開発、MicrosoftがXamarinを買収した“深い意味”
Windowsはアプリケーション開発のエコシステムで他のOSに大きく後れを取っている。だが、アプリケーション開発ツール「Xamarin」が活性化の起爆剤となるかもしれない。
Microsoftによるアプリケーション開発ツール「Xamarin」の買収は、企業の開発者にWindowsアプリケーションを開発する新しい動機を与えることになる。
Microsoftは同社の開発ツールキット「Visual Studio」にXamarinを統合するものとみられている。マルチプラットフォーム開発ツールであるXamarinの統合で、サードパーティーによるWindowsアプリ開発の増加が期待できる。Appleの「iOS」、Googleの「Android」アプリと比べ、Windowsアプリの開発はずっと少なかった。そう話すのは、Directions on Microsoftのリサーチアナリスト、ウェス・ミラー氏だ。
「これまでのMicrosoftの大きな課題は、開発者の目をWindowsに向けてもらうことだった」とミラー氏は語る。
一般に、アプリケ開発者はサポート対象のモバイルOSごとにコードを書かねばならず、iOS用かAndroid用から始めることが多いとミラー氏は話す。だが、Xamarinを使えば、プログラミング言語「C#」で作成したコードを複数のOS用にビルドできる。
同じアプリをiOSとAndroidとWindowsの全てに対応するように一度に開発できれば、開発者にとって非常に便利だ、とカスタムソフトウェア開発会社Agilineの社長、エマニュエル・マシュー氏は話す。
「これまでは同じアプリを作成するのにiOS用のビルドを行うチームとAndroid用のチームに分かれて作業をしていた。Xamarinを導入すれば、1つのプラットフォームで複数の端末に対応できる」(マシュー氏)
マシュー氏によると、サードパーティー開発会社では、余分なコストが掛かるという理由でWindowsアプリ専用のチームを持たないことが多いという。これからはOSごとに開発チームを分けることなく、1つのチームでWindowsも含めた複数のモバイルOS用アプリを開発できるようになる。
マシュー氏の会社では既にXamarinを時折活用していたが、多くのアプリ開発に利用してきたVisual StudioにXamarinが統合されれば、これまでより頻繁にXamarinを利用するつもりだという。
「もっと早くXamarinがMicrosoftのものになっていたら、もっとXamarinを使っていただろう。サードパーティーのプラットフォームをあまり多用すると、その会社がなくなったときに困ったことなるが、Microsoftが(Xamarinを)買ったのならその心配はなくなる」(マシュー氏)
MicrosoftとXamarinの長い道のり
2011年創業のXamarinは、Microsoftと密接なパートナー関係を築いてきた。
「この買収は必然だった。両社のどちらにとっても大きなメリットがあり、今になったのは遅過ぎるほどだ。Microsoftはこれまで足りなかったものをXamarinで補うことができ、Xamarinの方もMicrosoftのエコシステムにおけるツールセットの選択肢に加わるメリットがある」と前述のミラー氏は話す。
とはいえ、Xamarinによる活性化で、MicrosoftのアプリケーションエコシステムがすぐにiOSやAndroidに追い付けるわけではない、とミラー氏はいう。
「そう簡単に開発者に選んでもらえるものではない」(ミラー氏)
また、iOSなど単一のプラットフォームのみを対象に仕事をしている開発者が、これまで使っていた「Objective-C」や「Swift」などのプログラミング言語をやめて、XamarinでWindowsアプリケーションの開発を始めることは考えにくい。そう話すのは、Microsoftライセンスコンサルティング会社Pica Communicationsの主席コンサルタント、ポール・デグルート氏だ。
「Windows 10だけで動作するサードパーティー製アプリケーションは数が少ない。(Microsoftは)開発者が競ってアプリケーションを開発したくなるような、人気の高い一大プラットフォームを作る必要がある」
Xamarinの共同創業者でCEOのナット・フリードマン氏のブログによると、MicrosoftのXamarin買収は、2016年3月に開催されるMicrosoftの開発者向けカンファレンス「Build 2016」までに成立する予定で、詳細はそのときに発表されるという。買収金額は公表されていない。
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